2026年のレギュラーシーズンが終わり、MLBが10月5日にピッチクロック違反の集計を公表しました。球団別の1位はオリオールズとジャイアンツの19件(同数)です。全30球団の合計は387件で、制度が始まった2023年の1,048件から4年で63%減りました。
1年前の2025年は、ドジャースの26件が最多でした。2026年は最多の球団でも19件にとどまり、「違反の多い球団」の水準そのものが下がっています。この記事では、球団別ランキング、選手別の順位、そして2023年からの推移を数字で並べ、ピッチクロックという制度がどのように定着したかを見ていきます。数字はすべて2026年10月5日公表時点のものです。
2026年の球団別ランキング 1位は19件で2球団が並ぶ
MLB機構が公表した2026年の球団別の違反件数です。1位から見ていきます。
| 順位 | 球団 | 違反件数 |
|---|---|---|
| 1位 | オリオールズ | 19件 |
| 1位 | ジャイアンツ | 19件 |
| 3位 | アストロズ | 18件 |
| 5位 | ドジャース | 17件 |
| 5位 | ヤンキース | 17件 |
| … | … | … |
| 29位 | レイズ | 6件 |
| 30位 | フィリーズ | 5件 |
3位の18件はアストロズを含む2球団で、1位との差はわずか1件です。上位5球団が17〜19件に固まっていて、どこが1位になってもおかしくない接戦でした。
いちばん少なかったのはフィリーズの5件です。162試合で5件ですから、32試合に1回しか違反していない計算になります(DiamondStats調べ)。
ドジャースは2025年の26件(1位)から17件(5位タイ)へ9件減らしました。それでも上位5球団に残っているのは、投手の入れ替わりが多く、新しく加わった投手がクロックに慣れるまで時間がかかる球団の事情が表れています。ドジャースの今季の制度対応については、ドジャースがABSで三振判定を25回覆した戦術の記事でも別の角度から取り上げています。
導入初年度からの推移 1試合あたり0.43件が0.16件に
ピッチクロックは2023年に導入されました。年ごとの合計と、投手・打者・捕手の内訳です。
| 年 | 合計 | 投手 | 打者 | 捕手 | 1試合あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 1,048件 | 747件 | 286件 | 15件 | 0.43件 |
| 2024年 | 602件 | 465件 | 133件 | 4件 | 0.25件 |
| 2025年 | 465件 | 369件 | 91件 | 5件 | 0.19件 |
| 2026年 | 387件 | 290件 | 92件 | 5件 | 0.16件 |

「1試合あたり」は、年間の試合数2,430試合(30球団×162試合÷2)で割ったDiamondStats独自集計です。
目を引くのは減り方の違いです。投手の違反は747件から290件へ61%減りました。一方で打者の違反は2025年の91件から2026年は92件と、ほぼ横ばいです。投手は4年かけて慣れたのに対し、打者の違反は「打席に入るまでの8秒」という短い時間に起きるため、これ以上は減りにくい段階に入ったと読めます。
守備シフト制限の違反も、2023年の26件から2024年2件、2025年1件、2026年2件と、ほぼ消えました。
歴代の「最多球団」を比べる 57件から19件へ
各年の1位の球団と、最少の球団を並べました。
| 年 | 最多の球団 | 件数 | 最少の球団 | 件数 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年 | メッツ | 57件 | マリナーズ | 15件 |
| 2024年 | アストロズ | 35件 | ロッキーズ・ロイヤルズ・アスレチックス | 10件 |
| 2025年 | ドジャース | 26件 | レッズ・ロイヤルズ | 3件 |
| 2026年 | オリオールズ・ジャイアンツ | 19件 | フィリーズ | 5件 |

2023年の最多はメッツの57件で、2位レイズ52件、3位パイレーツ51件、4位パドレス48件、5位マーリンズ47件と続きました。2026年の1位19件は、2023年なら30球団中で最少に近い数字です。つまり、2026年にもっとも違反の多かった球団でも、2023年のマリナーズ(最少15件)に近い水準まで来ています。
最多球団の件数は57→35→26→19と、毎年ほぼ一定の割合で減り続けています。アストロズは2024年に1位、2025年に22件で4位タイ、2026年も18件で3位と、4年連続で上位にいる唯一の球団です。
選手別ランキング バズが2年連続で投手1位
