日本時間9月20日のジャイアンツ戦(現地9月19日・ドジャー・スタジアム)で、タリック・スクーバルが帽子とグラブをベンチにたたきつけた。ドジャース打線が点を取るたびに、次の回で追いつかれる展開が3回続いた試合だった。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)は、この「得点直後の失点」がスクーバルに本当に多いのかを、MLB公式Statsの記録で数えた。
9月19日(米)の試合で何が起きたか
MLB公式Statsの試合記録では、ドジャースは1回にマックス・マンシーの二塁打、2回にムーキー・ベッツの適時打で2対0とした。スクーバルは3回にビクター・ベリコトに2点本塁打を浴びて同点。ドジャースが3回裏にウィル・スミスの本塁打で3対2と勝ち越すと、4回表に犠牲バントの間に1点を返されて同点。4回裏にベッツの適時二塁打で4対3としても、5回表にイ・ジョンフの適時二塁打でまた同点にされた。
スクーバルは5回4失点・3奪三振でこの回を最後に降板したが、5回裏にドジャースが3点を勝ち越したため、勝利投手になった(今季11勝目)。試合は10対4でドジャースが勝った。つまりこの試合は、「味方が勝ち越した直後の守りで失点」が1試合に3回起きた試合だった。

データ軸:「得点直後の失点」を数える
この記事で数えたのは、自チームが得点した攻撃のすぐ次の守りで、その投手が投げている間に相手が得点した場面だ。MLB公式Statsの1球ごとの記録(打席ごとの得点者)から、9月20日までの先発試合をすべて数えた。
スクーバルは9月20日までに25試合に先発し(タイガースで16試合、8月4日からドジャースで9試合)、防御率は2.85。この25試合のうち、得点直後の失点があった試合は8試合(32.0%)で、1試合に2回以上起きたのは2試合だった。1試合に3回起きたのは、9月19日のジャイアンツ戦だけだ。
サイ・ヤング賞投手7人と比べる(9月20日時点)
比べた相手は、MLB公式のサイ・ヤング賞受賞者(2015〜2025年)のうち、2026年に9月20日までに20試合以上先発した投手の全員だ。スクーバルを含めて7人になった。数字はすべてMLB公式Statsの試合ごとの記録から、同じ条件で数えた。防御率の低い順に並べている。
| 投手 | 2026年の所属 | サイ・ヤング賞 | 先発 | 防御率 | 奪三振率(K/9) | 先発1試合あたりチーム得点 | 得点直後に失点した試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| クリス・セール | ブレーブス | 2024 | 26 | 2.18 | 10.9 | 4.9 | 9試合(34.6%) |
| タリック・スクーバル | タイガース・ドジャース | 2024・2025 | 25 | 2.85 | 10.4 | 4.2 | 8試合(32.0%) |
| ゲリット・コール | ヤンキース | 2023 | 21 | 3.63 | 9.1 | 3.8 | 4試合(19.0%) |
| ロビー・レイ | パドレス・ジャイアンツ | 2021 | 29 | 3.75 | 7.5 | 5.1 | 11試合(37.9%) |
| ジェイコブ・デグローム | レンジャーズ | 2018・2019 | 30 | 3.86 | 11.1 | 4.3 | 10試合(33.3%) |
| ポール・スキーンズ | パイレーツ | 2025 | 31 | 3.91 | 10.3 | 5.2 | 10試合(32.3%) |
| サンディ・アルカンタラ | マーリンズ | 2022 | 33 | 3.92 | 6.5 | 4.6 | 9試合(27.3%) |
得点直後に失点した試合の割合は、スクーバルが32.0%で7人中5番目。いちばん高いのはロビー・レイの37.9%、いちばん低いのはゲリット・コールの19.0%で、スクーバル以外の6人の平均は30.7%だった。スクーバルだけが「取った直後に返されやすい」わけではない。防御率2.85は7人中2番目に低い。ドジャース入りの経緯はドジャース入りのスクーバル 2年連続サイ・ヤングで詳しく書いている。
タイガースとドジャースで何が変わったか
スクーバルは7月29日までタイガースで先発し、8月4日のカブス戦からドジャースで投げている。同じ物差しで両方を並べた。スクーバル ドジャース合流|大谷との初共演をデーでも、合流直後の登板を扱っている。
