ドジャース・ナックにDFAの可能性 xwOBA.340と満杯の40人枠をデータ検証9月3日(日本時間)、ロサンゼルス・ドジャースの右腕ランドン・ナック(29歳)が、9月の枠拡大にともなう有望株の昇格に押し出され、40人枠から外れる可能性があるとの見方が浮上した。今季のメジャーでは3登板で防御率5.87、3Aでは27回で防御率2.67と対照的な数字が並ぶ。
結論を先に書く。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)がMLB公式StatsとStatcastの数字を独自に集計したところ、ナックの弱点は運ではなく「打球の質」にある。今季の被xwOBAは.340でリーグ平均.315を上回り、通算の被本塁打率は9イニングあたり2.12本。3Aの好成績も27回という短い区間の話で、昨季3Aで投げた102.2回は防御率6.66だった。ブルペンで比べても、ナックより打球の質が悪い投手は2人しかいない。
独自検証で分かったこと:ナックはメジャーで「不運に見える不振」ではなく、3年連続で長打を許し続けている。40人枠が満杯の今、押し出される順番が早いのはデータの上でも自然だ。
今季3登板の中身 7.2回で4本塁打
ナックは春先の3月22日(米国時間、以下同じ)に負傷者リスト入りし、60日枠へ移った。6月24日から3Aで実戦復帰し、7月11日にメジャー復帰。その後は7月21日にマイナー降格、8月12日に再昇格、翌13日に再降格と、行き来を繰り返している。8月27日には3Aで7日間の負傷者リストに入った。

メジャーでの今季3登板をMLB公式Statsで並べる。
| 日付 | 相手 | 回 | 被安打 | 自責 | 被本塁打 | 奪三振 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 7月11日 | ダイヤモンドバックス | 3.0 | 4 | 3 | 2 | 2 |
| 7月20日 | フィリーズ | 2.0 | 2 | 2 | 2 | 2 |
| 8月12日 | ロイヤルズ | 2.2 | 2 | 0 | 0 | 2 |
合計7.2回で被本塁打4本。8月12日の登板だけは無失点だったが、翌日に降格した。ロースターで「使い道」を作れなかった典型的な起用のされ方だ。
xwOBAで見る3年間 運ではなく打球の質
被xwOBA(打球の速度と角度から求めた、打者に許した期待得点価値)で3年を並べる。リーグ平均はDiamondStatsが投手全員の打席数で重み付けして算出した。
| 年 | 打席 | 防御率 | 被wOBA | 被xwOBA | リーグ平均 | xERA |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024 | 286 | 3.65 | .304 | .313 | .316 | 3.99 |
| 2025 | 185 | 4.89 | .350 | .362 | .316 | 5.66 |
| 2026 | 35 | 5.87 | .407 | .340 | .315 | 4.95 |
2024年はリーグ平均並みの打球しか許していなかった。ところが2025年は.362へ悪化し、今季も.340でリーグ平均より.025悪い。今季は被wOBA.407に対して被xwOBAが.340なので、数字の上では不運も混ざっている。ただし35打席という小さな区間であり、不運を差し引いても平均より下という結論は変わらない。
被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打)はさらにはっきりしている。
| 年 | 投球回 | 被本塁打 | 被本塁打率 |
|---|---|---|---|
| 2024 | 69.0 | 14 | 1.83 |
| 2025 | 42.1 | 10 | 2.13 |
| 2026 | 7.2 | 4 | 4.70 |
| 通算 | 119.0 | 28 | 2.12 |
通算119回で28本。3年連続で「1試合に2本以上打たれるペース」が続き、今季は区間が短いとはいえ4.70まで跳ね上がった。ドジャースの投手陣全体が今季1233.2回で被本塁打158本(9回あたり1.15本)であることを考えると、ナックの2.12は倍近い。
3Aの27回と昨季の102.2回 どちらが実力か
「マイナーでは好成績」という見方の根拠は、今季3Aの数字だ。
| 年 | 登板 | 投球回 | 防御率 | 奪三振 | 四球 | 被本塁打 | 被OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025年 3A | 21 | 102.2 | 6.66 | 94 | 55 | 15 | .804 |
| 2026年 3A | 7 | 27.0 | 2.67 | 26 | 8 | 1 | .673 |
