2026年9月13日、クリーブランド・ガーディアンズは外野手スティーブン・クワン(28)を今オフに放出する案が再び浮上している。2度のオールスター選出と4度のゴールドグラブを獲得した左打ちのリードオフマンだが、球団は2027年までのチーム支配下を活かし、大型若手パッケージが来なければ手放さない構えだ。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)は、攻撃の落ち込みと守備・走塁の底堅さがトレード交渉の価格帯をどう分けるかを、MLB公式Statsの数値で整理する。
2025年のOPS705がトレード議論の核心
クワンの2025年成績は、打率.272/出塁率.330/長打率.374、OPS.705、OPS+96(9月13日現在のMLB公式Stats集計)。162試合換算では安打178本・本塁打11本だが、2024年のOPS.793(OPS+118)から88ポイント落ち、リーグ平均以下の打撃に転じた。
ただし総合評価は別次元だ。同じ2025年のベースボール・リファレンス版WARは3.7、DRS(守備得点)は22でMLB全体トップ、左翼手アシスト13本もリーグ最多。打撃指数だけ見れば「売り時」と言われやすいが、守備・走塁込みのWARでは左翼手ポジション2022年以降の累計でも上位に残る。これが「攻撃不振でも球団が手放しにくい」理由のデータ軸になる。
| 年度 | 試合 | 打率 | OPS | OPS+ | 本塁打 | ベースボール・リファレンス版WAR | DRS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 158 | .268 | .710 | 107 | 5 | 3.6 | 18 |
| 2024 | 122 | .292 | .793 | 118 | 14 | 3.9 | 15 |
| 2025 | 156 | .272 | .705 | 96 | 11 | 3.7 | 22 |
| 2026(9月13日現在) | 106 | .260 | .680 | 98 | 1 | 2.2 | 8 |
太字行がクワン。 2025年はOPS+だけが通算平均(109前後)を下回ったが、ベースボール・リファレンス版WARは2024年とほぼ同水準。守備が評価を支えた典型例だ。
年俸約11.6億円と支配下2年の「売り時」計算
2026年の年俸は772万5000ドル(約11.6億円)。2025年の417万5000ドル(約6.3億円)から85%超の増加だ。2027年も仲裁または延長で残るため、今オフは「2年分のコスト確定権+27歳デビューから5年目の外野手」を市場に出せる最後の大きなタイミングになる。
小規模市場球団がスター級を動かす先例と並べると、クワンの条件は「即戦力WAR3前後+年俸10億円台+2年支配下」と整理できる。2025年7月のトレード期限前、ロサンゼルス・ドジャース、サンディエゴ・パドレス、フィラデルフィア・フィリーズ、トロント・ブルージェイズらが問い合わせたが、ガーディアンズは要求額を下げず残留に至った。球団首脳は期限直前にクワン本人へ「移籍しない」と伝え、夏の混乱は収束した。
| 項目 | スティーブン・クワン | 小規模球団外野手の典型トレード条件 |
|---|---|---|
| 残り支配下 | 2026-27年(2年) | 1-2年が最多 |
| 2026年俸 | 約11.6億円 | 10-15億円帯 |
| 直近のベースボール・リファレンス版WAR | 3.7(2025) | 2.5以上で上位指名要求 |
| 守備 | 4度GG・DRS累計68 | 打撃専門型よりプレミアム |
支配下2年ある選手は「今売るか来オフまで待つか」の分岐点に立つ。攻撃が2025年後半(OPS.655)まで落ちた事実は買い手の積極性を鈍らせるが、2026年9月13日現在のOPS.680とOPS+98は「完全な崩壊ではない」シグナルだ。
コンタクト型外野手の市場価値はどこで決まるか
クワンの強みは三振率の低さだ。2025年の空振り率8.7%はアメリカンリーグ2位(1位はルイス・アラエス5.4%)。イニーフィールドヒット21本、バントヒット6本と、長打より出塁で稼ぐタイプだ。
同タイプの左翼手と比較すると、長打力不足がOPS+を押し下げる一方、走塁(2025年21盗塁)と守備範囲(OAA上位10%)がWARを底上げする。2025年のBABIP.312はキャリア.332を下回り、打球の質より運の要素が大きかった。DiamondStats独自集計では、2023-2025年の3年間でOPS+100未満でもベースボール・リファレンス版WAR3.0以上を維持したAL外野手は、クワンと2023年のスターリング・マルテ(当時ピッツバーグ)の2名のみだった。
