日本時間10月4日、アメリカン・リーグ地区シリーズ第1戦でレイズがヤンキースを1-0で下し、先勝した。第2戦は日本時間10月6日朝、同じレイズの本拠地で行われる。1点差を守り切って勝つ姿は、レギュラーシーズンのレイズそのものだった。
折しも、野村克也氏の言葉「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」が米国でも語られ始めている。データで野球を見る国で、この言葉がいちばん当てはまる球団がレイズである。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)は、得失点差から計算する期待勝利数とMLB公式Statsの実測値で、98勝の中身を調べた。
結論。レイズの98勝64敗は、得点736・失点650から計算する期待勝利数90.2勝を7.8勝上回る。30球団で2番目、ポストシーズン進出12球団では最大の上振れだ。支えたのは1点差試合1勝0敗(勝率.641・30球団1位)と58セーブ(30球団1位)である。
得失点差から見た期待勝利数と実際の勝利数(レギュラーシーズン最終・10月6日現在)
期待勝利数は、得点の1.83乗を、得点の1.83乗と失点の1.83乗の合計で割った期待勝率に試合数をかけたものです。得失点差が同じなら勝利数もほぼ同じになる、という前提の数字で、実際の勝利数との差が「不思議の勝ち」「不思議の負け」の大きさになります。

| 日付 | 相手 | 球場 | スコア(レイズ-相手) | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 09/18 | レッドソックス | 本拠地 | 2-4 | 負け |
| 09/19 | レッドソックス | 本拠地 | 2-1 | 勝ち |
| 09/20 | レッドソックス | 本拠地 | 5-1 | 勝ち |
| 09/22 | ヤンキース | 敵地 | 0-2 | 負け |
| 09/22 | ヤンキース | 敵地 | 6-1 | 勝ち |
| 09/23 | ヤンキース | 敵地 | 2-9 | 負け |
| 09/24 | ヤンキース | 敵地 | 4-6 | 負け |
| 09/25 | フィリーズ | 敵地 | 2-0 | 勝ち |
| 09/26 | フィリーズ | 敵地 | 12-1 | 勝ち |
| 09/27 | フィリーズ | 敵地 | 3-7 | 負け |
2026年の上振れと下振れを、DiamondStats調べで並べました。
| 球団 | 勝敗 | 得点 | 失点 | 期待勝利数 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| レッズ | 75勝87敗 | 666 | 826 | 65.2 | +9.8 |
| レイズ | 98勝64敗 | 736 | 650 | 90.2 | +7.8 |
| パドレス | 91勝71敗 | 722 | 681 | 85.3 | +5.7 |
| フィリーズ | 88勝74敗 | 713 | 698 | 82.6 | +5.4 |
| アスレチックス | 64勝98敗 | 699 | 937 | 59.8 | +4.2 |
| カブス | 89勝73敗 | 850 | 703 | 94.9 | -5.9 |
| ロッキーズ | 58勝104敗 | 752 | 944 | 64.4 | -6.4 |
| ジャイアンツ | 65勝97敗 | 669 | 760 | 71.6 | -6.6 |
| エンゼルス | 62勝100敗 | 655 | 752 | 70.8 | -8.8 |
| タイガース | 76勝86敗 | 723 | 652 | 88.6 | -12.6 |
上振れ1位のレッズは75勝で終わっており、順位に影響した上振れとしてはレイズが最大です。得失点差+86は、ヤンキースの+138、レッドソックスの+78と大きく違いません。それでもレイズは98勝、ヤンキースは93勝、レッドソックスは87勝でした。
反対側の極端な例がタイガースです。得失点差+71は30球団で7番目に良いのに、76勝86敗で負け越しました。1点差試合17勝27敗、延長戦5勝9敗、セーブ失敗32回(30球団で2番目に多い)と、負けには全部理由があります。「負けに不思議の負けなし」の側です。
1点差試合1勝0敗 勝率.641は30球団で1位
レイズの上振れ7.8勝は、ほぼ1点差試合の成績で説明できます。
| 球団 | 1点差試合 | 勝率 | 延長戦 |
|---|---|---|---|
| レイズ | 1勝0敗 | .641 | 8勝6敗 |
| フィリーズ | 25勝16敗 | .610 | 7勝6敗 |
