9月に入ったナ・リーグのMVPレースは、1人が抜け出す構図になっていない。総合価値のWARはカブスのピート・クロウ=アームストロング、打点は新人のサル・スチュワート(レッズ)がリーグ最多と、物差しごとに先頭に立つ選手が違う。同じ2026年のア・リーグMVPレースを扱った記事とは、リーグも主役の顔ぶれもまったく別だ。残り試合数から逆算すると、決着の時期も見えてくる。
レギュラーシーズン最終成績(MLB公式Stats)
この欄はレギュラーシーズン終了時点の数字です。本文の分析は公開時点の数字です。
| 部門 | 順位 | 選手 | 数字 |
|---|---|---|---|
| WAR(野手) | 1位 | ピート・クロウアームストロング(カブス) | 10.6 |
| WAR(野手) | 2位 | エリー・デラクルーズ(レッズ) | 6.4 |
| WAR(野手) | 3位 | ブライス・テューラン(ブルワーズ) | 5.9 |
| WAR(野手) | 3位 | オットー・ロペス(マーリンズ) | 5.9 |
| OPS | 1位 | ピート・クロウアームストロング(カブス) | .942 |
| OPS | 2位 | ジェームズ・ウッド(ナショナルズ) | .891 |
| OPS | 3位 | 大谷 翔平(ドジャース) | .889 |
| 本塁打 | 1位 | ピート・クロウアームストロング(カブス) | 45 |
| 本塁打 | 1位 | カイル・シュワーバー(フィリーズ) | 45 |
| 本塁打 | 3位 | ハンター・グッドマン(ロッキーズ) | 41 |
| 本塁打 | 3位 | マット・オルソン(ブレーブス) | 41 |
| 打点 | 1位 | アレック・バールソン(カージナルス) | 116 |
| 打点 | 2位 | サル・スチュワート(レッズ) | 112 |
| 打点 | 3位 | ピート・クロウアームストロング(カブス) | 107 |
出典:MLB公式Stats。WAR・FIPはMLB公式Statsの算出値で、ほかの算出元の数字とは異なることがある。
いまの数字を並べると、3人の顔が並ぶ
9月1日時点のMLB公式集計を見ると、部門ごとに首位が入れ替わる。
| 部門 | 選手 | チーム | 数字 | チームの消化試合 |
|---|---|---|---|---|
| WAR(総合価値) | ピート・クロウ=アームストロング | カブス | 9.3 | 139試合 |
| WAR 2位 | 大谷翔平 | ドジャース | 6.8 | 137試合 |
| OPS(得点力) | ピート・クロウ=アームストロング | カブス | .943 | 139試合 |
| 打点 | サル・スチュワート | レッズ | 105 | 139試合 |
スチュワートの105打点は、9月1日時点の新人打点としてはアルバート・プホルス(2001年、103打点)を上回るMLB史上最多。ペドロ・アロンソが2019年に記録した新人シーズン120打点以来、新人が打点100の大台に乗せたのも初めてだ。
「このペースなら」残り試合を計算式で見る
ダイヤモンドスタッツ調べで、いまのペースを162試合換算にすると次の式になる。
現在の数字 ÷ チームの消化試合数 × 162試合 = シーズン換算ペース
- クロウ=アームストロングのWAR: 9.3 ÷ 139 × 162 = 約10.8
- 大谷のWAR: 6.8 ÷ 137 × 162 = 約8.0
- スチュワートの打点: 105 ÷ 139 × 162 = 約122
このペースを最後まで維持できれば、クロウ=アームストロングのWARは後述する過去10年のMVPの最終値をすべて上回る水準になる。ただし残り試合はカブスが23試合、ドジャースが25試合、レッズが23試合。故障や疲労で終盤に数字が落ちるのはよくあることで、このペースがそのまま続く保証はない。
詳しくはクロウアームストロング2発4打点、大谷とNL・MVP同率へ|カブスが8月5日にドジャースをスイープ、データで検証でまとめています。
過去10年のMVPの最終成績と比べる
過去10年のナ・リーグMVP受賞者の最終成績(公式発表値)は次の通り。
