ピート・クロウ=アームストロングが満票級MVP評価 45本41盗塁を歴代40-40と比較9月22日(米国時間)、米記者ジェフ・パッサン氏が毎年恒例の独自表彰を発表し、カブスのピート・クロウ=アームストロングを「全盛期のマイク・トラウトの再来」部門に選びました。文面は「MVPは満票で獲るべき」「今季は誰が見ても球界最高の選手」と断言する強いものです。同じ日に出たMLB公式の専門家38人によるMVP最終投票でも、ナショナル・リーグの1位票は38票すべてが彼に集まりました。
DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)がMLB公式Statsで確かめた結論は、この評価が「印象」ではなく「数字の独占」で説明できるということです。 ナショナル・リーグの主要6部門で1位、歴代7人目の40-40、前年から2.5倍に増えた四球率。満票級という言葉の裏側を、表で並べます。
9月に何が起きたか 45号と40盗塁の日付
まず出来事の時系列をMLB公式の試合記録で確かめます。

| 日付(米国時間) | 出来事 | 相手 |
|---|---|---|
| 9月20日 | 今季45号(本塁打は打ち止め) | レッズ戦(敵地) |
| 9月22日 | 独自表彰と公式投票で満票級の評価 | ─ |
| 9月24日 | 40個目の盗塁で40-40達成 | マーリンズ戦(本拠地) |
| 9月25日 | 41個目の盗塁(最終) | レッドソックス戦(敵地) |
つまり表彰の時点で本塁打は45本で止まっており、盗塁は38でした。「満票で獲るべき」と書かれた2日後に40-40へ届いた順番です。最終成績は162試合全出場、打率.280、45本塁打、107打点、119得点、41盗塁、OPS.942(10月8日現在、レギュラーシーズン最終)。
カブスはこの活躍で2位からワイルドカードに入りましたが、9月29日と30日にパドレスへ2連敗してシーズンを終えました。その最終2試合の内訳は「カブスが2連敗でシーズン終了 最終2試合の得失点」にまとめています。
歴代40-40の7人と比較 45本は3番目・OPSは5番目
40本塁打と40盗塁の同時達成は、MLB史上でこれが7人目です。先に達成した6人の成績をMLB公式Statsから引き、同じ列で並べました。
| 年 | 選手 | 球団 | 本塁打 | 盗塁 | 得点 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1988 | ホセ・カンセコ | アスレチックス | 42 | 40 | 120 | .960 |
| 1996 | バリー・ボンズ | ジャイアンツ | 42 | 40 | 122 | 1.076 |
| 1998 | アレックス・ロドリゲス | マリナーズ | 42 | 46 | 123 | .920 |
| 2006 | アルフォンソ・ソリアーノ | ナショナルズ | 46 | 41 | 119 | .911 |
| 2023 | ロナルド・アクーニャJr. | ブレーブス | 41 | 73 | 149 | 1.012 |
| 2024 | 大谷翔平 | ドジャース | 54 | 59 | 134 | 1.036 |
| 2026 | ピート・クロウ=アームストロング | カブス | 45 | 41 | 119 | .942 |
比べて分かることが3つあります。
- 本塁打45本は7人の中で3番目(大谷54、ソリアーノ46に次ぐ)。「走れる打者」ではなく「打てる走者」寄りの40-40
- 盗塁41はソリアーノと並ぶ5番目。盗塁死7は7人の中でボンズ(7)と並んで最も少なく、成功率は85.4%(DiamondStats独自集計)
- OPS.942は5番目。打撃の質ではボンズ・大谷・アクーニャに届かない。ここが「史上最高の40-40」ではなく「満票級のMVP」と呼ばれる線引きです
カブスの選手としては球団史上初の40-40で、得点119はソリアーノの2006年とぴったり同じ数字です。
ナショナル・リーグ6部門で1位 2位との差を表にする
満票級と呼ばれる最大の根拠は、リーグの主要部門をどれだけ独占したかです。10月8日現在の公式最終値です。
| 部門 | クロウ=アームストロング | 2位 | 差 |
|---|---|---|---|
| 本塁打 | 45 | カイル・シュワーバー 45 | 同数1位 |
| 得点 | 119 | ジェームズ・ウッド 106 | +13 |
| 塁打 | 357 | マット・オルソン 314 | +43 |
| 長打 | 84 | マット・オルソン 75 | +9 |
| 長打率 | .570 | ハンター・グッドマン .529 | +.041 |
| OPS | .942 | ジェームズ・ウッド .891 | +.051 |
| 盗塁 | 41 | (1位ナシム・ヌニェス 49) | 2位 |
塁打357で2位に43差というのは、ほぼ本塁打11本分の開きです。本塁打王を分け合ったシュワーバーは盗塁3、塁打292。同じ45本でも「打席に立った後に塁上で何をしたか」で差がついています。
もう1つ、103勝のブルワーズが同じ地区にいながら、ナショナル・リーグの個人部門の顔がカブスの選手になった点も見逃せません。ブルワーズの球団史上初の103勝は「ブルワーズが最高勝率103勝の球団史上初シーズン」で検証しています。
前年からの変化 四球率4.5%から11.4%へ
2025年のクロウ=アームストロングは31本35盗塁ながら出塁率.287でした。何が変わったのかを前年と並べます。