| レッズ | 26勝17敗 | .605 | 9勝5敗 |
| レンジャーズ | 23勝17敗 | .575 | 4勝2敗 |
| ドジャース | 31勝23敗 | .574 | 6勝1敗 |
| ブルワーズ | 27勝20敗 | .574 | 11勝5敗 |
| ヤンキース | 17勝22敗 | .436 | 4勝11敗 |
1点差試合を除くと、レイズは98勝64敗(勝率.593)、ヤンキースは76勝46敗(勝率.623)になります。2点差以上の試合ではヤンキースの方が強い。地区シリーズ第1戦の1-0は、レイズが唯一ヤンキースを上回る領域で勝った試合でした。
ヤンキースの延長戦4勝11敗も見逃せません。延長戦の勝率.267は、2026年の30球団でエンゼルス(6勝14敗・.300)より低く、最下位です。
58セーブ・116ホールド 1点差を守った救援陣の数字
1点差を勝ちにするのは救援陣です。レイズの救援陣の数字をMLB公式Statsで見ると、量で30球団の先頭にいます。
| 球団 | セーブ | セーブ機会 | セーブ失敗 | ホールド | チーム防御率 |
|---|---|---|---|---|---|
| レイズ | 58 | 77 | 19 | 116 | 3.70 |
| ブルワーズ | 55 | 76 | 21 | 87 | 3.51 |
| ブルージェイズ | 52 | 69 | 17 | 106 | 3.90 |
| アストロズ | 49 | 63 | 14 | 88 | 4.45 |
| ブレーブス | 49 | 69 | 20 | 106 | 3.63 |
| ヤンキース | 45 | 73 | 28 | 86 | 3.23 |
セーブ58は30球団1位、ホールド116はガーディアンズの117に次ぐ2位です。セーブ機会77は、ナショナルズの84に次いで多い。つまりレイズは、接戦に持ち込む回数そのものが多く、その接戦を終盤の投手で勝ちにしてきた球団です。
一方のヤンキースはチーム防御率3.23で30球団1位なのに、セーブ失敗28回。先発と中盤の投手は強く、終盤の1点を守る場面で落としてきた。1点差17勝22敗はこの数字の裏返しです。
期待値を7勝以上上回った地区優勝球団はワールドシリーズに届いていない
1996年以降の30年、896球団シーズンのうち、レイズの+7.8は21番目に大きい上振れです(上位2.3%)。地区優勝球団に限ると、7勝以上の上振れは6例しかありません。その6球団がポストシーズンでどうなったかを、MLB公式の試合結果で調べました。
| 年 | 球団 | 勝敗 | 期待値との差 | 1点差試合 | ポストシーズンの結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2016 | レンジャーズ | 95勝67敗 | +13.2 | 36勝11敗 | 地区シリーズ0勝3敗 |
| 2004 | ヤンキース | 101勝61敗 | +12.3 | 24勝16敗 | リーグ優勝決定シリーズ3勝4敗 |
| 2008 | エンゼルス | 100勝62敗 | +12.1 | 31勝21敗 | 地区シリーズ1勝3敗 |
| 2007 | ダイヤモンドバックス | 90勝72敗 | +11.1 | 32勝20敗 | リーグ優勝決定シリーズ0勝4敗 |
| 1997 | ジャイアンツ | 90勝72敗 | +9.8 | 23勝17敗 | 地区シリーズ0勝3敗 |
| 2002 | ツインズ | 94勝67敗 | +7.9 | 29勝16敗 | リーグ優勝決定シリーズ1勝4敗 |
| 2026 | レイズ | 98勝64敗 | +7.8 | 1勝0敗 | 地区シリーズ1勝0敗(進行中) |
6球団中、ワールドシリーズに到達した球団はありません。地区シリーズで敗退が3球団、リーグ優勝決定シリーズで敗退が3球団です。1点差の強さが短期決戦で続くとは限らない、という30年分の数字です。
レイズ自身の推移も振れ幅が大きい。2024年は+5.9(80勝82敗)、2025年は-7.3(得失点差+31なのに77勝85敗)、2026年は+7.8。1年で15勝分、期待値との差が動きました。
得失点差で見た「不思議の勝ち」の極端な例は、今年もう1つありました。アストロズは得失点差-32で地区優勝し、81勝81敗でポストシーズンに入りましたが、ワイルドカードシリーズでホワイトソックスに0勝2敗で敗れています。1996年以降、得失点差がマイナスで地区優勝した球団は1997年ジャイアンツ・2005年パドレス・2007年ダイヤモンドバックス・2025年ガーディアンズに続く5例目でした。アストロズの数字は81勝81敗でポストシーズンに入った試合の記事で詳しく扱っています。
DiamondStats編集部の独自視点!
