日本時間10月6日(現地10月5日)、アメリカン・リーグ地区シリーズ第2戦でヤンキースはレイズに2-5で敗れ、0勝2敗と崖っぷちに立たされた。この試合でヤンキースは4失策を記録し、相手の5得点のうち3点が自責点でない失点だった。
DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)がMLB公式Statsで1995年以降のヤンキースのポストシーズン全237試合を調べたところ、1試合4失策は2019年のリーグ優勝決定シリーズ第4戦に続いて2度目。結論を先に言うと、この守備崩壊は偶然ではなく、レギュラーシーズンから続いていた弱点がそのまま出た形だ。
第2戦の4失策はどこで生まれたか
4つの失策は、1回裏に3つ、5回裏に1つ。失点につながったのは1回と5回の両方で、相手の5点のうち3点が自責点にならなかった(MLB公式の試合記録で確認)。

| 日付 | 相手 | 球場 | スコア(ヤンキース-相手) | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 09/18 | Dバックス | 敵地 | 9-2 | 勝ち |
| 09/19 | Dバックス | 敵地 | 3-5 | 負け |
| 09/20 | Dバックス | 敵地 | 4-8 | 負け |
| 09/22 | レイズ | 本拠地 | 2-0 | 勝ち |
| 09/22 | レイズ | 本拠地 | 1-6 | 負け |
| 09/23 | レイズ | 本拠地 | 9-2 | 勝ち |
| 09/24 | レイズ | 本拠地 | 6-4 | 勝ち |
| 09/25 | オリオールズ | 本拠地 | 2-10 | 負け |
| 09/25 | オリオールズ | 本拠地 | 6-3 | 勝ち |
| 09/27 | オリオールズ | 本拠地 | 0-0 | 負け |
| 回 | 選手(守備位置) | 内容 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1回裏 | ライアン・マクマホン(三塁) | 先頭ヤンディ・ディアスの打球を失策 | 先頭打者を出塁させる |
| 1回裏 | ジャズ・チザム(二塁) | 併殺を狙った送球が失策 | ディアス生還で先制点(非自責) |
| 1回裏 | オースティン・ウェルズ(捕手) | 打撃妨害(失策扱い) | 走者がたまるが無失点 |
| 5回裏 | ジョージ・ロンバード・ジュニア(遊撃) | 2死から送球失策 | 直後の2点適時打が非自責に |
先発カム・シュリットラーは4回1/3を6安打4失点だが、自責点は2。5回は2死を取ってから失策で延命を許し、そのまま2点を失った。4安打2得点の打線(ベン・ライスのソロ2本)に対し、守りで3点を献上した計算になる。
ヤンキースは10月5日現在、ワイルドカードシリーズ2試合(対レッドソックス9-0、9-2)で失策0だったのに、レイズ戦の2試合で4失策。守りが崩れた途端に打線も止まった。
今季の守備はレギュラーシーズンから課題だった
守備の乱れは、この1試合だけの話ではない。レギュラーシーズン終了時点の数字をMLB公式Statsで並べると、ヤンキースの守備はリーグ下位にいた(DiamondStats調べ)。
| 項目(2026年レギュラーシーズン) | ヤンキース | レイズ | MLB順位(ヤンキース) |
|---|---|---|---|
| 失策数 | 97 | 92 | 30球団中24位タイ |
| 守備率 | .983 | .984 | ─ |
| 自責点でない失点 | 83 | 56 | 30球団中2番目に多い |
| 勝敗 | 93勝68敗 | 98勝64敗 | ─ |
アメリカン・リーグ15球団でヤンキースより失策が多いのはブルージェイズ(98)だけ。自責点にならない失点83はオリオールズ(90)に次いでMLBで2番目に多く、投手が「余計な失点」を背負わされる試合が今季ずっと続いていた。
第2戦で失策を記録した4人の今季成績も見ておく。
| 選手 | 守備位置 | 今季出場 | 失策 | 守備率 |
|---|---|---|---|---|
| ライアン・マクマホン | 三塁 | 122試合 | 9 | .960 |
| ジャズ・チザム | 二塁 | 137試合 | 9 | .982 |
| オースティン・ウェルズ | 捕手 | 122試合 | 7 | .993 |
| ジョージ・ロンバード・ジュニア | 遊撃 | 42試合 | 9 | .947 |
目を引くのは8月4日にメジャーデビューした21歳の遊撃手ロンバード・ジュニアだ。わずか42試合で9失策は、他の3人が120試合以上かけて記録した数と同じ。ポストシーズンで遊撃を任される重さが、そのまま数字に出ている。
1995年以降のポストシーズンで3失策以上はわずか7試合
ヤンキースの1995年以降のポストシーズン237試合で、1試合3失策以上はこの試合を含めて7試合しかない(DiamondStats独自集計・MLB公式Stats)。平均は1試合0.57失策で、4失策はその7倍にあたる。
| 年 | シリーズ | 相手 | 失策 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 1999年 | リーグ優勝決定シリーズ第3戦 | レッドソックス | 3 | 1-13 ● |
| 2001年 | ワールドシリーズ第7戦 | ダイヤモンドバックス | 3 | 2-3 ● |