| 2025年 | 2026年 | 変化 | |
|---|---|---|---|
| 試合 | 157 | 162 | +5 |
| 打率 | .247 | .280 | +.033 |
| 出塁率 | .287 | .372 | +.085 |
| 長打率 | .481 | .570 | +.089 |
| OPS | .768 | .942 | +.174 |
| 本塁打 | 31 | 45 | +14 |
| 盗塁 | 35 | 41 | +6 |
| 四球 | 29 | 83 | +54 |
| 三振 | 155 | 187 | +32 |
| 四球率(独自集計) | 4.5% | 11.4% | 2.5倍 |
| 三振率(独自集計) | 24.0% | 25.8% | +1.8pt |
四球が29から83に増え、四球率は2.5倍になりました。三振率はほとんど変わっていないので、「振らなくなった」のではなく「ボール球を見送れるようになった」変化です。出塁率が.085上がった分だけ盗塁の機会も増え、本塁打が14本増えても盗塁が減らなかった背景がここにあります。
月別推移 6月と8月の2つの山
| 月 | 試合 | 本塁打 | 盗塁 | OPS |
|---|---|---|---|---|
| 3・4月 | 31 | 3 | 6 | .669 |
| 5月 | 29 | 4 | 6 | .761 |
| 6月 | 26 | 11 | 8 | 1.249 |
| 7月 | 24 | 6 | 6 | 1.011 |
| 8月 | 28 | 14 | 6 | 1.069 |
| 9月 | 24 | 7 | 9 | .905 |
開幕から5月末までは60試合で7本、OPS.700台でした。6月に11本、8月に14本と2つの山があり、後半だけで45本中27本を打っています。前半で「満票」の話は出ていなかったのに9月に全票が集まったのは、この後半の山が理由です。盗塁は月6〜9個でほぼ一定で、こちらは年間を通じて落ちていません。
本拠地と敵地の差も大きく、リグレー・フィールドでは81試合で27本、OPS1.045。敵地は81試合で18本、OPS.846でした。盗塁は本拠地20、敵地21でほぼ同数です。
守備 中堅の刺殺393はリーグ1位 失策は2から6に増えた
打撃だけではありません。中堅手として1370イニングを守り、刺殺393はナショナル・リーグの中堅手で1位(2位ジャクソン・メリル389)。MLB公式の投票記事でも「どの守備位置を含めても最高の守備者」と評されました。
ただし数字は正直で、失策は2025年の2個から6個に増え、守備率は.995から.985に下がっています。守備範囲の広さと堅実さは別の指標で、2026年は前者で勝った年です。
DiamondStats編集部の独自視点!
満票級の評価を支えた数字は、派手な本塁打より「四球83」だと編集部は考えています。1年で四球率が2.5倍になった選手は、投手の攻め方が変わっても崩れにくい。来季に45本を打てるかは分かりませんが、出塁率.372を保てるなら盗塁と得点は再現できます。
もう1つの注目は、歴代40-40の7人のうち翌年も40-40を続けた選手が1人もいないこと。アクーニャは2024年に負傷し、大谷は2025年に投手へ戻りました。クロウ=アームストロングは24歳で、7人の中では若い側です。「2年連続」という誰もやっていない線を次の目標に置けるのは、今のところ彼だけです。
よくある質問
Q. クロウ=アームストロングの2026年の成績は?
162試合で打率.280、45本塁打、107打点、119得点、41盗塁、OPS.942です(MLB公式Stats、レギュラーシーズン最終)。本塁打はナショナル・リーグでシュワーバーと並ぶ1位、得点・塁打・長打・長打率・OPSは単独1位です。
Q. 40-40を達成したのは史上何人目?
7人目です。カンセコ(1988年)、ボンズ(1996年)、アレックス・ロドリゲス(1998年)、ソリアーノ(2006年)、アクーニャJr.(2023年)、大谷翔平(2024年)に続き、カブスの選手では初めてです。達成日は9月24日(米国時間)のマーリンズ戦でした。
Q. 2025年から何が一番変わった?
四球が29から83に増え、四球率は4.5%から11.4%へ2.5倍になりました。出塁率は.287から.372に上がっています。三振率は24.0%から25.8%とほぼ横ばいです。
Q. MVPは満票で決まるのか?
公式のMVPは記者投票で11月に発表されます。9月22日時点ではMLB公式の専門家38人全員が1位票を入れ、独自表彰でも「満票で獲るべき」と書かれましたが、正式な結果はまだ出ていません。
まとめ
- 9月22日の独自表彰と公式投票で満票級の評価。2日後の9月24日に40-40へ到達
- 45本41盗塁は歴代7人目。本塁打は7人中3番目、OPSは5番目
- ナショナル・リーグの主要6部門で1位。塁打は2位に43差
- 四球率が4.5%から11.4%へ。後半だけで27本の2つの山が評価を決めた
カブスの最終2試合の数字は「カブスが2連敗でシーズン終了 最終2試合の得失点」、同じ地区で103勝したブルワーズの検証は「ブルワーズが最高勝率103勝の球団史上初シーズン」で読めます。データはMLB公式Statsを独自に集計しました。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年10月時点)





