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メジャーリーグの四球率が8.9%に上昇 ABSチャレンジ元年の3-2カウントをデータ検証

2026 10/24
データ検証・分析
2026年10月17日2026年10月24日
メジャーリーグの四球率が8.9%に上昇 ABSチャレンジ元年の3-2カウントをデータ検証

2026年のレギュラーシーズンは9月27日に全日程を終えました。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)がMLB公式Statsを独自に集計したところ、今季の全打席に占める四球の割合(四球率)は8.89%で、2025年の8.41%から0.48ポイント上がりました。

162試合制のシーズンとしては、9.59%だった2000年以来の高い水準です。2026年はボール・ストライクの判定に異議を申し立てられる「ABSチャレンジ制度」がメジャーで初めて通年で使われた年でもあります。判定の仕組みが変わった年に、四球がどこで増えたのかを数字で追います。

目次

四球率8.89%は過去10年でどの位置か(2026年9月27日現在)

まず、四球率の推移を並べます。2020年は60試合の短縮シーズンなので参考値です。

年 四球率 三振率 本塁打率
2017年 8.54% 21.64% 3.29%
2018年 8.47% 22.26% 3.02%
2019年 8.52% 22.96% 3.63%
2020年 9.16% 23.44% 3.46%
2021年 8.69% 23.18% 3.27%
2022年 8.16% 22.42% 2.86%
2023年 8.59% 22.73% 3.19%
2024年 8.18% 22.58% 2.99%
2025年 8.41% 22.22% 3.09%
2026年 8.89% 22.14% 3.03%

出典はMLB公式Stats(全30球団の打撃成績を合算。四球率・三振率・本塁打率はいずれも打席数で割った値。DiamondStats調べ)。

ポイントは3つあります。

  • 四球率だけが動いた。三振率は22.14%で2025年とほぼ同じ、本塁打率は3.03%でむしろ少し下がりました。「打者が有利になった」のではなく、「四球という結果だけが増えた」年です
  • 前年比0.48ポイントの上げ幅は、短縮シーズンの2020年を除けば2016年以来の大きさ。2015年の7.66%から2016年の8.17%に上がった0.51ポイント以来です
  • 1試合あたりの得点は4.48点で、2025年の4.45点とほぼ横ばいでした。四球が増えても得点にはつながっていません

四球率が8.9%前後だった年は、2009年の8.88%が直近です。今季はそれを0.01ポイント上回りました。

3-2カウントの四球率が31.7%から32.7%に上がった

四球がどのカウントで増えたのかを、打席の最終カウント別に集計しました。

打席が終わったカウント 2025年 四球率 2026年 四球率 差
3ボール0ストライク 91.84% 92.36% +0.52
3ボール1ストライク 56.15% 58.99% +2.84
3ボール2ストライク 31.69% 32.71% +1.02

3ボール2ストライク(フルカウント)で終わった打席は、2025年が25,758打席、2026年が25,860打席でほぼ同じ数です。ところが、その打席が四球で終わる割合は31.69%から32.71%に上がり、三振で終わる割合は28.05%から27.03%に下がりました。フルカウントの「最後の1球」がボールと判定される場面が増えたことを示しています。

3ボール1ストライクの上げ幅はさらに大きく、2.84ポイントです。投手がカウントを取りに行かなければならない場面で、ストライクが取れなくなっています。

なぜそうなったのか。手がかりはABSの「ゾーンの定義」にあります。ABSが判定に使うストライクゾーンは、幅がホームプレートと同じ17インチ(約43センチ)、高さは打者の身長の27%から53.5%までと決まっています。身長183センチの打者なら、下端は地面から約49センチ、上端は約98センチです。従来の審判が取っていたゾーンより上端が低く、高めのボールがストライクと判定されにくくなりました。

5月上旬時点の海外のデータ分析では、四球率の上昇分のうち、投手と打者の行動の変化が0.5ポイント、ゾーンの上端が低くなった影響が0.2ポイント、判定の精度が上がった影響が0.4ポイントと試算されていました。興味深いのは、チャレンジそのものは四球を減らす方向に働いたという点です。ボールをストライクに覆す申し立てのほうが、その逆より多かったためです。

つまり、四球が増えた主な原因はチャレンジの判定結果ではなく、投手と打者の行動の変化と、判定がABSのゾーンに合わせて変わったことにあります。

月別では開幕直後が9.62%でピーク その後も前年を上回り続けた

四球の増え方は一定ではありませんでした。月別に2025年と並べます。

ボール・ストライク 直近5登板の奪三振と自責点(2026年・MLB公式Statsの実測値)

月 2025年 2026年 差
3・4月 9.00% 9.62% +0.62
5月 8.27% 8.81% +0.54
6月 8.27% 8.51% +0.24
7月 8.19% 8.49% +0.30
8月 8.40% 9.00% +0.60
9月 8.21% 8.70% +0.49

開幕直後の3・4月は9.62%と、どの月よりも高くなりました。5月8日までの四球率は9.52%で、この時点では「四球が1ポイント以上増える年」になるかに見えていました。

しかし6月と7月は差が0.24〜0.30ポイントまで縮まりました。投手が新しいゾーンの高さに慣れ、低めに投げ分けるようになったと考えられます。ところが8月には差が再び0.60ポイントに開きました。四球率は「ある水準で落ち着いた」のではなく、1年を通して前年を上回ったまま、月ごとに上下したことになります。