投手の1位はオリオールズのシェーン・バズで6件です。2025年もレイズ所属で6件の1位だったので、2年連続のトップになりました。
| 順位 | 投手 | 球団 | 件数 |
|---|---|---|---|
| 1位 | シェーン・バズ | オリオールズ | 6件 |
| 2位 | エウリー・ペレス | マーリンズ | 5件 |
| 2位 | クマー・ロッカー | レンジャーズ | 5件 |
| 4位 | アンソニー・ヌニェス ほか4人 | ― | 4件 |
4件で並んだのは、ヌニェス、ケード・カバリ、ヨエンドリス・ゴメス、カミロ・ドバル、ジョージ・ソリアーノの5人です。
打者の1位はヤンキースのホセ・カバジェロで4件でした。チェイス・デラウター、イ・ジョンフ、ルイス・ララの3人が3件で続きます。MLBはカバジェロの打席でのタイミングの取り方を「相手を惑わす行為」と判断したと伝えられています。
投手1位の件数は、2023年クレイグ・キンブレルの13件、2024年カイル・フィネガンの11件、2025年バズの6件、2026年バズの6件と推移しました。個人の最多も半分以下になっています。
試合時間は短くなったまま 2026年は2時間42分
ピッチクロックのもう1つの成果が試合時間です。9回の試合の平均時間を並べます。
| 年 | 9回の平均試合時間 |
|---|---|
| 2021年 | 3時間10分 |
| 2022年 | 3時間4分 |
| 2023年 | 2時間40分 |
| 2024年 | 2時間36分 |
| 2025年 | 2時間38分 |
| 2026年 | 2時間42分 |
2026年は前年より3分43秒長くなりました。MLBによると、そのうち61秒は今季導入されたABS(ボール・ストライク判定のチャレンジ制度)によるものです。それでも導入前の2022年より22分短く、ピッチクロックが削った時間は4年経っても保たれています。
違反の減少と試合時間の関係を見ると、2024年以降は違反が減っても試合時間は縮んでいません。違反が減ることと試合が速くなることは別で、クロックの効果は初年度にほぼ出切ったと言えます。
DiamondStats編集部の独自視点!
387件という数字は、1球団あたり年間13件、月に2件ほどです。選手にとってピッチクロックは、もう「罰則」ではなく「呼吸の間隔」になりました。
編集部が注目しているのは、違反が減っても試合時間が伸び始めた点です。2027年以降、MLBが時間短縮の次の一手として何を持ち出すかは、クロックの秒数ではなくチャレンジ制度の運用に向かうでしょう。ABSの申し立て1回に何秒かかっているのか、来季はそこを追います。
ポストシーズンでもピッチクロックはそのまま適用されます。緊張する場面での違反は、1球の価値が重い10月にこそ試合を動かします。MLBポストシーズン2026のトーナメント表と合わせて、終盤の1球に注目してください。
まとめ
- 2026年のピッチクロック違反は合計387件。球団別の1位はオリオールズとジャイアンツの19件(10月5日公表時点)
- 最少はフィリーズの5件。2025年1位のドジャースは17件の5位タイに下がった
- 導入初年度の2023年1,048件から4年で63%減。1試合あたりは0.43件から0.16件へ
- 投手1位はオリオールズのシェーン・バズ6件で2年連続。打者1位はヤンキースのホセ・カバジェロ4件
- 試合時間は2時間42分で前年より長くなったが、導入前より22分短い
よくある質問
Q. 2026年にピッチクロック違反がいちばん多かった球団は?
オリオールズとジャイアンツの19件で同数1位です。3位はアストロズの18件、ドジャースとヤンキースが17件で続きます。最少はフィリーズの5件でした。
Q. ピッチクロック違反は年々減っているの?
減っています。2023年1,048件、2024年602件、2025年465件、2026年387件で、4年で63%減りました。1試合あたりでは0.43件から0.16件です。
Q. ピッチクロック違反がいちばん多い選手は誰?
投手はオリオールズのシェーン・バズの6件で、2025年に続いて2年連続の1位です。打者はヤンキースのホセ・カバジェロの4件です。
Q. ピッチクロックで試合時間はどれくらい短くなった?
導入前の2022年は3時間4分、2026年は2時間42分で、22分短くなっています。2026年は前年より3分43秒伸びましたが、そのうち61秒はABSのチャレンジによるものです。
Q. ポストシーズンでもピッチクロックは使われる?
使われます。レギュラーシーズンと同じ秒数が適用され、違反は走者なしで1ボール、打者側なら1ストライクが加算されます。
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