チザム獲得にメッツが浮上 シティ・フィールド打率.583と40盗塁をデータ検証。
日本時間9月4日、ヤンキースのジャズ・チザム・ジュニア内野手(28)について、今オフのFA移籍先としてメッツが浮上したと伝えられた。ヤンキース側も複数年での再契約に動くとみられ、同じニューヨークを本拠地とする2球団の争奪戦になる可能性がある。
移籍説の根拠のひとつが「メッツの本拠地シティ・フィールドで打率5割超え」という数字だ。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)がMLB公式Statsで確かめると、今季は確かに12打数7安打の打率.583。ただし、打数はわずか12。この数字をどう読むかが今回のテーマだ。
「本拠地で打率5割」の中身は12打数
まず結論から言うと、今季のシティ・フィールドの数字は3試合分しかない。5月15日から17日の3連戦で7安打を固め打ちした結果で、打率としては立派だが、選手の実力を語るには少なすぎる。

そこでDiamondStatsは、チザムがマーリンズ時代からシティ・フィールドで残した全成績を集計した。
| 年 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021 | 9 | 29 | 7 | 1 | 3 | .241 |
| 2022 | 4 | 12 | 2 | 0 | 1 | .167 |
| 2023 | 6 | 22 | 6 | 1 | 2 | .273 |
| 2024 | 3 | 11 | 4 | 1 | 1 | .364 |
| 2025 | 2 | 7 | 3 | 1 | 0 | .429 |
| 2026 | 3 | 12 | 7 | 0 | 1 | .583 |
| 通算 | 27 | 93 | 29 | 4 | 8 | .312 |
(MLB公式Statsを基にDiamondStats独自集計、9月4日現在)
通算では93打数29安打の打率.312。チザムの通算打率.245と比べると6分7厘高く、「シティ・フィールドと相性がいい」という見方は、12打数だけの話ではなく6年分の実績にも裏付けがある。とはいえ93打数は半シーズンにも満たない。相性を示す材料ではあっても、移籍後の成績を約束する数字ではない。
本当の売りは「40盗塁」の希少性
移籍市場でチザムの価値を決めるのは、シティ・フィールドの打率ではなく盗塁だ。今季の40盗塁はア・リーグ1位、MLB全体でも2位に入る(9月4日現在)。
| 順位 | 選手 | 球団 | 盗塁 | 本塁打 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ナシム・ヌニェス | ナショナルズ | 44 | 1 | .542 |
| 2 | チザム | ヤンキース | 40 | 19 | .716 |
| 3 | チャンドラー・シンプソン | レイズ | 38 | 0 | .699 |
| 3 | ボビー・ウィット・ジュニア | ロイヤルズ | 38 | 16 | .806 |
| 5 | ピート・クロウ=アームストロング | カブス | 32 | 39 | .946 |
(MLB公式Stats、9月4日現在)
注目したいのは本塁打との組み合わせだ。盗塁上位5人のうち、本塁打19本以上と盗塁40以上を両方満たすのはチザムだけ。1位のヌニェスは本塁打1本、3位のシンプソンは0本で、走る一方の選手だ。
しかもチザムは2024年にも本塁打24本・盗塁40を記録している。3年で2度の40盗塁と、いずれも二桁本塁打。この組み合わせを持つ二塁手は市場にほとんど出てこない。
DiamondStats調べで162試合換算すると、今季のペースは約49盗塁。残り試合でこのペースを保てば、自己最多を更新する計算になる。
メッツの二塁は今季OPS.631
移籍説が出る背景には、メッツの二塁事情がある。今季120試合に出場したマーカス・セミエンは打率.218、OPS.631。ホルヘ・ポランコは37試合で打率.148、OPS.431にとどまる。チザムの今季OPS.716は決して高い数字ではないが、メッツの現状と比べると差ははっきりしている。
| 選手 | 試合 | 打率 | 本塁打 | 盗塁 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|
