8月21日(米国現地)、山本由伸は本拠地のピッツバーグ・パイレーツ戦で6.1回2失点、9奪三振と試合をつくった。チームは5対4で勝ったが、山本自身の勝敗はつかなかった。
107球を要して7回を投げ切れなかった一方、四球は1つだけ。6球種を使った今回の投球と直近7登板を比較すると、勝ち星だけでは見えない安定感と、球数効率という次の課題が分かる。
- 今回:6.1回2失点、9奪三振、1四球
- 球種配分:スプリット32球を最多に6球種を使用
- 直近7登板:47回、防御率2点台、45奪三振、WHIP0.94
山本由伸は6.1回2失点、9奪三振でリードを守る
山本は5安打2失点(自責2)、四球1。球数は107球で、69球がストライクだった。1回と3回に1失点ずつ喫したものの、その後は追加点を許さず、7回途中で降板した時点では2点をリードしていた。
| 投球回 | 被安打 | 失点 | 四球 | 奪三振 | 投球数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 6.1回 | 5 | 2(自責2) | 1 | 9 | 107(ストライク69) |
9奪三振に対して四球は1つ。三振を狙いながら大きく制球を崩さなかった点が、この登板の重要な部分だ。一方、107球で7回を投げ切れなかったため、内容は安定していたものの、球数効率には改善の余地が残った。
この違いは観戦時の評価にも関わる。失点と四球を抑えたことは先発としての安定性を示すが、少ない球数で長い回を任せられるかどうかは、救援陣の負担を左右するからだ。
9奪三振を支えたスプリット32球と6球種の配分
球種はスプリット32、フォーシーム28、カッター21、シンカー15、カーブ8、スライダー3だった(DiamondStats調べ)。最も多かったスプリットでも全107球の3割程度にとどまり、特定の球種だけに依存しない配分だった。
| 球種 | 投球数 | 配分上の位置づけ |
|---|---|---|
| スプリット | 32 | 最多球種 |
| フォーシーム | 28 | スプリットに次ぐ軸 |
| カッター | 21 | 3番目に多い球種 |
| シンカー | 15 | 速球系の選択肢 |
| カーブ | 8 | 緩急をつける球種 |
| スライダー | 3 | 使用頻度は限定的 |
最速は97.3マイルで、空振りは14球。空振り数だけで9奪三振の過程をすべて説明することはできないが、決め球だけでなく、複数の球種でカウントを組み立てた結果と考えられる。
配分から読み取れるのは、スプリットを軸にしながら、フォーシーム、カッター、シンカーの速球系を使い分けた点だ。打者が一つの軌道や球速帯に狙いを絞りにくい構成が、三振を奪うための選択肢を広げたとみられる。ただし、球種別の空振り数や打球結果が示されていないため、どの球種が9奪三振に最も寄与したかまでは断定できない。
初球ストライク率は56%。打者を常に先行して追い込んだ数字とは言い切れない。それでも四球を1つに抑えたため、初球後にカウントを立て直す投球ができていたことがうかがえる。

防御率2.61と直近7登板のWHIP0.94を比較
この登板で今季の奪三振は136から145に増加。防御率は2.60から2.61、WHIPは0.89から0.90となった。
| 指標 | 登板前 | 登板後 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 奪三振 | 136 | 145 | 9増 |
| 防御率 | 2.60 | 2.61 | 0.01上昇 |
| WHIP | 0.89 | 0.90 | 0.01上昇 |
直近7登板は47回、防御率2点台、奪三振45、WHIP0.94。今回だけを切り取った好投ではなく、複数登板にわたって走者を抑え、三振も奪っている。
WHIPは「1投球回あたりに許した安打と四球」の合計を示す指標で、失点そのものを表す防御率とは役割が異なる。直近7登板のWHIP0.94は走者を出す頻度の低さを示し、防御率2点台と合わせることで安定性を確認できる。
防御率とWHIPがともに低いことが重要なのは、「失点が少ない」だけでなく「そもそも走者を多く出していない」と確認できるためだ。守備や走者を残した場面での救援投手の結果にも左右される防御率を、異なる角度から補足できる。
ただし、直近7登板はシーズン全体より小さいサンプルだ。好調時の傾向を把握する材料にはなるが、この期間だけで今後の成績まで断定することはできない。また、WHIPは長打と単打を区別しないため、投球内容のすべてを単独で評価できる指標ではない。
大谷翔平の出塁と打線が山本由伸の2失点を勝利につなげる
同じ試合で大谷翔平は1番DHで出場し、3打数1安打1盗塁だった。四球は2つ、三振は1つ。安打だけでなく2四球でも出塁し、走塁でも得点機の拡大に関わった。
山本は勝利投手にはならなかったが、7回途中まで2失点に抑え、リードした状態で救援陣へつないだ。先発投手を評価する際は勝敗だけでなく、投球回、失点、奪三振、四球、降板時の展開も合わせて見る必要がある。
日本人選手を同じ形式で比較したい場合は、8月17日の日本人選手成績をまとめた試合後データレポートも参考になる。
結論:9奪三振と1四球が示した山本由伸の安定感
山本由伸のこの登板は、6.1回2失点、9奪三振、1四球という数字が示す通り、試合を崩さず勝利につなげた内容だった。スプリット32球を中心に6球種を組み合わせ、今季の奪三振を145まで伸ばした。
今季通算は12勝7敗、防御率2.61。勝ち星がつかなかった今回も、直近7登板の防御率2点台、WHIP0.94という安定傾向を維持した。今後の観戦では、三振数に加えて、四球の少なさ、球数効率、スプリットと速球系の配分を見ると、山本の状態をより具体的に判断できる。
今回の数字が示す評価は、「圧倒的な奪三振」だけではない。走者を増やさず試合を崩さない再現性が強みであり、次の焦点は、その内容をより少ない球数で長いイニングにつなげられるかどうかだ。
データはMLB公式Statsを基に、DiamondStatsが独自に集計した。





