ドジャースの右腕エメット・シーハンが8月21日、メジャー再昇格からわずか3日、ロッキーズとの3連戦で一度も登板の機会を与えられないまま、再び3Aへ降格となった。8月3日にも直近7登板の防御率6.39で一度3A落ちしており、今季だけで昇降格を繰り返している。
開幕からの成績は20試合登板で4勝8敗、防御率5.29。数字だけを見れば苦しいシーズンだが、投球の中身を投手指標FIPで見ると、防御率が伝える印象とは違う姿が浮かぶ。
詳しくは「球速だけでは通用しない」と話題の佐々木朗希、MLB適応度を実投球データで検証|奪三振99・防御率4.56の中身でまとめています。
防御率とFIPの差が今季だけ突出
DiamondStats調べで、シーハンの防御率とFIP(守備の影響を除いた投球内容の指標)の差を過去3シーズンで比較した。

| 年度 | 投球回 | 防御率 | FIP | 差(防御率−FIP) | WAR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 60.1 | 4.92 | 4.85 | +0.07 | 0.5 |
| 2025年 | 73.1 | 2.82 | 2.93 | −0.11 | 2.1 |
| 2026年 | 95.1 | 5.29 | 4.74 | +0.55 | 0.8 |
2023年と2025年は防御率とFIPがほぼ一致していた。ところが2026年は防御率がFIPを0.55も上回っており、これは3年間で最大の差だ。投球内容そのものは崩れ切っていないのに、結果としての防御率だけが悪化している計算になる。トミー・ジョン手術明けで通算投球回が過去最多の95.1回に達していることも、終盤の失点がかさんだ一因とみられる。
奪三振・与四球のデータは実は崩れていない
不振の原因を制球難や球威低下と考えがちだが、K%(奪三振率)とBB%(与四球率)を並べると印象が変わる。
| 年度 | K% | BB% | K/9 | BB/9 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 25.8% | 10.5% | 9.55 | 3.88 |
| 2025年 | 30.6% | 7.6% | 10.92 | 2.70 |
| 2026年 | 26.2% | 7.3% | 10.20 | 2.83 |
与四球率はキャリアで最も低い7.3%まで改善しており、奪三振率もルーキーイヤーの2023年より高い。制球は崩れていないというデータは、防御率5.29という数字だけでは見えてこない部分だ。
なぜ結果を出しても居場所がないのか
先発陣が上積みを重ねてきたことも、シーハンの立ち位置を難しくしている。2026年オフに加入したタリク・スクーバルのような即戦力級の先発、そして山本由伸をはじめとする既存の柱が安定した回を稼ぐ中(ドジャース先発防御率の分解記事で詳しく検証している)、ローテーションの空き枠自体が少ない。
数字の上では十分にメジャーで通用する内容を残しながら出場機会を得られない選手は、シーハンだけではない。内野手キム・ヘソンも構想外での起用にとどまっている状況を(キム・ヘソンの守備適性記事で扱った)、ドジャースの「戦力の厚さ」が生む裏側として見ることができる。
まとめ
シーハンの2026年は防御率だけを見れば「大不振」と映るが、FIP・K%・BB%はいずれもキャリアの中で悪くない水準にある。防御率とFIPの差が3年で最大になっている点は、結果と内容のギャップを示すデータとして注目に値する。今季すでに4度のメジャー昇降格を経験しており、ロースター上の「余剰戦力」という扱いは、必ずしも本人の投球内容の悪化だけが理由ではなさそうだ。
シーハンが次にメジャーへ呼ばれるタイミングと、そこでの起用のされ方(先発かブルペンか)は、ドジャースの投手層の厚さを測る上でも注目材料になる。あわせて、ドジャース投手陣全体の分析は先発防御率7点台からの分解記事でも取り上げているので参考にしてほしい。
よくある質問
Q. エメット・シーハンは今どのチームに所属していますか
2026年時点でロサンゼルス・ドジャース傘下。8月21日時点で3A(マイナー)に降格中で、メジャー登録はされていない。
Q. なぜ登板機会がないままマイナー降格になったのですか
8月18日にブルペン要員としてメジャー再昇格したが、ロッキーズとの3連戦で登板の場面が巡ってこず、3日後の8月21日に再び3Aへ降格した。

Q. シーハンの防御率が悪いのは実力が落ちたからですか
防御率は5.29と悪化しているが、投球内容を示すFIPは4.74でキャリア平均に近い水準。与四球率もキャリア最少の7.3%まで改善しており、内容ほど数字が悪化していない可能性がデータから読み取れる。
Q. 2025年との違いは何ですか
2025年は73.1回を投げ防御率2.82・WAR2.1と好成績だったが、故障明けの起用管理もあり投球回が制限されていた。2026年は95.1回まで投球回が増えた一方、失点効率(防御率)は悪化している。
⚾ 試合を観るには: MLB配信サービスの比較・視聴方法はこちら
文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年8月時点)