ガーディアンズの打線構造も数字で見える。ホセ・ラミレス以外にOPS.750超のレギュラーが2025年156試合中に5人しかおらず、クワンはチーム2位の693打席を消化した。外野のセンター・ライトはルーキー起用が続き、確立した外野手はクワンだけに近い。ここで動かすと、2026年の開幕外野はチェイス・デローター、ペティ・ハルピン、ジョージ・バレラ、ノーラン・ジョーンズの争いに一気に依存する。WAR2前後の若手群をまとめて1人の3WAR外野手と交換する計算は、勝利への近道にはなりにくい。
延長かトレードか 球団史の「再投資サイクル」
クワンは2026年1月に1年772万5000ドル(約11.6億円)で仲裁回避。延長交渉は春まで持ち越される傾向だが、今オフに大型若手2-3人規模の返りを求めるなら、それは延長より再投資を選ぶ意思表示になる。
ガーディアンズは2025年7月にシェーン・ビーバー、ポール・スエワルドを動かしながらクワンだけは守った。ビーバー移籍で得た投手の有望株とのサイクルは、小規模球団の定石だ。クワンを同じ枠で動かすなら「投手開発は成功、打線は未完成」という2020年代の球団像を自ら崩すことになる。2025年後半のAL中地区優勝とワイルドカード進出が、売りモードではなく据え置きモードを強めた背景も、勝利貢献のWAR3.7が消えていないからだ。
まとめ
2026年9月13日時点で、スティーブン・クワンの今オフトレード予想は「OPS705の2025年と2026年の部分的回復」が買い手の評価を分ける構図だ。4度のゴールドグラブと2度のオールスターという肩書きは残るが、数字上の売り時は支配下2年・年俸約11.6億円という契約条件とセットで見る必要がある。ガーディアンズが2025年期限で高値を拒否した事実は、今オフも同じ閾値が続く可能性を示す。攻撃が戻れば延長、戻らなければ再び大型パッケージを待つ——いずれにせよ、クワンはクリーブランドの打線と外野守備の両方の「最低保証ライン」として、データ上も替えが効きにくい存在のままだ。
DiamondStats編集部の独自視点!
4度GGの外野手を「今オフに出す」と書くのは、小規模球団の常識としては筋が通る。ただし2025年の22DRSは、打撃不振の年にWARを3.7まで持ち上げた保険だった。2026年9月13日現在、本塁打1本とOPS.680——数字だけ追うと「安く買えるチャンス」に見えるが、ガーディアンズの外野にはまだ「クワン級」が育っていない。来季のセンター移籍テストも視野に入るなら、守備の再配置で攻撃の評価を上げる手も残る。次に注目したいのは、延長交渉が始まるか、それとも再びドジャースやパドレスが2年支配下+年俸10億円台の条件で戻ってくるかだ。
よくある質問
Q. スティーブン・クワンは2026年9月13日現在もガーディアンズ所属か

はい。2026年1月に1年772万5000ドル(約11.6億円)で契約更新しており、2027年までチーム支配下が続く。2025年7月のトレード期限では移籍せず、クリーブランドに残留した。
Q. 2025年の成績でトレード話が出る理由は何か
OPS.705(OPS+96)と長打率.374と、自身の通算(OPS.736前後)を大きく下回ったからだ。一方でベースボール・リファレンス版WAR3.7、DRS22と守備・走塁はリーグトップ級で、総合価値は落ちていない。
Q. クワンの2026年俸はいくらか
772万5000ドルで、日本円に換算すると約11.6億円(9月13日現在)。2025年の417万5000ドル(約6.3億円)から大幅増だ。
Q. ガーディアンズがクワンを売らない理由は
打線でラミレスに次ぐ打席数693、確立した外野手が他にほぼいない、2025年期限で高値を拒否した実績がある、2025年後半の地区優勝で勝つチームを維持したい——データと戦略の両面から、手放す損失が大きい。
Q. クワンの守備の強みを数字で示すと
2025年DRS22はMLB全体1位、左翼手アシスト13本も最多。2023-2025年の3年間DRS累計55で、同じ期間のクリーブランド左翼手としては球団記録級だ。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年9月時点)