| 指標 | タイガース(〜7月29日) | ドジャース(8月4日〜9月19日) |
|---|---|---|
| 先発 | 16試合(96.2回) | 9試合(55.0回) |
| 防御率 | 2.79 | 2.95 |
| 奪三振率(K/9) | 10.8 | 9.8 |
| 先発1試合あたりチーム得点 | 4.4 | 3.9 |
| 先発した試合のチーム勝敗 | 9勝7敗 | 7勝2敗 |
| 得点直後に失点した試合 | 5試合(31.2%) | 3試合(33.3%) |
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ドジャースに移ってからの先発1試合あたりのチーム得点は3.9点で、タイガースの4.4点より少ない。それでも先発した試合のチーム勝敗は7勝2敗と大きく勝ち越している。得点直後の失点の割合は31.2%から33.3%で、ほとんど変わっていない。
その後の登板(9月25日〜地区シリーズ第1戦)
9月19日の次の登板、9月25日のジャイアンツ戦(敵地)では、7回0失点・10奪三振・無四球で勝利投手になった。これがレギュラーシーズン最後の登板で、2026年のレギュラーシーズンは26先発・12勝7敗・防御率2.72で終えた(タイガースで16先発、ドジャースで10先発)。
ポストシーズンでは、10月3日の地区シリーズ第1戦(ブレーブス戦)に先発し、6回1失点・7奪三振で勝利投手になった。失点は6回表のショーン・マーフィーのソロ本塁打だけで、ドジャースが点を取った直後の回ではない。9月19日のあとの2登板では、得点直後の失点は1度も起きていない。
まとめ
- 9月19日のジャイアンツ戦は、ドジャースが勝ち越すたびにスクーバルが3回・4回・5回に同点にされた。得点直後の失点が1試合に3回起きた試合だった
- シーズン全体では、得点直後の失点があった試合は25先発中8試合(32.0%)。サイ・ヤング賞投手7人の中で5番目で、特別に多いわけではない
- ドジャースでは援護が1試合3.9点とタイガース時代(4.4点)より少ないが、先発した試合は7勝2敗と勝てている
- その後の2登板(9月25日・地区シリーズ第1戦)では得点直後の失点は無く、どちらも勝利投手になった
よくある質問
Q. スクーバルはなぜ帽子とグラブをベンチに投げたのか
本人の説明は出ていない。試合の記録で分かるのは、ドジャースが2対0、3対2、4対3と3度リードしたのに、スクーバルが3回・4回・5回に毎回同点にされた流れだ。5回4失点で降板したが、5回裏にドジャースが勝ち越したため勝利投手になり、試合は10対4で勝った。

Q. 得点直後の失点はスクーバルに多いのか
多くない。9月20日時点の25先発で、得点直後の失点があった試合は8試合(32.0%)。比べたサイ・ヤング賞投手7人の中で5番目で、ほかの6人の平均30.7%とほぼ同じだった。9月19日のように1試合で3回起きた試合は今季この1試合だけだ。
Q. スクーバルの2026年の防御率は比べた投手の中でどの位置か
9月20日時点で防御率2.85(151.2回)。比べたサイ・ヤング賞投手7人の中では2番目に低い。いちばん低いのはクリス・セールの2.18。
Q. ドジャース入りで援護点は増えたか
増えていない。先発1試合あたりのチーム得点は、タイガースで4.4点、ドジャースで3.9点。ただし先発した試合のチーム勝敗は、タイガースの9勝7敗に対し、ドジャースでは7勝2敗と勝ちが多い。
DiamondStats編集部の独自視点!
帽子とグラブがベンチに飛んだ場面だけを見ると、「勝ち越しを守れない投手」に見える。だが数えてみると、スクーバルの得点直後の失点はほかのサイ・ヤング賞投手と同じくらいで、9月19日は今季でも珍しい試合だった。怒りが出たのは、めったに起きない展開が1試合に3回重なったからだと読める。ポストシーズンでは1点の重みがさらに増す。次に見るべきは、勝ち越した直後の回を0点で終えられるかどうかだ。
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文:DiamondStats編集部|データ出典:MLB公式Stats(比較は2026年9月20日時点の試合記録をDiamondStatsが集計。その後の登板は10月3日の地区シリーズ第1戦まで)