毎年、開幕直後は四球率が高くなる傾向があります(2025年も3・4月が最も高い)。2026年はその開幕直後の山が例年より高く、しかも夏以降も下がりきりませんでした。

球団別ではブリュワーズとカブスが10.5%超 投手陣ではアストロズとレッズが悪化

四球の増え方は球団によって大きく違います。打者側(四球を選んだ割合)の上位と、投手側(四球を与えた割合)の上位を並べます。

四球を選んだ割合(打撃)2026年上位

球団 2025年 2026年 差
ブリュワーズ 9.06% 10.60% +1.54
カブス 8.99% 10.56% +1.57
ドジャース 9.37% 10.11% +0.74
オリオールズ 8.04% 9.64% +1.60
ヤンキース 10.25% 9.54% -0.71

四球を与えた割合(投手)2026年ワースト

球団 2025年 2026年 差
アストロズ 8.41% 10.52% +2.11
レッズ 8.19% 10.52% +2.33
エンゼルス 9.91% 10.31% +0.40
アスレチックス 9.15% 9.97% +0.82
ブルージェイズ 8.49% 9.74% +1.25

打者側では、ブリュワーズとカブスが前年から1.5ポイント以上伸ばして10.5%を超えました。一方で、ジャイアンツは9.16%から7.41%へ1.75ポイント下げ、30球団で最も四球を選ばない打線になりました。リーグ全体で四球が増える年でも、球団ごとの方針や打者の入れ替わりのほうが大きく効いています。

投手側では、レッズが2.33ポイント、アストロズが2.11ポイント悪化しました。逆にレイズの投手陣は7.95%から6.89%へ改善し、与四球率はメジャーで最も低くなりました。同じゾーンで投げているのに、球団によって2ポイント以上の差が出ています。ゾーンの変化に対応できた投手陣と、できなかった投手陣に分かれた1年でした。

ポストシーズンでこれらの球団の投手がどう四球を抑えているかは、MLBポストシーズン2026 個人成績ランキングで確かめられます。

DiamondStats編集部の独自視点!

四球率8.89%という数字で編集部が注目しているのは、三振率も本塁打率も動かなかったことです。ストライクゾーンが狭くなれば、普通は打者がよい球を待てるようになり、長打も増えるはずです。しかし本塁打率はむしろ下がり、得点も横ばいでした。増えたのは四球だけで、打球の質は変わっていません。

これは、今季の変化が「打者が強くなった」のではなく「判定の基準や投打の行動が変わった」ことで起きたという見方を裏付けます。来季は投手側が本格的に対応してくる年です。6月と7月に差が縮まったように、低めへの投げ分けが進めば四球率は8.5%前後まで戻るかもしれません。逆に打者が高めを見送る習慣を固めれば、9%台が定着する可能性もあります。

2027年の3・4月に四球率がどこから始まるか。来年の春、この記事の月別の表と見比べてみてください。サイ・ヤング賞やMVPの行方を追うMLB表彰2026 結果一覧と合わせて読むと、四球を抑えた投手が評価された年だったかどうかも分かります。

まとめ

  • 2026年の四球率は8.89%。2025年の8.41%から0.48ポイント上がり、162試合制では2000年以来の高さ
  • 三振率(22.14%)と本塁打率(3.03%)はほぼ横ばいで、四球だけが増えた
  • 3ボール2ストライクで終わった打席の四球率は31.69%から32.71%へ。3ボール1ストライクでは2.84ポイント上がった
  • 月別では3・4月の9.62%が最高。6〜7月に差が縮まったが8月に再び開いた
  • 球団別では打撃のブリュワーズ・カブスが10.5%超、投手のレッズ・アストロズが2ポイント以上悪化

数字はいずれもMLB公式Statsを2026年9月27日のレギュラーシーズン終了時点で独自に集計したものです。

よくある質問

Q. 2026年のメジャーリーグの四球率はいくつですか?

8.89%です。全30球団の打席数183,849のうち四球は16,337でした。2025年は8.41%で、0.48ポイント上がりました。

Q. ABSチャレンジ制度とは何ですか?

ボール・ストライクの判定に対して、打者・捕手・投手が機械判定を求められる制度です。各チームは9イニングの試合で2回のチャレンジを持ち、成功すれば回数は減りません。2026年にメジャーで初めて通年で導入されました。

Q. 四球が増えたのはチャレンジで判定が覆ったからですか?

違います。チャレンジはボールをストライクに覆す場面のほうが多く、むしろ四球を減らす方向に働きました。四球が増えた主な原因は、投手と打者の行動の変化と、判定がABSのゾーン(上端が打者の身長の53.5%)に合わせて変わったことです。

Q. 四球が増えて得点は増えましたか?

ほとんど増えていません。1試合あたりの得点は2025年の4.45点に対し、2026年は4.48点です。本塁打率は3.09%から3.03%に下がっています。

Q. フルカウントで四球になる割合はどれくらいですか?

2026年は32.71%です。3ボール2ストライクで終わった25,860打席のうち、約3分の1が四球でした。2025年は31.69%でした。

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