ドジャースが8月下旬、守護神エドウィン・ディアスをクローザーの座から外した。ディアスは2026年俸1700万ドル(約25.5億円、1ドル=150円換算)の契約だが、13.2回を投げて防御率11.85、3セーブ失敗という数字が背景にある。後任はタナー・スコット(1600万ドル)で、54.0回を投げて防御率2.50・19セーブと安定している。
ただし、ディアスの13.2回は投手評価のサンプルとして小さく、防御率は数試合の大量失点で大きく変動する。被安打が安打になる割合を示すBABIPや残塁率、守備の影響も受けるため、防御率11.85だけで投手の本来の能力が低下したと断定することはできない。今回の配置転換は、短期間の結果とセーブ失敗を踏まえた運用上の判断として捉える必要がある。
同じブルペンの中で、年俸の高い投手が外され、年俸の近い投手が残った。この人事をきっかけに、ドジャースの2026年俸表を選手ごとに並べ、成績と突き合わせて検証した。8月1日に加入したばかりの投手が、年俸ランキングの上位に食い込んでいる点も見えてきた。
球団総額はメジャートップ、2位に6000万ドル以上の差
2026年のドジャースの年俸総額(ぜいたく税算定ベース)は約4億3000万ドルで、30球団中1位。2位ニューヨーク・メッツの約3億6830万ドル、3位ヤンキースの約3億3325万ドルを、いずれも6000万ドル以上引き離している(スポトラック集計)。

チーム内の個人年俸(契約ベースの年間レート)を上から並べると、以下の通り。
| 順位 | 選手 | 2026年俸(レート) |
|---|---|---|
| 1 | 大谷翔平 | 7000万ドル |
| 2 | ブレイク・スネル | 3640万ドル |
| 3 | カイル・タッカー | 3300万ドル |
| 4 | タリク・スクーバル(8/1加入) | 3200万ドル |
| 5 | モーキー・ベッツ | 3042万ドル |
| 6 | タイラー・グラスノー | 3000万ドル |
| 7 | フレディ・フリーマン | 2700万ドル |
| 8 | テオスカー・ヘルナンデス | 1967万ドル |
| 9 | エドウィン・ディアス | 1700万ドル |
| 10 | 山本由伸 | 1617万ドル |
8月1日にタイガースから移籍してきたばかりのスクーバルが、開幕から在籍する主力野手より上の4位に入っている。
途中加入なのに4位、"日割り15億円"のからくり
スクーバルの3200万ドルは、2026年の調停(アービトレーション)で勝ち取った金額としてはMLB史上最高額。ただしこれは「1年間フルで在籍した場合」のレートで、ドジャースが実際に支払うのは移籍後の在籍期間分だけだ。
ダイヤモンドスタッツ調べで日割り計算すると、2026年のレギュラーシーズンは3月26日開幕・9月27日終了の186日間。8月1日加入のスクーバルがドジャースに在籍するのは残り58日、全体の31%にあたる。計算にはMLB公式日程の開幕日・終了日と、スポトラックの契約年俸を用いた。
31%×3200万ドル≈998万ドル(1ドル=150円換算で約15億円)。
これはスポトラックの契約情報とMLB公式日程を基礎に各報道で示されたドジャース側の実負担額(950万〜1050万ドル)とほぼ一致する。なお、998万ドルは「3200万ドル×58日÷186日」による本稿の単純日割り試算であり、実際の球団負担額は給与計算上の在籍日数や契約条件によって前後する。そして偶然にも、この約15億円という金額は、開幕から働く内野手マックス・マンシーの1年分の年俸(1000万ドル)とほぼ同じだ。わずか2カ月弱の在籍で、レギュラー野手の1年分に匹敵する額を稼ぐ計算になる。スクーバル加入の経緯は既報の通りで、大谷との初共演の様子は移籍直後にまとめている。
野手編:年俸と打撃成績の比較表
年俸が打撃成績にそのまま比例しているわけではない。8月27日時点の主要野手を比較する。出場数と打撃成績はMLB公式Stats、年俸はスポトラックの契約情報に基づく。
| 選手 | 2026年俸 | 出場 | 打率 | 本塁打 | 打点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大谷翔平 | 7000万ドル | 124試合 | .285 | 30 | 80 |
| カイル・タッカー | 3300万ドル | 126試合 | .228 | 11 | 57 |
| モーキー・ベッツ | 3042万ドル | 97試合 | .239 | 16 | 47 |
| フレディ・フリーマン | 2700万ドル | 130試合 | .300 | 15 | 61 |
| テオスカー・ヘルナンデス | 1967万ドル | 98試合 | .245 | 11 | 44 |
| トミー・エドマン | 1565万ドル | 57試合 | .267 | 5 | 27 |
| マックス・マンシー | 1000万ドル | 123試合 | .253 | 26 | 67 |
年俸3位のタッカー(3300万ドル)は打率.228にとどまる一方、年俸では下位のマンシー(1000万ドル)が26本塁打・67打点とチームトップクラスの数字を残している。年俸の高さと打撃成績の順位は、必ずしも一致しない。
投手編:年俸・防御率と守護神交代の年俸差
