2026年のレギュラーシーズンが終わり、4シームの平均球速は94.8マイル(約152.6キロ)で確定した。2025年の94.5マイルを0.3マイル上回り、計測が始まった2008年から数えて6年連続の最速更新である。
DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)は、この1年の数字を「速くなった」で終わらせず、18年分の推移・100マイル超えの球数・打者側の数字と並べて、どこが特別なのかを確かめた。データはMLB公式Statsを独自に集計した。
18年で2.9マイル 直近5年で加速している
2008年の計測開始時、4シームの平均は91.9マイル(約147.9キロ)だった。2026年の94.8マイルまでの差は2.9マイル。1年あたりに直すと約0.16マイルの上昇になる(DiamondStats調べ)。
ところが2021年以降だけを切り出すと、ペースが変わる。
| 年 | 4シーム平均球速 | キロ換算 | 前の行との差 |
|---|---|---|---|
| 2008年 | 91.9マイル | 約147.9キロ | (計測開始) |
| 2013年 | 92.7マイル | 約149.2キロ | +0.8(5年) |
| 2021年 | 93.7マイル | 約150.8キロ | +1.0(8年) |
| 2025年 | 94.5マイル | 約152.1キロ | +0.8(4年) |
| 2026年 | 94.8マイル | 約152.6キロ | +0.3(1年) |

2013年から2021年までの8年で1.0マイルだったのに対し、2021年から2026年の5年で1.1マイルを上積みしている。1年あたり約0.22マイルで、長期平均の約1.4倍の速さだ(DiamondStats独自集計)。
2026年はオールスター前の時点で94.7マイルだった。前半戦から後半戦にかけてさらに0.1マイル上がって確定している。若い投手の台頭が夏以降に効いた形である。
内訳で見る 右投手は95マイルを超えた
平均94.8マイルは全投手をならした数字で、内訳を分けると差が見える。
| 区分(2026年) | 平均球速 | キロ換算 |
|---|---|---|
| 右投手 | 95.3マイル | 約153.4キロ |
| 左投手 | 93.5マイル | 約150.5キロ |
| 救援投手 | 95.0マイル | 約152.9キロ |
| 25歳以下(6月30日時点) | 95.9マイル | 約154.3キロ |
| 球団最速:パイレーツ | 96.3マイル | 約155.0キロ |
| 球団最遅:カブス | 93.7マイル | 約150.8キロ |
注目は25歳以下の95.9マイルだ。全体平均を1.1マイル上回っている。若い世代ほど速い構造が続く限り、来季以降も平均は上がりやすい。
もう一つは球団間の差で、パイレーツとカブスの開きは2.6マイル。同じ年の球団同士でこれだけ離れている一方、カブスの93.7マイルでさえ2021年の全体平均と同じ水準である。
3Aでも同じ現象が起きている。3Aの4シーム平均は2026年に93.6マイル(計測開始の2022年は92.7マイル)で、4年で0.9マイル上がった。昇格してくる投手の基準そのものが上がっている。
100マイル超えは5,687球 1年で54%増えた
平均の0.3マイル上昇より劇的なのが、100マイル(約160.9キロ)以上の投球数だ。
| 年 | 100マイル以上の投球数 | 備考 |
|---|---|---|
| 2008年 | 214球 | 計測開始 |
| 2023年 | 3,880球 | |
| 2025年 | 3,701球 | |
| 2026年 | 5,687球 | 過去最多 |

2025年から2026年で1,986球増、率にして約54%増である(DiamondStats調べ)。2008年との比較では約26.6倍になった。
この急増を一人で押し上げたのが、ブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキー(24歳)だ。今季の100マイル以上は1,115球で、2018年にジョーダン・ヒックスが記録した673球を1.66倍に塗り替えた。リーグ全体の5,687球のうち、約19.6%を一人で投げた計算になる(DiamondStats独自集計)。6月26日にはピート・クロウ=アームストロングへ105.5マイル(約169.8キロ)を計測し、先発投手として最速となった。