| 2005年 | 地区シリーズ第2戦 | エンゼルス | 3 | 3-5 ● |
| 2009年 | リーグ優勝決定シリーズ第2戦 | エンゼルス | 3 | 4-3 ○ |
| 2017年 | 地区シリーズ第2戦 | インディアンス | 3 | 8-9 ● |
| 2019年 | リーグ優勝決定シリーズ第4戦 | アストロズ | 4 | 3-8 ● |
| 2026年 | 地区シリーズ第2戦 | レイズ | 4 | 2-5 ● |
7試合の成績は1勝6敗。3失策以上の試合で勝ったのは2009年の延長戦1試合だけで、ポストシーズンで守備が乱れた夜はほぼ負けている。
0勝2敗からの逆転は71回中7回 そのうち2回はヤンキース自身
ここからの巻き返しはどれほど難しいのか。1995年以降の地区シリーズで、先に2連勝された側が逆転した例をMLB公式の試合記録から数えた(DiamondStats独自集計)。
| 項目 | 回数 |
|---|---|
| 0勝2敗になったシリーズ(1995〜2025年) | 71 |
| そこから逆転した例 | 7 |
| 逆転率 | 9.9% |
逆転した7例のうち、2001年(対アスレチックス)と2017年(対インディアンス)の2回はヤンキースが成し遂げたものだ。とくに2017年は敵地で2連敗したあと本拠地で2連勝し、敵地の第5戦を取っている。今回も第3戦・第4戦はヤンキー・スタジアム、第5戦はトロピカーナ・フィールドという同じ流れになる。
逆に、1995年にはヤンキースが2連勝から3連敗してマリナーズに敗れている。勝つ側でも負ける側でも、ヤンキースはこの「10%の歴史」の当事者だった。
近年のポストシーズンは2017年以降で突破が続かない
「毎年ポストシーズンで失敗する」という声が出るのは、数字で見ると無理もない。2017年以降のヤンキースのシリーズ別成績を並べる(MLB公式Stats)。
| 年 | 最終到達 | 敗退相手 |
|---|---|---|
| 2017年 | リーグ優勝決定シリーズ | アストロズ(3勝4敗) |
| 2018年 | 地区シリーズ | レッドソックス(1勝3敗) |
| 2019年 | リーグ優勝決定シリーズ | アストロズ(2勝4敗) |
| 2020年 | 地区シリーズ | レイズ(2勝3敗) |
| 2021年 | ワイルドカードゲーム | レッドソックス(0勝1敗) |
| 2022年 | リーグ優勝決定シリーズ | アストロズ(0勝4敗) |
| 2023年 | 出場なし | ─ |
| 2024年 | ワールドシリーズ | ドジャース(1勝4敗) |
| 2025年 | 地区シリーズ | ブルージェイズ(1勝3敗) |
9年間でワールドシリーズに届いたのは2024年の1回だけ。地区シリーズで姿を消したのは2018年・2020年・2025年の3回あり、相手の中には2020年のレイズも入っている。
ワイルドカードシリーズではレッドソックス相手に2試合で18得点・失策0と完璧な入りを見せていただけに、地区シリーズ2試合での4失策・合計2得点という落差は大きい。
DiamondStats編集部の独自視点!
守備の数字は、打撃や投球と違って「勢い」で急に良くなることがない。レギュラーシーズン97失策・自責点でない失点83という土台の上で、ポストシーズン4失策が出た。これは不運ではなく、今季のヤンキースの姿そのものだと受け止めるべきだろう。
それでも0勝2敗からの7回の逆転のうち2回を持っているのはこの球団だけだ。第3戦は日本時間10月8日、本拠地ヤンキー・スタジアムで先発はマックス・フリード。ワイルドカード第2戦で勝ち投手になった左腕が、まず内野の守備を落ち着かせる試合運びができるか。注目は失点の数より「自責点でない失点がゼロで終わるか」に置きたい。
アーロン・ジャッジの状態については負傷者リスト入り当時の記事で、同じく2連敗で今季を終えたカブスの最終2試合についても詳しくまとめている。
データはMLB公式Statsを独自に集計。
よくある質問
Q. ヤンキースは地区シリーズ第2戦で何失策したの?
4失策です。1回裏にマクマホン(三塁)・チザム(二塁)・ウェルズ(捕手の打撃妨害)、5回裏にロンバード・ジュニア(遊撃)が記録し、レイズの5得点のうち3点が自責点になりませんでした。
Q. ポストシーズンで4失策はヤンキースにとってどれくらい珍しい?
1995年以降の237試合で2度目です。前回は2019年リーグ優勝決定シリーズ第4戦のアストロズ戦(3-8で敗戦)でした。3失策以上の試合は7試合あり、成績は1勝6敗です。
Q. 地区シリーズで0勝2敗から逆転した例はある?
1995年から2025年までの71回のうち7回(9.9%)です。ヤンキースは2001年と2017年の2回逆転していて、これは全30球団で最多です。
Q. ヤンキースの今季の守備はどうだった?
レギュラーシーズンの失策97はMLB30球団中24位タイで、アメリカン・リーグではブルージェイズに次いで2番目に多い数です。自責点でない失点83はMLBで2番目に多い数でした。
Q. 第3戦はいつ・誰が先発?
日本時間10月8日にヤンキー・スタジアムで行われ、ヤンキースはマックス・フリード、レイズはニック・マルティネスが先発予定です(MLB公式の予告先発・10月6日時点)。
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