タナー・スコットが年俸14位の9.2億円 防御率4.74から2.57へ復権をデータ検証。
ドジャースの2026年年俸ランキングで第14位に入ったのが救援左腕のタナー・スコットです。今季の支払額は約9億2000万円(1ドル160円換算、契約データを基にした集計)。日本時間9月3日のカージナルス戦では、1点リードの8回に登板して同点に追いつかれ、今季3度目のセーブ失敗を記録したばかりです。
それでも数字は昨季と別人です。2025年は防御率4.74でセーブ失敗10がMLB最多。2026年は9月4日現在で防御率2.57、WHIP0.95、四球率1.93(MLB公式Statsを基にDiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)が集計)。加入1年目に「貰いすぎ」と言われた左腕が、今季は9億2000万円をどこまで働きで返しているのか。年俸と成績を並べて検証します。
ドジャース年俸11〜15位の顔ぶれ 14位スコットは9億2000万円
まず順位の全体像です。1ドル160円換算で、11位から15位は8億円台から12億円台に収まっています。

| 順位 | 選手 | 守備 | 2026年の支払額 |
|---|---|---|---|
| 1位 | カイル・タッカー | 外野手 | 約88億円 |
| 5位 | フレディ・フリーマン | 一塁手 | 約24億円 |
| 11位 | ウィル・スミス | 捕手 | 約12億8000万円 |
| 12位 | エバン・フィリップス | 投手 | 約10億4000万円 |
| 13位 | トミー・エドマン | 内野手 | 約9億6000万円 |
| 14位 | タナー・スコット | 投手 | 約9億2000万円 |
| 15位 | ミゲル・ロハス | 内野手 | 約8億8000万円 |
スコットの契約は2025年1月に結んだ4年総額約115億2000万円。単純に4で割ると年平均約28億8000万円で、今季の支払額9億2000万円はその3分の1以下です。差が出るのは支払いの時期を分ける契約の仕組みによるもので、球団の今季の負担は表の額面どおりです。
11位から15位の中で救援投手はスコットとフィリップスの2人。2人の今季の働きは後の節で比べます。
2025年と2026年の比較 セーブ失敗10がMLB最多から3へ
スコットの直近3年をMLB公式Statsで並べると、2025年だけが谷になっています(2026年は9月4日現在)。
| 年 | 登板 | 投球回 | 防御率 | WHIP | セーブ | セーブ失敗 | 奪三振 | 四球 | 被本塁打 | 被打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年(マーリンズ・パドレス) | 72 | 72.0 | 1.75 | 1.13 | 22 | 2 | 84 | 36 | 3 | .179 |
| 2025年(ドジャース) | 61 | 57.0 | 4.74 | 1.26 | 23 | 10 | 60 | 18 | 11 | .254 |
| 2026年(ドジャース) | 60 | 56.0 | 2.57 | 0.95 | 20 | 3 | 67 | 12 | 4 | .204 |
2025年のセーブ失敗10はMLB全体で最多でした。2位はレッドソックスのグレッグ・ワイザートとメッツのライアン・ヘルズリーの9で、2桁はスコットだけです。
崩れた原因は被本塁打です。57回で11本は、2024年の72回で3本の4倍近く。今季は56回で4本に戻りました。
一方で見逃せないのが四球の減り方です。9イニングあたりの四球は2024年の4.50から2025年に2.84、今季は1.93。三振と四球の比は2.33、3.33、5.58と毎年上がっています。2025年も制球は良くなっていたのに、甘い球を長打にされていた。今季はその長打が消え、制球の改善だけが残った形です。
月別推移 2025年は5月と7月に崩れ 2026年は毎月2点台
2025年の谷がどこにあったのか、月ごとに分けます。3月と4月は合算しています。
| 月 | 2025年 防御率 | 2025年 セーブ/失敗 | 2026年 防御率 | 2026年 セーブ/失敗 |
|---|---|---|---|---|
| 3・4月 | 2.40(15.0回) | 8/2 | 2.03(13.1回) | 1/0 |
| 5月 | 7.59(10.2回) | 2/3 | 2.38(11.1回) | 4/1 |
| 6月 | 1.35(13.1回) | 8/0 | 1.86(9.2回) | 6/0 |
| 7月 | 8.10(6.2回) | 1/2 | 3.48(10.1回) | 5/1 |