投手陣も同様に、年俸と防御率を並べると差がはっきりする。登板数、投球回、防御率、勝敗、奪三振、セーブは8月27日時点のMLB公式Stats、年俸はスポトラックを出典とする。
| 選手 | 2026年俸(レート) | 登板 | 防御率 | 主な成績 |
|---|---|---|---|---|
| ブレイク・スネル | 3640万ドル | 4先発・21.0回 | 2.57 | 2勝1敗 |
| タリク・スクーバル | 3200万ドル(実負担≈998万ドル) | LA移籍後4先発・24.0回 | 3.38 | 1勝2敗・30奪三振 |
| タイラー・グラスノー | 3000万ドル | 8先発・44.2回 | 3.02 | 3勝0敗(5月から故障離脱中) |
| 山本由伸 | 1617万ドル | 24先発・158.0回 | 2.56 | 12勝8敗 |
| エドウィン・ディアス | 1700万ドル | 16試合・13.2回 | 11.85 | 2勝2敗・7セーブ(守護神陥落) |
| タナー・スコット | 1600万ドル | 58試合・54.0回 | 2.50 | 1勝5敗・19セーブ(守護神昇格) |
| ブレイク・トレイネン | 1350万ドル | 29試合・23.0回 | 3.52 | 4勝1敗・1セーブ |
ほぼ同額の1700万ドル(ディアス)と1600万ドル(スコット)を比べると、防御率は11.85対2.50。年俸がほぼ同じでも、8月27日時点の結果には9点以上の開きがある。冒頭の守護神交代は、この時点の成績差と整合する結果と言える。ただし、年俸と防御率を並べただけでは両者の因果関係は示せず、特にディアスの13.2回とスネルの21.0回などは小標本のため、シーズンを通じた能力評価には慎重さが必要だ。
また、防御率は守備、球場、登板時の走者状況や偶然性の影響を受ける。投手自身が制御しやすい奪三振、与四球、被本塁打を中心に見るFIP、1投球回当たりに許した走者数を示すWHIP、打球が安打になった割合を示すBABIPも併用したい。FIPにも被本塁打の変動や守備から独立しきれない限界があり、WHIPも長打の重みを区別しないため、いずれか一つで優劣を断定するのではなく、役割や投球回と合わせて判断するのが適切だ。本表は年俸と実績の概観を目的としているため、FIP・WHIP・BABIPの個別数値までは扱わない。
防御率のリーグ内での位置づけはFIPで見る2023年の防御率ランキングでも扱っており、あわせて読むと投手評価の別の指標が分かる。2026年の最新値を確認する場合は、MLB公式の投手成績データで投球回や防御率、WHIPなどを同じ時点にそろえて比較できる。
まとめ
2026年のドジャースは球団総額約4億3000万ドルでメジャー1位。個人年俸では大谷翔平の7000万ドルを筆頭に、8月1日加入のスクーバルが契約レートで4位に入るが、実際にドジャースが支払う金額は在籍日数で按分され約998万ドル(約15億円)にとどまる。
一方で、年俸1700万ドルの守護神ディアスが防御率11.85で座を追われ、1600万ドルのスコットが19セーブでその座を引き継いだ。ただし、ディアスの防御率は13.2回という小さいサンプルであり、BABIPなどの変動要因も含むため、この数字だけで長期的な実力差を断定することはできない。年俸の順位と成績の順位は一致しない場面が多く、8月27日時点で80勝54敗・地区首位のドジャースは、高額年俸だけでなく年俸の使い方そのものが強さを支えている可能性がデータから読み取れる。
よくある質問
Q. ドジャースの2026年俸総額はいくらですか?
ぜいたく税算定ベースで約4億3000万ドル(スポトラック集計)。30球団の中で最も高く、2位のメッツ(約3億6830万ドル)を6000万ドル以上上回る。

Q. タリク・スクーバルの年俸はいくらですか?
2026年の調停で勝ち取った契約レートは3200万ドルでMLB史上最高額。ただし8月1日にドジャースへ移籍したため、球団側の実負担額は在籍日数で按分され約998万ドル(約15億円)にとどまる。この金額はMLB公式日程とスポトラックの契約年俸を用い、「3200万ドル×58日÷186日」で算出した本稿の試算値。
Q. なぜエドウィン・ディアスは守護神を外されたのですか?
2026年は13.2回を投げて防御率11.85、セーブ失敗が続いたため。後任のタナー・スコットは54.0回で防御率2.50・19セーブと安定した成績を残していた。ただし13.2回は小さいサンプルで、防御率はBABIPや残塁率、守備の影響でも変動する。したがって、配置転換の背景となった短期成績は確認できるものの、ディアスの投手能力そのものが恒常的に低下したとまでは断定できない。
Q. ドジャースの年俸トップは誰ですか?
大谷翔平の7000万ドルが最も高い。2位はブレイク・スネルの3640万ドル、3位はカイル・タッカーの3300万ドル。
Q. 年俸が高い選手ほど成績も良いのですか?
必ずしもそうではない。本稿の比較表の通り、年俸3位のタッカーは打率.228にとどまる一方、年俸で下位のマンシーが26本塁打を放つなど、年俸の順位と成績の順位が逆転する例が複数見られる。ただし、この比較は年俸と同時点の成績の対応を示すものであり、年俸の高さが成績低下を引き起こすといった因果関係を示すものではない。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年8月時点)





