8月、ドジャースの主砲マックス・マンシーが、かつて「もう野球をやめるつもりでいた」と振り返った過去が米メディアで取り上げられ、話題になっている。今でこそドジャース打線に欠かせない左の長距離砲だが、その裏には一度戦力外を通告され、キャリアの崖っぷちに立たされた時期があった。米メディアの報道によると、マンシー本人は当時を「幸運だった」と語ったという。
では、この「引退寸前だった男」は、そこからどれほど劇的に生まれ変わったのか。DiamondStatsは、感傷ではなくMLB公式Statsの数字だけで、その激変ぶりを検証した。
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「戦力外」だった2015〜16年 A's時代のマンシー
マンシーのキャリアはアスレチックスで始まった。だが最初の2年間の成績は、後の主砲ぶりからは想像できないものだった。

| 年 | 所属 | 試合 | 打数 | 本塁打 | 打率 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2015 | アスレチックス | 45 | 102 | 3 | .206 | .660 |
| 2016 | アスレチックス | 51 | 113 | 2 | .186 | .565 |
| 2年合計 | — | 96 | 215 | 5 | — | — |
2年間で96試合・わずか5本塁打、2年目のOPSは.565まで沈んだ。翌2017年春に戦力外を通告され、その年はメジャーの舞台に一度も立てなかった。報道によれば、この時期に彼は現役を続けるかどうかの岐路に立っていたという。ドジャースとマイナー契約を結び、翌年に大勝負た——それが分岐点だった。
詳しくは岡本和真、メジャー1年目で本塁打37本ペース|歴代日本人ルーキー最速でまとめています。
通算236本のうち、231本は「放出後」
ここからが本題だ。マンシーのMLB通算本塁打は236本(2026年8月11日時点)。そのうち、A's時代に放った本数はたった5本にすぎない。つまり残りの231本は、戦力外を経てドジャースに拾われた後に積み上げた数字だ。
| 区分 | 期間 | 試合 | 本塁打 |
|---|---|---|---|
| 放出前 | 〜2016年 | 96 | 5 |
| 放出後 | 2018〜2026年 | 1,033 | 231 |
| 通算 | — | 1,129 | 236 |
一度は「もう終わり」と考えた選手が、その後に231本。キャリア本塁打の97.9%が“捨てられた後”に生まれているという事実は、単なる復活譚では片づけられない。数字が語るのは、別人への作り替えである。
2018年の“覚醒”:通算5本から一気に35本へ
放出後の初年度、2018年の成績が最も雄弁だ。
| 年 | 試合 | 本塁打 | 打率 | OPS |
|---|---|---|---|---|
| 放出前の通算 | 96 | 5 | .196前後 | — |
| 2018(ドジャース1年目) | 137 | 35 | .263 | .973 |
それまでの通算本塁打5本を、たった1年で35本が上回った。OPS.973はリーグでも屈指の水準で、無名の内野手が一夜にして主砲へと転じた。ここから、ドジャース打線の中軸としての長い時間が始まる。ドジャースというチームの打線構成についてはロサンゼルス・ドジャース完全ガイドでも触れている。
35歳の2026年も22本塁打 衰えない選球眼
そして2026年、35歳になったマンシーは今も現役の主力として稼働している。8月11日時点の成績は次の通りだ。
| 項目 | 2026年 | 通算 |
|---|---|---|
| 試合 | 109 | 1,129 |
| 本塁打 | 22 | 236 |
| 打率 | .248 | .231 |
| 出塁率 | .341 | .353 |
| 長打率 | .485 | .475 |
| OPS | .826 | .828 |
| 四球 | 48 | 652 |
| 三振 | 106 | 1,075 |
注目したいのは2026年のOPS.826が、通算OPS.828とほぼ完全に一致している点だ。全盛期と比べても遜色ない一貫性を、35歳のシーズンでも保っている。
さらに、打率は.248ながら出塁率は.341。その差である約9分3厘は、48四球に象徴される選球眼が生み出したものだ。打率だけを見ると平凡でも、四球で塁に出て打線を回す——これがマンシーの真の価値であり、放出前の若手時代には無かった武器である(OPSや出塁率の意味はMLB野球用語完全解説を参照)。
162試合換算ペースなら約33本塁打(ダイヤモンドスタッツ調べ、22本÷109試合×162)。35歳で30本前後を狙える打者は貴重で、崖っぷちから拾い上げた投資は、10年目を迎えてなお回収され続けている。
この点は大谷翔平 MLB通算300号は歴代5位の速さ 打者として1,102試合で到達で詳しく整理しています。
年度別で見る「崖っぷちからの一貫性」
最後に、A's時代から2026年までを一枚の表で振り返る。断崖から始まり、その後は高い水準で安定していることが一目で分かる。
| 年 | 所属 | 試合 | 本塁打 | OPS |
|---|---|---|---|---|
| 2015 | A's | 45 | 3 | .660 |
| 2016 | A's | 51 | 2 | .565 |
| 2018 | ドジャース | 137 | 35 | .973 |
| 2019 | ドジャース | 141 | 35 | .889 |
| 2020 | ドジャース | 58 | 12 | .720 |
| 2021 | ドジャース | 144 | 36 | .895 |
| 2022 | ドジャース | 136 | 21 | .713 |
| 2023 | ドジャース | 135 | 36 | .808 |
| 2024 | ドジャース | 73 | 15 | .852 |
| 2025 | ドジャース | 100 | 19 | .846 |
| 2026 | ドジャース | 109 | 22 | .826 |
2017年に一行の空白があるのは、戦力外でメジャーの記録が残らなかった年だ。この空白の一年をはさんで、成績は別次元に跳ね上がっている。このペースがシーズン終了時にどこへ着地するかは、MLB最終成績シミュレーションの考え方でも追える。
まとめ
「引退するつもりでいた」という告白は、単なる美談ではない。数字で見れば、その言葉の重みはより鮮明になる。
- A's時代の2年間は96試合・5本塁打、2年目OPS.565で戦力外
- 通算236本塁打のうち231本(97.9%)は放出後に記録
- ドジャース1年目の2018年にいきなり35本・OPS.973で覚醒
- 35歳の2026年も22本・OPS.826で、通算OPS.828とほぼ一致
一度は野球を諦めかけた男が、その後にキャリアのほぼすべてを築いた。マンシーの「知られざる過去」は、成績の裏にある物語として、これらの数字と併せて読むと一層味わい深い。
よくある質問
Q. マックス・マンシーはどんな選手?

ドジャースに所属する左打ちの内野手(三塁手)で、長打力と選球眼を兼ね備えた主砲です。MLB通算236本塁打、通算OPS.828(2026年8月11日時点)。
あわせて7月2日 MLB日本人選手 成績まとめ|鈴木 誠也1本塁打も参考になります。
Q. なぜ引退を考えていたと言われている?
アスレチックス時代の2015〜16年は2年で5本塁打・96試合と結果を残せず、2017年春に戦力外通告を受けたためです。米メディアの報道によると、当時は現役続行の岐路に立っていたとされます。
Q. 通算本塁打は何本? そのうち何本がドジャースでの記録?
2026年8月11日時点で通算236本塁打。うちA's時代は5本のみで、残る231本はドジャース移籍後に記録したものです。
Q. 2026年シーズンの成績は?
109試合で22本塁打、打率.248・出塁率.341・長打率.485、OPS.826(8月11日時点)。162試合換算では約33本塁打ペースです。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年8月時点)





