8月26日までにまとまったMLB公式サイトのナ・リーグMVP投票で、カブスのピート・クロウアームストロング(PCA)が今季初めて首位に浮上した。米メディアが行った21人の専門家アンケートでも15人がPCAを支持している。直近では8月18日のホワイトソックス戦(クロスタウン対決)で4打数4安打・2本塁打・3打点、延長10回にはサヨナラ本塁打を放ち、本塁打と盗塁がともに30を超える「30/30」に到達していた。大谷翔平が長らく独走してきたMVPレースに、なぜPCAが割り込んできたのか。ダイヤモンドスタッツ調べで両者の数字を突き合わせる。
MVP予想の本命が入れ替わった大逆転
MVP予想の本命の推移を見ると、この1カ月の変化がわかりやすい。

| 時点 | 大谷翔平 | クロウアームストロング |
|---|---|---|
| 7月18日 | 圧倒的本命 | 本命ではない |
| 8月18日 | 対抗 | 本命 |
わずか1カ月で予想の本命が入れ替わった。大谷が投手としても最有力候補であり続けてきた中で、この逆転は打者としてのPCAの数字がそれだけ積み上がったことを示している。
打撃指標で見るPCA対大谷
直近時点の打撃成績を並べると、単純にどちらが上とは言えない僅差であることがわかる。
| 指標 | PCA | 大谷 |
|---|---|---|
| 試合数 | 134 | 137 |
| 打率 | .276 | .288 |
| 出塁率 | .374 | .388 |
| 長打率 | .550 | .546 |
| OPS | .924 | .934 |
| 本塁打 | 33 | 30 |
| 打点 | 83 | 80 |
| 盗塁 | 32 | 10 |
打率・出塁率・OPSは大谷がわずかに上回る。一方で長打率・本塁打・打点・盗塁はPCAが上回っており、特に盗塁は32対10と大きな差がついている。大谷が投打二刀流である点も踏まえると、単純な打撃成績だけでMVPの優劣を決めるのは難しい僅差だと言える。
WARと守備が生んだ差
打撃だけでは説明できない差が、守備を含めた総合指標に表れている。
| 指標 | PCA | 大谷 |
|---|---|---|
| ベースボール・リファレンス版WAR | 7.9 | 6.9 |
| ファングラフス版WAR | 8.6(MLB全選手1位) | 7.0 |
| 守備FRV(中堅手) | 24(MLB全選手1位) | ― |
| 守備OAA | 23(ナ・リーグ1位) | ― |
ファングラフス版WARでPCAがMLB全選手の中でトップに立っているのは、中堅手としての守備範囲の広さが大きい。FRV(守備による得点貢献)24はMLB全選手で最多、OAA(守備範囲の指標)23もナ・リーグ首位で、打撃の僅差を守備で覆す形になっている。大谷は投手としても85.2回を投げ、防御率1.79・95奪三振・8勝2敗という成績を残しており、二刀流としての価値はWARの数字だけでは測りきれない部分もある。
詳しくは大谷翔平「数字に表れない絶対的価値」を独自データで検証|二刀流は1つの指標では測れないでまとめています。
独自集計:162試合換算で見るPCAのペース
ダイヤモンドスタッツ調べで、現在の成績を162試合換算した場合のペースを算出した。
| 指標 | 実数(134試合) | 162試合換算 |
|---|---|---|
| 本塁打 | 33 | 約40 |
| 盗塁 | 32 | 約39 |
| 打点 | 83 | 約100 |
| 安打 | 141 | 約170 |
| 得点 | 93 | 約112 |
同じ換算を大谷の本塁打・盗塁にも当てはめると、本塁打は約35、盗塁は約12。ペースで比べても、PCAが本塁打と盗塁を高い水準で両立させていることがわかる。さらに7月3日以降の直近区間ではwRC+171・OPS1.014・本塁打14本という高い数字を残しており、8月のMVP投票逆転は一時的な好調ではなく、シーズン後半にかけて積み上げてきた結果と言える。
まとめ
8月26日時点でPCAが今季初めてMVP投票の首位に立った背景には、打撃での僅差を守備とWARで上回る総合力があった。打率・出塁率・OPSでは大谷がわずかに上回る一方、長打力・盗塁・守備で明確な差をつけているのがPCAの強みだ。残り試合でどちらが数字を伸ばすか、ダイヤモンドスタッツでは今後も両者の推移を追っていく。
8月18日のホワイトソックス戦でのサヨナラ本塁打の詳報は、DiamondStatsの記事「クロウアームストロング2発4打点、大谷とNL・M」でまとめている。カブスの試合は地上波中継がない日も多く、配信サービスでの視聴が中心になっている。
よくある質問
Q. PCAは今季何本塁打・何盗塁を記録している?
8月時点で本塁打33本・盗塁32個を記録しており、本塁打・盗塁がともに30を超える「30/30」を達成している。
Q. PCAと大谷、WARが高いのはどちらか?
ファングラフス版WARはPCAが8.6でMLB全選手の中で1位、大谷は7.0。ベースボール・リファレンス版WARもPCAが7.9で大谷の6.9を上回っている。
Q. MVP投票でPCAが大谷を上回ったのはいつから?
米メディアのMLB.com投票集計で、8月26日までの発表でPCAが今季初めて首位に立った。専門家21人のアンケートでも15人がPCAを選んでいる。
Q. 打撃成績は大谷の方が上ではないのか?
打率(.276対.288)・出塁率(.374対.388)・OPS(.924対.934)は大谷がわずかに上回る。ただし長打率・本塁打・打点・盗塁ではPCAが上回っており、総合力で差がついている。
Q. 大谷は投手としてもMVP候補になっているのか?
大谷は今季も投打二刀流を続けており、投手としても防御率1.79・8勝2敗という成績を残している。打撃だけでなく投手成績も含めた総合評価がMVPレースの争点になっている。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年8月時点)