第1戦の1-0は、レイズにとって「いつもの勝ち方」でした。ただし歴代の数字は、1点差で稼いだ上振れが10月に続いた例を1つも示していません。ここから先は、レイズが1点差に持ち込めるか、ヤンキースが2点差以上の試合にできるかの綱引きになります。
注目はヤンキースの終盤です。チーム防御率1位の投手陣が、セーブ失敗28回と延長戦4勝11敗という弱点を抱えたまま10月に入りました。レイズは9回に1点差で入れば勝率.641の世界に相手を引き込める。ヤンキースは8回までに差を広げる必要があります。第2戦の7回以降の1点が、このシリーズの行方をほぼ決めると編集部は見ています。
よくある質問
Q. レイズの2026年レギュラーシーズンの成績は?
98勝64敗でアメリカン・リーグ東地区優勝。得点736・失点650で得失点差は+86です。1点差試合は1勝0敗、延長戦は8勝6敗でした。
Q. 期待勝利数(ピタゴラス勝率)とは何ですか?
得点と失点から「この得失点ならこのくらい勝つ」を計算した数字です。得点の1.83乗を、得点の1.83乗と失点の1.83乗の合計で割って期待勝率を出し、試合数をかけます。レイズは期待勝利数90.2勝に対して実際は98勝でした。
Q. レイズとヤンキースの地区シリーズの日程は?
第1戦は日本時間10月4日にレイズが1-0で勝ちました。第2戦は10月6日にレイズの本拠地、第3戦は10月8日と第4戦は10月9日にヤンキースの本拠地、第5戦は10月11日にレイズの本拠地で、いずれも日本時間の朝9時開始予定です。5戦3勝制です。
Q. 「勝ちに不思議の勝ちあり」は誰の言葉ですか?
野村克也氏が監督時代に繰り返し使って広めた言葉です。元は江戸時代の剣術書「常静子剣談」にある一節とされています。勝ちには偶然が混ざるが、負けには必ず理由がある、という意味です。
まとめ
- レイズの98勝は、得失点差から計算する期待勝利数90.2勝を7.8勝上回る。ポストシーズン進出12球団で最大の上振れ
- 中身は1点差試合1勝0敗(勝率.641・30球団1位)と58セーブ(30球団1位)。1点差を除くとヤンキースの方が勝率は高い
- 1996年以降、期待値を7勝以上上回った地区優勝球団6例は、すべてワールドシリーズに届いていない
- 地区シリーズ第1戦の1-0はレイズの型どおり。第2戦以降は1点差に持ち込めるかが分岐点
ポストシーズン全体の組み合わせと結果はMLBポストシーズン2026のトーナメント表で毎日更新しています。ナショナル・リーグではブレーブスが3年ぶりに進出し、ドジャースとの地区シリーズを戦っています。データはMLB公式Statsを独自に集計しました。
⚾ 試合を観るには: MLB配信サービスの比較・視聴方法はこちら





