現地10月8日(日本時間9日)、アメリカン・リーグ地区シリーズ第4戦のガーディアンズ対ホワイトソックスで、ホワイトソックスの新人外野手サム・アントナッチが5回1死満塁の場面で死球を受け、押し出しで1点を奪った。前日の第3戦でも6回2死満塁で死球を受けており、MLB.comの記録担当は「ポストシーズン史上、満塁での死球を2度記録した初めての選手」と伝えている。試合はホワイトソックスが5-9で敗れ、シリーズは2勝2敗。決着は現地10月10日(日本時間11日午前9時開始)の第5戦に持ち越された。
アントナッチの今季の死球は29個でメジャー2位。ただし打席あたりの率は5.2%で、1位のイバン・エレーラ(4.3%)を上回りメジャー最高。満塁死球2つは偶然ではなく、今季いちばん「当たる」打者が満塁で打席に立った結果だった。
2戦連続の満塁死球を球種と状況で見る
MLB公式Statsの一球データで、2つの満塁死球を並べると、どちらもカウント2-0からだった。投手が追い込まれて内角を突いた球ではなく、カウントを取りにいった球が当たっている。

| 試合(日本時間) | 回・アウト | 投手 | 球種 | 球速 | 当たる前のスコア | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第3戦(10月8日) | 6回2死 | ハンター・ガディス | スライダー | 90.9マイル | 2-5 | 押し出しで3-5 |
| 第4戦(10月9日) | 5回1死 | ティム・ヘリン | シンカー | 92.4マイル | 3-3 | 押し出しで4-3と勝ち越し |
第4戦の押し出しは、その日のホワイトソックスの勝ち越し点になった。直後にブレントン・ドイルの犠飛で4-3としたが、6回にグラント・テイラーが1死も取れずに4失点し、この回だけで6点を失って逆転された。
第3戦ではアントナッチは3回にも死球を受けており、1試合2死球。ポストシーズン6試合で4死球は、今年のポストシーズン全選手の中で単独トップだ(10月9日現在。2位は2死球で3人)。
今季29死球はメジャー2位 ただし「率」では1位
MLB公式Statsによる2026年レギュラーシーズンの死球ランキングは次のとおり。アントナッチは4月15日にメジャーデビューしたため、140試合・557打席しか立っていない。それでも29死球でメジャー2位に入った。
| 順位 | 選手 | 球団 | 死球 | 打席 | 100打席あたり死球 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | イバン・エレーラ | カージナルス | 31 | 717 | 4.3 |
| 2 | サム・アントナッチ | ホワイトソックス | 29 | 557 | 5.2 |
| 3 | ランディ・アロザレーナ | マリナーズ | 26 | 670 | 3.9 |
| 4 | ウィルソン・コントレラス | レッドソックス | 24 | 535 | 4.5 |
| 5 | ルーク・キースコール | ツインズ | 23 | — | — |
100打席あたりの死球数はDiamondStats独自集計。アントナッチは19打席に1回のペースで当たっている計算で、上位4人の中で最も高い。打席数がエレーラと同じ717あれば、単純計算で37死球に達するペースだった。
歴代の死球王と比べても水準は高い。2023年のタイ・フランスが34死球で突出しているが、2024年のアロザレーナは22死球、2025年の同じくアロザレーナは27死球で1位になった。アントナッチの29死球は、直近2年の死球王をどちらも上回る数字だ(MLB公式Stats)。
四球43に対して死球29 出塁率.370を支える「痛み」
アントナッチの今季の打撃成績は打率.277、出塁率.370、本塁打8。打率と出塁率の差は.093あり、その差を作っているのが四球43と死球29だ。

| 出塁の内訳(2026年レギュラーシーズン) | 数 |
|---|---|
| 安打 | 133(557打席) |
| 四球 | 43 |
| 死球 | 29 |
死球29は四球43の約3分の2にあたる。一般に死球が四球の半分を超える打者はまれで、アントナッチは「選球」ではなく「体で稼ぐ」出塁の比率が極端に高い。ホワイトソックスの球団全体の死球は101で、その28.7%を1人で受けたことになる(DiamondStats独自集計)。
月別の死球数を見ると、デビュー直後から一貫して当たり続けている。
| 月 | 試合 | 打席 | 死球 | 出塁率 |
|---|---|---|---|---|
| 3・4月 | 14 | 49 | 4 | .347 |
| 5月 | 28 | 113 | 7 | .378 |
| 6月 | 23 | 101 | 6 | .426 |
| 7月 | 24 | 94 | 2 | .312 |
| 8月 | 28 | 111 | 5 | .351 |
| 9月 | 23 | 89 | 5 | .393 |
死球が2個に減った7月は出塁率も.312まで落ち、死球が6個あった6月は.426と最も高かった。死球の数と出塩率が同じ向きに動いている点は見逃せない。
得点圏で.348 満塁死球は「たまたま」ではない
満塁で2度当たったのは、満塁で打席が多く回ってきたからでもある。今季の得点圏での成績は107打席で打率.348、38打点。得点圏だけで6死球を受けており、相手バッテリーが走者を背負って厳しく内角を攻める場面で、そのまま当たってきた。
ポストシーズンでも傾向は変わらない。6試合23打席で打率.250ながら出塁率.435、5打点。安打4本に対して死球4、四球2で、出塁10回のうち4回が死球だった。チームのポストシーズンの死球は6で、うち4つがアントナッチだ。
ホワイトソックスは今季84勝78敗でア・リーグ中地区2位、ワイルドカード3位から勝ち上がった。アストロズとのワイルドカードシリーズを2連勝、ガーディアンズとの地区シリーズも敵地で2連勝して王手をかけたが、本拠地で2連敗した。ポストシーズンで2連敗のあと持ち直せなかった球団は今年も多く、レイズに2連敗したヤンキースの直近10試合を検証した記事でもその流れを追った。
DiamondStats編集部の独自視点!
