8月13日、エンゼルスがグレッグ・マダックス投手コーチら3名の電撃解任を発表した。解任時に報じられた「与四球508はMLBワースト」という数字を、DiamondStatsがMLB公式Statsで8月13日時点まで取り直したところ、エンゼルスの与四球は512本にまで増え、依然として30球団で最多(ワースト1位)だった。9イニングあたりの与四球(BB/9)も4.36で、これもMLB30球団でただ1つ4.3を超える最悪の数字。まず結論を言い切ると、今回の解任は「制球難」という一点で公式指標に明確に表れている。
与四球512本はMLB断トツの最多(8月13日時点)
30球団の与四球を並べると、エンゼルスの突出ぶりが分かる。2位アストロズ(504)、3位レッズ(490)を抑え、球団としてMLBで最も四球を出している。リーグ平均は約407個で、エンゼルスはそこから約105個も多い計算だ。

| 順位 | 球団 | 与四球 | BB/9 |
|---|---|---|---|
| 1位(最多) | エンゼルス | 512 | 4.36 |
| 2位 | アストロズ | 504 | 4.19 |
| 3位 | レッズ | 490 | 4.20 |
| 4位 | アスレチックス | 482 | 4.05 |
| 5位 | ロイヤルズ | 452 | 3.83 |
| - | リーグ平均 | 約407 | 3.43 |
BB/9で見ても、2位レッズ4.20・3位アストロズ4.19に対しエンゼルスは4.36。四球の「量」だけでなく「率」でも単独ワースト1位で、たまたま投球回が多いから数が積み上がったわけではないことがはっきり分かる。BB/9や奪三振÷四球の比率といった指標の意味はMLBで使われる野球用語の完全解説にまとめている。
「制球」だけが突出して悪い — 指標別のMLB順位
ここがDiamondStatsの独自検証の核心だ。エンゼルス投手陣を指標別にMLBで何番目に悪いかで並べると、四球関連だけが飛び抜けて悪く、失点に近い指標ほど「普通に悪い」程度に収まる。
| 指標 | エンゼルスの数値 | MLBでの位置 |
|---|---|---|
| 与四球 | 512 | 1位(最多) |
| BB/9 | 4.36 | 1位(最悪) |
| 奪三振÷四球 | 2.10 | ワースト4位 |
| ERA | 4.49 | ワースト7位 |
| FIP | 4.27 | ワースト10位 |
奪三振は1075個・K/9は9.16と、奪う力そのものはむしろ平均以上にある。それでも奪三振÷四球の比率が2.10でワースト4位まで落ちるのは、分子の三振ではなく分母の四球が多すぎるからだ。ERAが4.49でワースト7位、失点の質を測るFIP(本塁打・四球・死球・三振だけで算出する指標)は4.27でワースト10位。つまり「打たれる球威・被本塁打」はリーグ中位クラスの悪さにとどまり、悪化を突出させているのは制球という一点に絞り込める。
あわせて今永昇太、5回1失点でも援護ゼロ 直近5登板ERA3.33で見えた復調の兆しも参考になります。
なぜ投手コーチ解任だったのか
チーム全体のFIP10位・ERA7位という「そこそこ悪い」水準に対し、与四球とBB/9だけが単独ワースト1位。この歪みは、球団が「球威や編成の問題ではなく、四球を減らせなかったこと=投手指導の領域」と判断したと読むのが自然だ。死球も63個と多く、四球と合わせた「無償の出塁」は575回に達する。ストライク先行で四球を1試合1〜2個減らせるだけで、失点は大きく変わる余地がある——それが解任の背景にある数字上のメッセージだ。
同じ「投手陣が崩れた球団」でも中身は異なる。ERA5.51でMLBワーストのアスレチックスや、標高の影響を受けるERA5.47のロッキーズは被打・被本塁打型の崩れ方で、四球単独ワーストのエンゼルスとは崩壊の質が違う。
162試合換算ペースで見る深刻さ(ダイヤモンドスタッツ調べ)
エンゼルスの与四球512本を162試合ペースに換算すると、約697個に達する(DiamondStats調べ:512×162÷119)。リーグ平均の162試合換算は約554個で、フルシーズンなら140個以上も多く四球を出すペースだ。1試合あたりに直せば、エンゼルスは平均的な球団より1試合でおよそ0.9個多く走者を無償で出し続けてきた計算になる。この積み重ねが、失点の質(FIP)以上にERAを押し上げてきた要因といえる。
この点は鈴木誠也が元巨人マイコラスから4年連続20号 102試合20本のペースと打点をデータで検証で詳しく整理しています。
まとめ
- エンゼルスの与四球は8月13日時点で512本、MLB最多(ワースト1位)。報道値508からさらに増加。
- BB/9 4.36も単独ワースト1位。四球は「量」でも「率」でも30球団最悪。
- 一方でFIP10位・ERA7位にとどまり、悪いのは制球という一点に集中。これが投手コーチ解任の数字上の根拠と読める。
- 162試合換算では約697与四球ペースで、リーグ平均より140個以上多い。
DiamondStats編集部の独自視点!
崩れ方には「型」がある。被本塁打が主因なら編成や球場の問題に、四球が主因なら指導と再現性の問題に近づく。エンゼルスは後者の典型で、球威が残っているぶん、四球さえ整えば一気に浮上する余地を抱えている。新体制の初戦から、1試合あたりの四球がどこまで減るか——DiamondStatsは引き続きBB/9の推移を追っていく。
よくある質問
Q. エンゼルスの与四球は本当にMLBワーストなの?
8月13日時点のMLB公式Statsで512個、30球団で最多です。2位アストロズ504、3位レッズ490を上回り、9イニングあたりの与四球(BB/9)4.36も単独でMLBワースト1位です。
Q. 報道の「508与四球」とデータが違うのはなぜ?
508は解任発表時点の数字で、その後の試合で四球が積み増され、DiamondStatsが8月13日時点で取り直すと512になっていました。順位(MLB最多)は変わっていません。
詳しくは大谷翔平 MLB通算300号は歴代5位の速さ 打者として1,102試合で到達でまとめています。
Q. 投手陣が悪いなら、なぜ投手コーチが対象になったの?
失点の質を測るFIPは10位、ERAは7位と「中位クラスの悪さ」にとどまる一方、与四球とBB/9だけが単独ワースト1位。制球という指導領域に問題が集中していることが、公式指標から読み取れます。
Q. 奪三振は多いのに奪三振÷四球の比率が悪いのはどういうこと?
奪三振は1075個・K/9 9.16と平均以上ですが、四球が多すぎるため奪三振÷四球の比率は2.10でワースト4位まで下がります。三振を奪う力ではなく、四球の多さが指標を悪化させています。
データはMLB公式Statsを2026年8月13日時点でDiamondStatsが独自に集計。
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