フィリーズの三塁に補強待望論 今季チームOPS.707は30球団22位をデータで検証10月10日、阪神の佐藤輝明が打率.306・39本塁打・106打点で三冠王を決めたことを受け、米国のファンの間で「フィリーズへようこそ」「今すぐ獲得してくれ」と、フィラデルフィア・フィリーズによる獲得を望む声が広がりました。佐藤本人のポスティングによるメジャー挑戦は未定です。
それでも、なぜ真っ先にフィリーズの名前が挙がるのか。答えは球団側の数字にあります。フィリーズは今季88勝74敗でワイルドカードから進出しながら、日本時間10月2日にブレーブスとのワイルドカードシリーズを1勝2敗で終えました。三塁の正位置を守ってきたアレック・ボームは今オフにFAとなる見込みで、三塁は球団にとって来季の空席候補です。
DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)がMLB公式Statsを独自に集計したところ、フィリーズの今季チームOPS.707は30球団中22位、ボームのOPS.698は規定打席に到達した三塁手16人のうち14位でした。 米国で補強待望論が出る土台は、この2つの数字にあります。
フィリーズの打線は3年連続トップ6から今季22位へ
まず球団全体の打撃を見ます。フィリーズはここ数年、リーグ屈指の打線を誇ってきましたが、2026年は順位を大きく落としました(レギュラーシーズン終了時点・10月11日現在)。

| 年 | チームOPS | 30球団中の順位 | 得点 | 本塁打 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年 | .765 | 6位 | 771 | 220 |
| 2024年 | .750 | 4位 | 750 | 198 |
| 2025年 | .759 | 4位 | 753 | 212 |
| 2026年 | .707 | 22位 | 713 | 182 |
OPSは前年から.052下がり、得点は40点、本塁打は30本減りました。1位のカブス(.767)との差は.060です。ワイルドカードシリーズ3試合の合計得点が9点にとどまったのも、この打線の地力低下と無関係ではありません。
地区優勝争いの経緯は「フィリーズのマジックナンバー 2026|地区優勝」でも追っています。ブレーブスに地区を譲り、ワイルドカード1回戦で同じブレーブスに敗れた形でした。
打線の中でも目立つのが三塁です。打撃の軸であるカイル・シュワーバー(45本塁打・OPS.857)とブライス・ハーパー(29本塁打・OPS.865)に対し、三塁手ボームはOPS.698。レギュラーのうちトレイ・ターナー(.675)と並んで、下から数えた方が早い位置にいます。
ボームのOPS.698は規定到達の三塁手16人中14位
今季、規定打席に到達した三塁手は30球団で16人います。DiamondStats調べでOPS順に並べると、ボームは下位グループです(10月11日現在)。
| 順位 | 選手 | 球団 | 打率 | OPS | 本塁打 | 打点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ジュニオール・カミネロ | レイズ | .276 | .884 | 42 | 101 |
| 2 | マックス・マンシー | ドジャース | .252 | .838 | 29 | 76 |
| 3 | ミゲル・バルガス | ホワイトソックス | .250 | .837 | 33 | 93 |
| 4 | アレックス・ブレグマン | カブス | .265 | .819 | 28 | 93 |
| 5 | アイザック・パレデス | アストロズ | .262 | .807 | 25 | 94 |
| 6 | ノーラン・アレナド | ダイヤモンドバックス | .255 | .806 | 30 | 86 |
| 7 | 岡本和真 | ブルージェイズ | .232 | .762 | 33 | 92 |
| 8 | ニック・ゴンザレス | パイレーツ | .303 | .755 | 6 | 61 |
| 9 | エゼキエル・デュラン | レンジャーズ | .260 | .739 | 17 | 83 |
| 10 | ブルックス・リー | ツインズ | .253 | .728 | 24 | 83 |
| 13 | ボー・ビシェット | メッツ | .260 | .702 | 18 | 78 |
| 14 | アレック・ボーム | フィリーズ | .249 | .698 | 15 | 88 |
| 15 | ホセ・ラミレス | ガーディアンズ | .235 | .688 | 12 | 53 |
| 16 | オースティン・ライリー | ブレーブス | .219 | .654 | 19 | 72 |
16人のOPS平均は.759で、ボームはそこから.061低い数字です。1位カミネロとの差は.186に広がります。
ただし打点だけは別の顔を見せます。ボームの88打点は16人中7位で、上位6人はいずれも25本塁打以上。15本塁打で88打点を稼いだのは、ハーパーやシュワーバーの後ろで走者を還す役割を果たしたからです。長打力の不足を勝負強さで埋めてきたのが今季のボームでした。
2024年のオールスターから2年で何が変わったか
ボームは2024年にナショナル・リーグのオールスターに選ばれ、ホームランダービーにも出場した選手です。年度別の推移を見ると、下落が今季に集中していることが分かります。
| 年 | 試合 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 本塁打 | 打点 | 二塁打 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 115 | .247 | .305 | .342 | .647 | 7 | 47 | 15 |