第4戦の満塁死球は、2-0からのシンカーが内角に食い込んだものだった。追い込まれてから当たるのではなく、カウントが有利な場面で当たる。これはアントナッチが2-0でも打ちにいく構えを崩さず、内角の球に体を引かないことを示している。死球29個のうちいくつが「避けなかった」結果かは数字では分からないが、デビューから半年で死球率がメジャー最高なのは、打席での立ち位置と姿勢が一貫している証拠だろう。
第5戦は敵地プログレッシブ・フィールド。ガーディアンズの投手陣はこの2試合で3度アントナッチに当てており、内角を攻めるほど彼を塁に出してしまう構図になっている。ガーディアンズが外角中心に切り替えるのか、それでも内角を使うのか。アントナッチの第1打席の初球がどこに来るかが、シリーズ最終戦の攻め方を映す指標になる。
まとめ
- 現地10月8日の地区シリーズ第4戦、アントナッチが5回1死満塁で押し出し死球。前日の第3戦6回2死満塁に続き、ポストシーズン史上初の複数回満塁死球とMLB.comが伝えた
- 今季の死球29はメジャー2位。100打席あたり5.2個は上位選手の中で最高(DiamondStats独自集計)
- 死球29は四球43の約3分の2。球団全体の死球101の28.7%を1人で受けた
- ポストシーズン6試合で4死球は今年の全選手で単独トップ。出塁10回のうち4回が死球
- シリーズは2勝2敗。第5戦は日本時間10月11日午前9時開始
今年のポストシーズンで同じく本拠地2連敗で終わった球団の数字は、カブスが2連敗でシーズンを終えた最終2試合の得失点を検証した記事にまとめている。ホワイトソックスの第5戦の結果も、試合終了後にデータで追う。
よくある質問
Q. サム・アントナッチはどんな選手ですか?
ホワイトソックスの新人外野手で、2024年ドラフト指名、2026年4月15日にメジャーデビューした23歳の左打者です。今季は140試合で打率.277、出塁率.370、本塁打8、死球29(メジャー2位)を記録しました(MLB公式Stats)。
詳しくはカル・ローリーが左肩手術 今季は打率.182と23本塁打で126試合に終わるでまとめています。
Q. 満塁死球は何点入りますか?
満塁で打者が死球を受けると押し出しとなり、三塁走者が生還して1点が入ります。打者には1打点が記録され、打数には数えられません。アントナッチは第3戦と第4戦でそれぞれ1打点を押し出しで記録しました。
Q. 2026年の死球ランキング1位は誰ですか?
MLB公式Statsによるとカージナルスのイバン・エレーラが31死球で1位、アントナッチが29死球で2位、マリナーズのランディ・アロザレーナが26死球で3位です(レギュラーシーズン)。
Q. ホワイトソックスとガーディアンズの地区シリーズ第5戦はいつですか?
現地10月10日午後8時(日本時間10月11日午前9時)に、クリーブランドのプログレッシブ・フィールドで行われます。勝った方がアメリカン・リーグ優勝決定シリーズに進みます。
Q. 死球が多い打者は出塁率が高くなりますか?
死球は四球と同じく出塁として数えられるため、出塁率を押し上げます。アントナッチの場合、打率.277に対して出塁率は.370で、その差.093の大部分を四球43と死球29が作っています。死球が2個だった7月は出塁率.312、6個だった6月は.426でした。
データはMLB公式Statsを独自に集計(10月9日現在)。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年10月時点)