今季の27回は四球8、被本塁打1と確かに良い。ただし昨季は同じ3Aで102.2回を投げて防御率6.66、四球55だった。区間が4倍長い昨季の数字を無視して、今季の27回だけで「マイナーでは通用する」とは言い切れない。しかも今季の3Aは6月24日からのリハビリ登板が含まれ、8月18日の6回1失点が最長で、直後の8月25日は3.2回で四球3、8月27日に負傷者リスト入りした。
ブルペン10人の被xwOBA ナックは下から3番目
現在ドジャースの現役枠にいる救援投手と、ナックの今季被xwOBAを並べた(9月2日終了時点)。
| 投手 | 打席 | 被xwOBA | 防御率 |
|---|---|---|---|
| ブロック・スチュワート | 78 | .230 | 2.70 |
| エドガルド・エンリケス | 220 | .243 | 2.77 |
| タナー・スコット | 217 | .274 | 2.57 |
| アレックス・ベシア | 206 | .281 | 3.14 |
| ジャック・ドレイヤー | 222 | .281 | 2.93 |
| カイル・ハート | 187 | .302 | 4.39 |
| ランドン・ナック | 35 | .340 | 5.87 |
| エバン・フィリップス | 75 | .341 | 4.08 |
| ブレイク・トライネン | 100 | .348 | 3.52 |
| セス・ハルボーセン | 112 | .383 | 4.70 |
ナックより打球の質が悪いのはフィリップス、トライネン、ハルボーセンの3人だが、フィリップスとトライネンはポストシーズンの実績を持つベテランで、ハルボーセンは今季途中に加わった投手だ。実績も打球の質も中位以下となると、押し出される順番が早いのは数字の上でも自然に見える。
満杯の40人枠 空ける先は27本塁打の外野手
ドジャースの40人枠は現在40人で埋まっている(60日負傷者リストの7人は枠外)。9月1日に現役枠が28人へ広がったが、40人枠に空きがなければ枠外の選手は昇格できない。
昇格が取り沙汰されるジェームズ・ティブス3世は、2025年7月31日にダスティン・メイとの交換で獲得した外野手。今季3Aで127試合に出て打率.294、出塁率.417、長打率.540、27本塁打、97打点をマークしている。ドジャースは9月2日終了時点で82勝57敗、ナ・リーグ西地区首位に立つ。ポストシーズンを見据えた打線の底上げなら、3Aで出塁率4割を超える打者を試す価値は大きい。
ロースター構成をめぐる同様の話題は、キム・ヘソンがドジャースのポストシーズン構想から外れた検証記事でも扱った。また、ドジャースの投手陣がどこで崩れたかは6連敗の正体をデータ分解した記事で読める。
まとめ
ナックの「不振」は、今季7.2回という短い区間だけの話ではない。被xwOBAは2年連続でリーグ平均を下回り、通算の被本塁打率2.12は球団の投手陣全体の倍近い。3Aの好成績は27回の区間に限られ、昨季102.2回の防御率6.66を覆すほどの材料にはなっていない。40人枠が満杯で、3Aに27本塁打の外野手が控えている以上、ロースターを空ける議論でナックの名前が挙がるのは避けにくい。
DiamondStats編集部の独自視点!
編集部が注目しているのは、ナックの2024年の被xwOBA.313だ。あの年は69回で69奪三振、四球はわずか18。打球の質もリーグ平均並みで、先発5番手として十分に機能していた。それが1年で.362まで崩れたのは、長打を許す率が上がったからで、球種や配球の変化が数字に出ている可能性がある。もし他球団がウェーバーで獲得するなら、狙いは今季の27回ではなく、2024年の姿に戻せるかどうかだろう。ドジャースの側から見れば、スクーバル加入で先発の層が厚くなった今、スクーバル合流の記事で触れたように「6番手以降の先発候補」の価値は下がっている。ナックの去就は、その余波を最初に受ける形になる。
よくある質問
Q. ランドン・ナックの今季成績は?

メジャーでは3登板7.2回、防御率5.87、被本塁打4本(9月2日現在)。3Aでは7登板27回、防御率2.67。
Q. xwOBAとは何ですか?
打球の速度と角度から求める期待値で、投手なら「許した打球の質」を表す。運の要素を除いて実力に近い数字が分かる。ナックの今季被xwOBAは.340で、リーグ平均.315より悪い。
Q. DFAとは?
「譲渡指名」の略。40人枠から外して、7日以内にトレード、ウェーバー、マイナー降格のいずれかを決める手続き。
Q. ドジャースの40人枠は空いていますか?
空いていない。60日負傷者リストの7人を除いて40人が埋まっており、枠外の選手を昇格させるには誰かを外す必要がある。
Q. ジェームズ・ティブス3世はどんな選手?
2025年7月にダスティン・メイとの交換でドジャースに加わった外野手。今季3Aで127試合、打率.294、27本塁打、97打点、出塁率.417を記録している。
データはMLB公式StatsとStatcastをDiamondStatsが独自に集計。成績は9月2日(米国時間)終了時点。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年9月時点)