| チザム(ヤンキース) | 131 | .231 | 19 | 40 | .716 |
| セミエン(メッツ) | 120 | .218 | 14 | 10 | .631 |
| ポランコ(メッツ) | 37 | .148 | 2 | 0 | .431 |
(MLB公式Stats、9月4日現在)
メッツは63勝77敗で地区5位、ワイルドカード争いからも10.5ゲーム差と遠い(9月4日現在)。来季の立て直しに二塁手の補強が必要なのは、数字が示す通りだ。
今季のチザムは「打率」より「出場」で価値を出した
今季のチザムの打率.231は、規定打席に到達した2021年以降で最も低い。ただし月別に見ると、8月以降は持ち直している。
| 月 | 試合 | 打率 | 本塁打 | 盗塁 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|
| 3・4月 | 30 | .202 | 3 | 9 | .610 |
| 5月 | 26 | .281 | 3 | 5 | .800 |
| 6月 | 25 | .177 | 6 | 10 | .713 |
| 7月 | 21 | .234 | 4 | 6 | .728 |
| 8月 | 27 | .244 | 2 | 10 | .703 |
(MLB公式Stats、9月4日現在。3月と4月は合算)
アーロン・ジャッジは5月31日を最後に試合に出ていない。その間もヤンキースは80勝60敗でワイルドカード1位を守っており、131試合に出続けたチザムの40盗塁は、得点力を落とさないための重要な武器になった。
一方でヤンキー・スタジアムでの今季打率は.235で、敵地の.227とほぼ差がない。昨季は本拠地.277・敵地.207と大きな差があった。「本拠地に強い打者」というより「球場に左右されにくくなった」と読むのが今季の実態に近い。
DiamondStats編集部の独自視点!
移籍説の見出しになった打率.583は、たった12打数の数字だ。ただ、シティ・フィールド通算で.312という6年分の実績まで戻ると、単なる偶然とも言い切れない。
編集部が本当に注目しているのは、この争奪戦がヤンキースの「走れる二塁手」不足を露わにする点だ。チザムが抜ければ、40盗塁と19本塁打を同時に持つ選手をどこから連れてくるのか。ソトのときは打線の柱を失い、今度は機動力の柱を失うことになる。
ソトが2024年オフに15年総額約1147億円でヤンキースからメッツへ移った前例がある。あのときも「同じ街での移籍」が話題になった。チザムの契約規模はソトとは比べものにならないが、2年続けてニューヨークの2球団が同じ選手を奪い合う構図は、来オフの市場の主役になりそうだ。
同じア・リーグ東地区では、レイズが9連勝でMLB勝率1位に立つなど、上位争いが動いている。順位表の見方はレイズが9連勝でMLB勝率1位に浮上の記事でまとめている。
まとめ
- 9月4日、チザムの今オフFA移籍先としてメッツが浮上した
- 話題の「シティ・フィールド打率.583」は今季12打数の数字。通算では93打数で.312
- 40盗塁はア・リーグ1位。本塁打19本以上と盗塁40以上の両立はMLBでチザムだけ(9月4日現在)
- メッツの二塁はセミエンがOPS.631、ポランコが.431と低迷しており、補強の必要性は数字が示している
データはMLB公式Statsを独自に集計。
よくある質問
Q. チザムはいつFAになる?

今季終了後にFAになる見込みで、ヤンキースが複数年での再契約を目指すとみられる。移籍先はまだ決まっていない。
Q. チザムの2026年の成績は?
9月4日現在で131試合、打率.231、19本塁打、55打点、40盗塁、OPS.716。盗塁はア・リーグ1位。
Q. チザムはシティ・フィールドでどれくらい打っている?
今季は12打数7安打で打率.583。マーリンズ時代を含む通算では27試合93打数29安打で打率.312。
Q. メッツの二塁手は誰?
今季はマーカス・セミエンが120試合に出場し、打率.218、14本塁打、OPS.631。ホルヘ・ポランコは37試合で打率.148。
Q. ソトのメッツ移籍はいつ?
2024年オフに、ヤンキースからメッツへ15年総額約1147億円の契約で移籍した。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年9月時点)