| 8月 | 9.00(3.0回) | 1/1 | 2.61(10.1回) | 4/0 |
| 9月 | 6.48(8.1回) | 3/2 | 9.00(1.0回) | 0/1 |
2025年は5月と7月に防御率7点台と8点台の月があり、8月は登板が3試合しかありません。9月も8.1回で自責点6。ポストシーズンを前に信頼を失っていく過程が数字に出ています。
2026年は3・4月から8月まで、月別防御率がすべて3.48以下。最も悪い7月でも10.1回で自責点4です。同じ投手の同じ球団での2年間として、これだけ安定の質が変わった例は多くありません。
MLB救援投手105人の中の位置 三振と四球の比は3位
今季40回以上を投げ、先発登板のない救援投手はMLBに105人います(9月4日現在、DiamondStats調べ)。その中でのスコットの順位です。
| 指標 | スコットの数字 | 105人中の順位 |
|---|---|---|
| 三振と四球の比 | 5.58 | 3位 |
| 9イニングあたり四球 | 1.93 | 6位 |
| WHIP | 0.95 | 11位 |
| セーブ | 20 | 13位 |
| 防御率 | 2.57 | 21位 |
三振と四球の比の上位5人は次のとおりです。
| 順位 | 投手 | 球団 | 三振 | 四球 | 比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | ジョアン・デュラン | フィリーズ | 69 | 9 | 7.67 |
| 2位 | ギャレット・ウィットロック | レッドソックス | 50 | 7 | 7.14 |
| 3位 | タナー・スコット | ドジャース | 67 | 12 | 5.58 |
| 4位 | メイソン・ミラー | パドレス | 104 | 20 | 5.20 |
| 5位 | ディラン・リー | ブレーブス | 74 | 15 | 4.93 |
防御率だけ見ると21位で「並の上」ですが、四球を出さずに三振を取る力では上から3番目。上の2人のデュランとウィットロックはどちらも右腕なので、この指標でスコットは左腕トップです。
ドジャースの救援陣の中でも、スコットは防御率とWHIPの両方で1位です。
| 投手 | 登板 | 投球回 | 防御率 | WHIP | セーブ | ホールド |
|---|---|---|---|---|---|---|
| タナー・スコット | 60 | 56.0 | 2.57 | 0.95 | 20 | 12 |
| エドガルド・エンリケス | 55 | 55.1 | 2.77 | 0.98 | 1 | 9 |
| ジャック・ドレイヤー | 59 | 55.1 | 2.93 | 1.07 | 1 | 10 |
| アレックス・ベシア | 62 | 48.2 | 3.14 | 1.19 | 3 | 18 |
| ブレイク・トライネン | 29 | 23.0 | 3.52 | 1.35 | 1 | 6 |
| エバン・フィリップス | 22 | 17.2 | 4.08 | 1.30 | 0 | 5 |
先発陣の防御率が悪化して6連敗した時期の分析はドジャース6連敗の正体をデータ分解にまとめています。あの時期もリードを渡された救援陣の数字は崩れていませんでした。
年俸1億円あたりの働き DiamondStats独自集計
救援投手は投球回が少なく、WARのような総合指標では差が出にくい。そこでDiamondStatsは、今季の支払額を実際の働きで割って比べました。
| 項目 | スコット(9億2000万円) | フィリップス(10億4000万円) |
|---|---|---|
| 投球回 | 56.0回 | 17.2回 |
| 1イニングあたり | 約1640万円 | 約5900万円 |
| セーブ+ホールド | 32 | 5 |
| 1つあたり | 約2880万円 | 約2億800万円 |
| 防御率 | 2.57 | 4.08 |
フィリップスは2025年6月に右肘の手術を受け、今季7月にメジャー復帰したばかりなので、投球回が少ないのは仕方がありません。それでも「今季の支払額に対する働き」だけを見れば、この2人の中でスコットのほうが3倍以上安く1イニングを買えている計算です。
もう1つの見方は、2025年との比較です。昨季のセーブ失敗10は、リードした試合を10回落としかけたということ。今季は3回。セーブ機会23回のうち20回を守った成功率87%は、昨季の70%(33回中23回)から17ポイント上がりました。
