カル・ローリーが長打率を221ポイント低下 1961年以降で歴代2位の急降下2026年のレギュラーシーズンは9月27日に閉幕し、シアトル・マリナーズの捕手カル・ローリーの今季成績は126試合で打率.182、23本塁打、長打率.368で確定した(10月9日現在、MLB公式Stats)。昨季は60本塁打、長打率.589でメジャーの本塁打王に立った打者が、1年で長打率を221ポイント落としたことになる。
マリナーズは76勝86敗の地区3位でポストシーズンに進めず、ローリーはシーズン終了後に左肩の手術を受けた。本稿は「不調だった」で終わらせず、この221ポイントという落差が歴史の中でどこに位置するのかを、DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)がMLB公式Statsを独自集計して確かめる。
長打率221ポイント減は今季の規定打席到達者で最大 1961年以降の通常シーズンでは2014年クリス・デービスに次ぐ2位
DiamondStats調べ。両年とも規定打席に達した打者を対象に、前年との長打率の差を1901年から全シーズン集計した。60本塁打を打った翌年の落ち幅としては歴代の9例を大きく超える。
今季の規定打席135人で長打率の落ち幅は最大
まず今季の規定打席到達者135人のうち、昨季も規定打席に達していた打者の長打率を前年と比べた。上位5人は次のとおり。

| 順位 | 選手 | 2025年長打率 | 2026年長打率 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | カル・ローリー | .589 | .368 | -.221 |
| 2 | テイラー・ウォード | .475 | .311 | -.164 |
| 3 | ジョージ・スプリンガー | .560 | .405 | -.155 |
| 4 | ホセ・ラミレス | .503 | .368 | -.135 |
| 5 | マイケル・ブッシュ | .523 | .393 | -.130 |
2位のウォードとの差は57ポイントある。打率.182も今季の規定打席到達者135人で最も低く、2番目に低いコルソン・モンゴメリーの.197を15ポイント下回った。
1961年以降の通常シーズンで2位 クリス・デービスとの差は9ポイント
次に時間軸を広げる。162試合制になった1961年以降で、ストライキや短縮で試合数が大きく減った年(1981年・1994年・1995年・2020年・2021年)を前後に含む比較を除き、両年とも規定打席に達した打者の長打率の落ち幅を並べた。
| 順位 | 選手 | 年 | 前年長打率 | 翌年長打率 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | クリス・デービス | 2013→2014 | .634 | .404 | -.230 |
| 2 | カル・ローリー | 2025→2026 | .589 | .368 | -.221 |
| 3 | ラリー・シーツ | 1987→1988 | .563 | .343 | -.220 |
| 4 | エイドリアン・ベルトレ | 2004→2005 | .629 | .413 | -.216 |
| 5 | ドン・ビュフォード | 1971→1972 | .477 | .267 | -.210 |
| 6 | トラビス・ハフナー | 2006→2007 | .659 | .451 | -.208 |
| 6 | ブライス・ハーパー | 2015→2016 | .649 | .441 | -.208 |
| 8 | ブルック・ジャコビー | 1987→1988 | .541 | .335 | -.206 |
| 9 | ジョン・メイベリー | 1975→1976 | .547 | .342 | -.205 |
| 10 | カール・ヤストレムスキー | 1970→1971 | .592 | .392 | -.200 |
1位のデービスは2013年に53本塁打を打ち、翌年26本に半減した。ローリーとの差はわずか9ポイントで、3位のシーツとは1ポイント差。この60年あまりで「本塁打王級の打者が翌年に長打率を200ポイント以上落とした例」は、デービスとローリーの2人しかいない。
60本塁打の翌年 歴代9例の落ち幅は最大でも143ポイント
60本塁打に到達した打者が翌年にどうなったかも並べた。対象はルース以降の全9例と、今回のローリー。
| 選手 | 60本の年 | 本塁打 | 長打率 | 翌年本塁打 | 翌年長打率 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ベーブ・ルース | 1927 | 60 | .772 | 54 | .709 | -.063 |
| ロジャー・マリス | 1961 | 61 | .620 | 33 | .485 | -.135 |
| マーク・マグワイア | 1998 | 70 | .752 | 65 | .697 | -.055 |
| マーク・マグワイア | 1999 | 65 | .697 | 32 | .746 | +.049 |
| サミー・ソーサ | 1998 | 66 | .647 | 63 | .635 | -.012 |
| サミー・ソーサ | 1999 | 63 | .635 | 50 | .634 | -.001 |
| サミー・ソーサ | 2001 | 64 | .737 | 49 | .594 | -.143 |