| 2022年 | 152 | .280 | .315 | .398 | .713 | 13 | 72 | 24 |
| 2023年 | 145 | .274 | .327 | .437 | .764 | 20 | 97 | 31 |
| 2024年 | 143 | .280 | .332 | .448 | .780 | 15 | 97 | 44 |
| 2025年 | 120 | .287 | .331 | .409 | .740 | 11 | 59 | 18 |
| 2026年 | 155 | .249 | .315 | .383 | .698 | 15 | 88 | 29 |
2024年と比べると、打率は.031、長打率は.065下がりました。二塁打は44本から29本へ減り、本塁打は同じ15本。つまり「長打が外野の間を抜けなくなった」ことがOPS低下の中身です。試合数は155とキャリア最多で、出場機会は確保されながら中身が落ちた1年でした。
3・4月のOPS.426が1年の重しになった
今季のボームを月別に区切ると、不振は開幕直後に集中しています。
| 期間 | 試合 | 打率 | OPS | 本塁打 | 打点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3・4月 | 29 | .151 | .426 | 1 | 13 |
| 5月 | 26 | .277 | .812 | 5 | 11 |
| 6月 | 26 | .247 | .669 | 3 | 19 |
| 7月 | 24 | .226 | .710 | 4 | 16 |
| 8月 | 27 | .327 | .830 | 1 | 17 |
| 9月 | 23 | .278 | .779 | 1 | 12 |
3・4月は106打数16安打。この29試合を除いた5月以降の126試合は打率.271・OPS.760で、2023年や2025年のボームとほぼ同じ水準です。
見方は2つあります。球団がボームを残すなら「開幕のつまずきを除けば例年どおり」と評価できます。一方、三塁手16人の平均OPS.759に戻るだけでは、22位まで落ちた打線を押し上げる上積みにはなりません。米国で外部補強を望む声が出るのは、後者の見方が強いからです。
補強の前提になる3つの事実
フィリーズの三塁を考えるとき、押さえておくべき事実をまとめます。
- ボームは今オフにFAとなる見込み。 2020年デビューで今季が6年目。30歳で市場に出ます
- 守備は三塁106試合・一塁50試合。 今季は三塁で8失策・守備率.966、一塁で6失策・守備率.985。一塁の併用が増えた1年でした
- ハーパーが一塁、シュワーバーが指名打者。 右打者の三塁手が入れば、ブライソン・ストットを二塁に戻す形が組めます
ここに名前が重なるのが佐藤輝明です。報道では今季打率.306・39本塁打・106打点・165安打。フィリーズの三塁手が今季15本塁打だったことを思えば、米国のファンが長打力を求めて名前を挙げたのは自然な流れでした。もっとも、佐藤のポスティングは未定で、ポスティングが行われた場合も交渉期間は45日間と決まっています。移籍先や時期を現時点で断定することはできません。
内野の層の薄さは今季のポストシーズンでも表面化しました。詳しくは「ルイス・アラエスがポストシーズン欠場|フィリーズ」で書いたとおり、二塁・一塁を回せる打者が足りない状態でブレーブスに挑んでいます。
DiamondStats編集部の独自視点!
フィリーズの三塁をめぐる話は、佐藤輝明の争奪戦というより「15本塁打の三塁手で勝てる打線か」という球団の宿題です。ボームの88打点は立派ですが、それはハーパーとシュワーバーが出塁し続けた結果でもあります。2人がそろって30歳を超えた今、三塁から20本台後半の長打力を足せるかどうかが、22位まで落ちた打線を4位に戻す分かれ目になります。
編集部が次に注目するのは11月の動きです。ボームにクオリファイング・オファーが出るか、出ないか。出なければ球団は外部の三塁手を本気で探している合図です。その候補の中に、三冠王の名前が入るかどうかを見届けます。
よくある質問
Q. フィリーズの2026年の成績は?
88勝74敗でナショナル・リーグ東地区2位。ワイルドカードで進出し、ワイルドカードシリーズでブレーブスに1勝2敗で敗れました。
Q. アレック・ボームの2026年の成績は?
155試合で打率.249・15本塁打・88打点・OPS.698。規定打席に到達した三塁手16人のうちOPSは14位、打点は7位です。
Q. フィリーズの三塁手は来季も同じ選手ですか?
ボームは今オフにFAとなる見込みで、来季の三塁は未定です。球団が再契約するか外部から補強するかは、11月の動きで見えてきます。
Q. フィリーズのチームOPSは何位ですか?
2026年は.707で30球団中22位。2023年6位、2024年4位、2025年4位から大きく落ちました。
まとめ
- 10月10日、米国で三冠王・佐藤輝明の獲得をフィリーズに望む声が広がった。本人のポスティングは未定
- フィリーズの今季チームOPS.707は30球団22位。3年続いたトップ6から急落した
- 三塁手ボームはOPS.698で規定到達の三塁手16人中14位。88打点は7位
- 3・4月のOPS.426が響き、5月以降は.760。ボームは今オフFAの見込みで三塁は空席候補
フィリーズの地区優勝争いの足取りは「フィリーズのマジックナンバー 2026|地区優勝」で振り返れます。データはMLB公式Statsを独自に集計しました。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年10月時点)