ドジャースには2年連続サイ・ヤング賞の左腕タリク・スクーバルも加わっています。先発の補強とあわせ、9回を任せる左腕が計算できるかどうかは、球団の投資全体の価値を左右します。スクーバルの獲得の経緯はドジャース入りのスクーバル 2年連続サイ・ヤングで扱いました。
直近の登板 8月は4セーブ 9月3日は8回に同点を許す
最後に直近の登板を見ます(日付は日本時間、MLB公式Stats)。
| 日付 | 相手 | 投球回 | 被安打 | 自責点 | 奪三振 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 8月19日 | ロッキーズ | 1.1 | 2 | 1 | 0 | セーブ |
| 8月20日 | ロッキーズ | 1.0 | 0 | 0 | 1 | セーブ |
| 8月23日 | パイレーツ | 1.0 | 0 | 0 | 1 | セーブ |
| 8月26日 | ブレーブス | 1.0 | 2 | 1 | 0 | 失点 |
| 8月27日 | ブレーブス | 0.2 | 2 | 1 | 1 | 失点 |
| 8月29日 | タイガース | 1.0 | 0 | 0 | 2 | セーブ |
| 9月3日 | カージナルス | 1.0 | 1 | 1 | 0 | セーブ失敗 |
9月3日のカージナルス戦は5対4の8回に登板。先頭打者に二塁打を許し、犠牲フライで同点にされました。ドジャースはその後6対8で敗れています。
ただし8月の12登板は10.1回で自責点3、四球5、セーブ4でセーブ失敗0。ブレーブス戦の2試合で連続失点した以外は、月を通して崩れていません。9月3日の1失点で今季の防御率は2.45から2.57に上がりましたが、月別の表で見たとおり、2025年のような数字の谷はまだ現れていません。
DiamondStats編集部の独自視点!
昨季のスコットを「貰いすぎ」と呼んだ人が多かったのは、セーブ失敗10という数字が目立ったからです。ところが同じ年に四球率は2.84まで下がっていました。壊れていたのは制球ではなく被本塁打で、そこは年による振れが大きい項目です。
今季の被本塁打4本は、2024年の3本に近い水準。つまり今のスコットは2024年の投手に、さらに良くなった制球を足した状態です。四球率1.93は本人の過去最高で、この数字が10月まで続くなら、9億2000万円は球団の救援投資の中でいちばん割安な支出になります。
注目したいのは9月の残り試合でのセーブ機会です。昨季は9月に8.1回で自責点6、セーブ失敗2で終わりました。今年同じ月にどう投げるかで、ポストシーズンの9回を誰に託すかが決まります。
まとめ
- タナー・スコットはドジャースの2026年年俸ランキング14位で、今季の支払額は約9億2000万円
- 2025年は防御率4.74、セーブ失敗10がMLB最多。2026年は9月4日現在で防御率2.57、WHIP0.95、セーブ失敗3
- 三振と四球の比5.58はMLBの救援投手105人中3位、左腕では1位
- 1イニングあたりの支払額は約1640万円で、年俸11〜15位の救援投手2人の中では割安
- 9月3日にセーブ失敗があったものの、月別防御率は今季一度も3.48を超えていない

ドジャースの投手陣の話題はほかにも扱っています。スクーバルと大谷翔平の初共演をデータで見たスクーバル ドジャース合流|大谷との初共演もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. タナー・スコットの2026年の年俸はいくら?
今季の支払額は約9億2000万円(575万ドルを1ドル160円で換算)で、ドジャースの2026年年俸ランキング14位です。契約は2025年1月に結んだ4年総額約115億2000万円で、支払い時期を分けているため今季の額面は年平均より小さくなっています。
Q. タナー・スコットの2026年の成績は?
9月4日現在で60試合に登板し、56.0回、防御率2.57、WHIP0.95、20セーブ、セーブ失敗3、67奪三振、12四球です(MLB公式Stats)。
Q. 2025年のタナー・スコットはなぜ不振だった?
61試合で防御率4.74、セーブ失敗10はMLB最多でした。四球は少なかった一方で、57回で11本塁打を打たれたことが失点の主な原因です。2026年は56回で被本塁打4本に減っています。
Q. ドジャースの救援投手でいちばん成績が良いのは誰?
9月4日現在、20試合以上に登板した救援投手の中で、防御率2.57とWHIP0.95のタナー・スコットが両方で1位です。2位はエドガルド・エンリケスの防御率2.77です。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年9月時点)