| 年 | 受賞者 | 最終WAR | 最終OPS | 最終打点 |
|---|---|---|---|---|
| 2016 | クリス・ブライアント | 8.4 | .939 | 102 |
| 2017 | ジャンカルロ・スタントン | 7.6 | 1.007 | 132 |
| 2018 | クリスチャン・イエリッチ | 7.6 | 1.000 | 110 |
| 2019 | コディ・ベリンジャー | 9.0 | 1.035 | 115 |
| 2020 | フレディ・フリーマン | 3.2 | 1.102 | 53(短縮60試合) |
| 2021 | ブライス・ハーパー | 5.9 | 1.044 | 84 |
| 2022 | ポール・ゴールドシュミット | 7.7 | .981 | 115 |
| 2023 | ロナルド・アクーニャ・ジュニア | 8.1 | 1.012 | 106 |
| 2024 | 大谷翔平 | 9.2 | 1.036 | 130 |
| 2025 | 大谷翔平 | 7.7 | 1.014 | 102 |
過去10年でWARが9.0を超えたのは2019年ベリンジャー(9.0)と2024年大谷(9.2)の2度だけ。クロウ=アームストロングの現在ペース(約10.8)は、この10年のどのMVPシーズンよりも高い水準にある。一方、スチュワートの打点ペース(約122)は2017年スタントンの132には届かないものの、2024年大谷の130に迫る規模で、新人選手としては過去10年のMVP受賞者と並べても遜色ない数字になる。
決着はいつか 残り試合数から見る
レギュラーシーズンの最終日は9月27日。カブス・ドジャース・レッズとも残り試合は20試合台前半で、シーズンの85%以上を消化した段階に入っている。
MVP投票はポストシーズン開幕前に締め切られるため、9月の成績がそのまま最終判断に反映される。過去にも終盤で状況が動いた例は多い。2018年のイエリッチは8月から9月にかけて数字を伸ばして受賞に至った一方、故障でシーズンを早めに終える年もある。残り試合が20試合台の今の時期は、まだどちらの物差しが評価されるかが固まっていない段階と言える。受賞発表は例年11月で、投票はシーズン最終戦の直後に締め切られる。
まとめ
9月1日時点のナ・リーグMVPレースは、WARならクロウ=アームストロング、打点なら新人スチュワートと、部門によって先頭が変わる状態にある。いまのペースを162試合換算すると、クロウ=アームストロングのWARは過去10年のMVPシーズンを上回る水準に達する計算になるが、残り20試合超をどう乗り切るかで最終的な評価は変わる。決着はシーズン最終日の9月27日まで持ち越される可能性が高い。
よくある質問
Q. 2026年のナ・リーグMVPは誰が有力ですか
9月1日時点ではWARでカブスのピート・クロウ=アームストロング、打点で新人のサル・スチュワート(レッズ)がリーグトップに立っており、1人に絞り込まれた状況ではありません。

Q. WARとOPSと打点、どれが一番MVP投票で重視されますか
公式な重み付けは公表されていません。ただし総合的な貢献度を示すWARで先頭に立つ選手は、近年の受賞者と傾向が近い数字を残しています。
Q. サル・スチュワートの打点記録はどれくらいすごいのですか
9月1日時点の新人打点としてはアルバート・プホルス(2001年)の103打点を上回るMLB史上最多で、ペドロ・アロンソの2019年以来となる新人での打点100到達です。
Q. 2026年のナ・リーグMVPはいつ発表されますか
レギュラーシーズンの最終日は9月27日で、投票はポストシーズン開幕前に締め切られます。例年の発表時期は11月です。
Q. 大谷翔平は2026年もMVP候補ですか
ドジャースの大谷翔平はWARでリーグ2位につけており、9月1日時点でも候補の一角です。ただし今回の記事の軸はクロウ=アームストロングとスチュワートを含めたリーグ全体のデータ比較で、特定の1人を主役にはしていません。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年9月時点)