| バリー・ボンズ | 2001 | 73 | .863 | 46 | .799 | -.064 |
| アーロン・ジャッジ | 2022 | 62 | .686 | 37 | .613 | -.073 |
| カル・ローリー | 2025 | 60 | .589 | 23 | .368 | -.221 |
過去9例で最も落ちたのは2002年のソーサの143ポイント。ローリーはそれを78ポイント上回る。もともと60本の年の長打率が.589と9例の中で最も低かったことが、翌年の落ち幅を大きく見せている面もある。他の8例は60本の年に打率.269以上を残していたが、ローリーは.247だった。
月別の時系列 5月の36打数2安打が全体を引きずった
落ち幅の中身を月ごとに追う。3月と4月は合算した。

| 月 | 試合 | 打率 | 長打率 | 本塁打 | 2025年同月の長打率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3・4月 | 32 | .192 | .392 | 7 | .543 |
| 5月 | 9 | .056 | .056 | 0 | .739 |
| 6月 | 14 | .174 | .261 | 1 | .690 |
| 7月 | 23 | .165 | .316 | 3 | .484 |
| 8月 | 26 | .195 | .537 | 9 | .449 |
| 9月 | 22 | .229 | .410 | 3 | .639 |
5月は9試合で36打数2安打、長打なし、16三振。5月13日を最後に欠場し、6月16日に復帰するまで約1か月を離脱した。復帰後の6月と7月も長打率は.261と.316にとどまり、昨季最も悪かった8月の.449にも届いていない。
唯一の反発が8月で、長打率.537は昨季8月の.449を上回る。8月24日の本拠地フィリーズ戦では自己初の1試合3本塁打を放ち、チームは9-2で勝った。翌25日にも1本を加えたが、9月は再び.410に落ちた。グラフは月ごとの推移を集計範囲付きで本文内に置いている。
四球率は変わらず 三振率とBABIPが崩れた
打席の中身を率で比べると、崩れた場所が絞れる。
| 項目 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| 打席 | 705 | 530 |
| 四球率 | 13.8% | 13.6% |
| 三振率 | 26.7% | 30.9% |
| BABIP | .248 | .220 |
| 本塁打 | 60 | 23 |
四球率はほぼ同じで、選球眼そのものは残っていた。崩れたのは三振率の4.2ポイント上昇と、打球が安打になる割合の28ポイント減、そして本塁打の37本減である。出塁率.296は昨季の.359から63ポイントの減少で、長打率の221ポイントに比べれば小さい。つまり今季のローリーは「出塁できなくなった」より「打球が飛ばなくなった」打者だった。
左肩の手術と来季の見通しは、カル・ローリーが左肩手術 今季は打率.182と23本塁打で126試合に終わるで球団の発表を確かめている。
DiamondStats編集部の独自視点!
歴代の失速ランキングで気になるのは、1位のデービスが翌2015年に47本塁打、長打率.562まで戻したこと、ハーパーが2017年に長打率.595へ戻したことだ。200ポイント級の落差は、それ自体が「もう戻らない」印ではない。
ただしローリーの場合、60本の年の打率が.247で、長打率も9例で最低だった。土台が本塁打に偏っていた分、本塁打が消えると残るものが少ない。四球率が落ちていない点は希望で、来季の見どころは打率ではなく、5月から7月に.316以下だった月別の長打率が、昨季並みの.500台へ戻る月がいくつあるかになる。
よくある質問
Q. カル・ローリーの2026年の成績は?
126試合で打率.182、23本塁打、69打点、出塁率.296、長打率.368(MLB公式Stats、10月9日現在)。打率は今季の規定打席到達者135人で最も低かった。
Q. 長打率221ポイント減は歴代で何番目?
DiamondStats独自集計で、1961年以降の通常シーズンでは2014年クリス・デービスの230ポイント減に次ぐ2位。今季の規定打席到達者の中では最大だった。
Q. 60本塁打の翌年に成績を落とした例は過去にもある?
ある。1962年のロジャー・マリスは61本から33本、2002年のサミー・ソーサは64本から49本に減った。ただし長打率の落ち幅は最大でも143ポイントで、ローリーの221ポイントはそれを大きく上回る。
Q. 今季のローリーはいつ欠場した?
5月13日を最後に戦列を離れ、6月16日に復帰した。離脱前の5月は9試合で36打数2安打だった。
まとめ
ローリーの長打率221ポイント減は、今季の規定打席到達者で最大、1961年以降の通常シーズンでクリス・デービスに次ぐ2位、60本塁打の翌年としては歴代9例のどれよりも大きい。崩れたのは四球ではなく、三振率とBABIPと本塁打数で、月別では5月から7月の3か月が全体を引きずった。来季はこの月別の推移を同じ形で追い、どの月から長打率が戻るかを確かめたい。左肩の手術の経過は、球団発表を確かめた記事とあわせて読むと今季の流れがつながる。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年10月時点)