一方で、年齢と球速の関係が一様でないことも今季は示された。ブレーブスのクリス・セールは37歳で平均96.1マイル(約154.7キロ)を投げている。若手の台頭だけでなく、ベテランが衰えないことも全体平均を押し上げている。
速球の歴史的な出来事は、救援投手の側でも起きている。2年ぶりに100マイルを超えたエドウィン・ディアスの投球はこちらの記事で球速の推移とともにまとめている。
速くなったのに4シームの割合は減っている
意外なのは、4シームが速くなるほど、4シームの使用率が下がっている点だ。
| 年 | 4シームの割合 |
|---|---|
| 2019年 | 35.8% |
| 2025年 | 31.8% |
| 2026年(7月時点) | 30.4% |
7年で5.4ポイント減った。代わりに増えたのがシンカー(15.5%→16.6%)とカッター(7.5%→7.8%)、そして変化の緩い球種(13.6%→14.3%)である。速い真っすぐを「見せ球」にして、同じ腕の振りで動く球を混ぜる配球が主流になっている。打者からすれば、速いうえに種類も増えたことになる。
打者側の数字 打率.244と完投21試合
投手の球速と対になる打者側の数字も並べる。
| 項目 | 2024年 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|---|
| メジャー全体の打率 | .243 | .245 | .244 |
| 完投数 | — | — | 21試合(2015年は209試合) |
打率は3年続けて.243〜.245の低い帯に張り付いている。首位打者のヨルダン・アルバレスは.316で、首位打者としては史上最も低い数字だった。完投は2015年の209試合から21試合まで減り、速球派の救援を短く使う運用が定着したことを示す。
速さの代償は故障の数にも表れやすい。投手の離脱状況はMLB故障者リスト2026で日々更新している。ポストシーズンで誰が投げているかはポストシーズン個人成績ランキングで確認できる。
DiamondStats編集部の独自視点!
6年連続の更新で目を引くのは、平均の0.3マイルよりも「100マイルが5,687回」という回数の方だ。かつて100マイルは1試合に1球あるかどうかの見せ場だったが、今季は1試合あたり約2.3球の計算になる。見せ場が日常になった。
次に見たいのは、この上昇がどこで止まるかである。25歳以下が95.9マイル、3Aが93.6マイルという下から押し上げる構造が続く以上、2027年に95マイルの大台へ乗る可能性は高い。ただし完投21試合という数字は、速さと引き換えに投手の持ち時間が短くなっていることも物語る。来季は平均球速と同じくらい、先発の投球回の推移を追う価値がある。
よくある質問
Q. 2026年のMLBの平均球速は何マイルですか?
4シームの平均は94.8マイル(約152.6キロ)です。2025年の94.5マイルから0.3マイル上がり、6年連続で過去最速を更新しました。
Q. 2026年に100マイル以上の投球は何球ありましたか?
5,687球です。2025年の3,701球から約54%増え、2008年の214球と比べると約26.6倍になりました。
Q. 100マイル以上を最も多く投げた投手は誰ですか?
ブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキーで1,115球です。2018年のジョーダン・ヒックスの673球を上回る新記録です。
Q. 右投手と左投手で平均球速はどれくらい違いますか?
2026年は右投手が95.3マイル、左投手が93.5マイルで、差は1.8マイルです。
Q. 速球が速くなると打率は下がりますか?
2026年の打率は.244で、2024年の.243、2025年の.245と同じ低い水準が続いています。球速の上昇と4シーム以外の球種の増加が重なり、打ちにくい状態が続いています。
まとめ
2026年の平均球速94.8マイルは、2008年から2.9マイル、2021年からだけでも1.1マイル上がった数字で、上昇は直近5年に偏っている。100マイル超えは5,687球で前年比54%増、そのうち約2割を一人の先発が投げた。打率は.244、完投は21試合まで減った。速くなったのは平均ではなく、速い球が当たり前になる構造の方である。
ポストシーズンの勝ち上がりと各試合の結果はMLBポストシーズン2026 トーナメント表でまとめている。
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