2026年のレギュラーシーズンは9月27日に全日程を終えました。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)がMLB公式Statsを独自に集計したところ、今季の全打席に占める四球の割合(四球率)は8.89%で、2025年の8.41%から0.48ポイント上がりました。
162試合制のシーズンとしては、9.59%だった2000年以来の高い水準です。2026年はボール・ストライクの判定に異議を申し立てられる「ABSチャレンジ制度」がメジャーで初めて通年で使われた年でもあります。判定の仕組みが変わった年に、四球がどこで増えたのかを数字で追います。
四球率8.89%は過去10年でどの位置か(2026年9月27日現在)
まず、四球率の推移を並べます。2020年は60試合の短縮シーズンなので参考値です。
| 年 | 四球率 | 三振率 | 本塁打率 |
|---|---|---|---|
| 2017年 | 8.54% | 21.64% | 3.29% |
| 2018年 | 8.47% | 22.26% | 3.02% |
| 2019年 | 8.52% | 22.96% | 3.63% |
| 2020年 | 9.16% | 23.44% | 3.46% |
| 2021年 | 8.69% | 23.18% | 3.27% |
| 2022年 | 8.16% | 22.42% | 2.86% |
| 2023年 | 8.59% | 22.73% | 3.19% |
| 2024年 | 8.18% | 22.58% | 2.99% |
| 2025年 | 8.41% | 22.22% | 3.09% |
| 2026年 | 8.89% | 22.14% | 3.03% |
出典はMLB公式Stats(全30球団の打撃成績を合算。四球率・三振率・本塁打率はいずれも打席数で割った値。DiamondStats調べ)。
ポイントは3つあります。
- 四球率だけが動いた。三振率は22.14%で2025年とほぼ同じ、本塁打率は3.03%でむしろ少し下がりました。「打者が有利になった」のではなく、「四球という結果だけが増えた」年です
- 前年比0.48ポイントの上げ幅は、短縮シーズンの2020年を除けば2016年以来の大きさ。2015年の7.66%から2016年の8.17%に上がった0.51ポイント以来です
- 1試合あたりの得点は4.48点で、2025年の4.45点とほぼ横ばいでした。四球が増えても得点にはつながっていません
四球率が8.9%前後だった年は、2009年の8.88%が直近です。今季はそれを0.01ポイント上回りました。
3-2カウントの四球率が31.7%から32.7%に上がった
四球がどのカウントで増えたのかを、打席の最終カウント別に集計しました。
| 打席が終わったカウント | 2025年 四球率 | 2026年 四球率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 3ボール0ストライク | 91.84% | 92.36% | +0.52 |
| 3ボール1ストライク | 56.15% | 58.99% | +2.84 |
| 3ボール2ストライク | 31.69% | 32.71% | +1.02 |
3ボール2ストライク(フルカウント)で終わった打席は、2025年が25,758打席、2026年が25,860打席でほぼ同じ数です。ところが、その打席が四球で終わる割合は31.69%から32.71%に上がり、三振で終わる割合は28.05%から27.03%に下がりました。フルカウントの「最後の1球」がボールと判定される場面が増えたことを示しています。
3ボール1ストライクの上げ幅はさらに大きく、2.84ポイントです。投手がカウントを取りに行かなければならない場面で、ストライクが取れなくなっています。
なぜそうなったのか。手がかりはABSの「ゾーンの定義」にあります。ABSが判定に使うストライクゾーンは、幅がホームプレートと同じ17インチ(約43センチ)、高さは打者の身長の27%から53.5%までと決まっています。身長183センチの打者なら、下端は地面から約49センチ、上端は約98センチです。従来の審判が取っていたゾーンより上端が低く、高めのボールがストライクと判定されにくくなりました。
5月上旬時点の海外のデータ分析では、四球率の上昇分のうち、投手と打者の行動の変化が0.5ポイント、ゾーンの上端が低くなった影響が0.2ポイント、判定の精度が上がった影響が0.4ポイントと試算されていました。興味深いのは、チャレンジそのものは四球を減らす方向に働いたという点です。ボールをストライクに覆す申し立てのほうが、その逆より多かったためです。
つまり、四球が増えた主な原因はチャレンジの判定結果ではなく、投手と打者の行動の変化と、判定がABSのゾーンに合わせて変わったことにあります。
月別では開幕直後が9.62%でピーク その後も前年を上回り続けた
四球の増え方は一定ではありませんでした。月別に2025年と並べます。

| 月 | 2025年 | 2026年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 3・4月 | 9.00% | 9.62% | +0.62 |
| 5月 | 8.27% | 8.81% | +0.54 |
| 6月 | 8.27% | 8.51% | +0.24 |
| 7月 | 8.19% | 8.49% | +0.30 |
| 8月 | 8.40% | 9.00% | +0.60 |
| 9月 | 8.21% | 8.70% | +0.49 |
開幕直後の3・4月は9.62%と、どの月よりも高くなりました。5月8日までの四球率は9.52%で、この時点では「四球が1ポイント以上増える年」になるかに見えていました。
しかし6月と7月は差が0.24〜0.30ポイントまで縮まりました。投手が新しいゾーンの高さに慣れ、低めに投げ分けるようになったと考えられます。ところが8月には差が再び0.60ポイントに開きました。四球率は「ある水準で落ち着いた」のではなく、1年を通して前年を上回ったまま、月ごとに上下したことになります。
毎年、開幕直後は四球率が高くなる傾向があります(2025年も3・4月が最も高い)。2026年はその開幕直後の山が例年より高く、しかも夏以降も下がりきりませんでした。
球団別ではブリュワーズとカブスが10.5%超 投手陣ではアストロズとレッズが悪化
四球の増え方は球団によって大きく違います。打者側(四球を選んだ割合)の上位と、投手側(四球を与えた割合)の上位を並べます。
四球を選んだ割合(打撃)2026年上位
| 球団 | 2025年 | 2026年 | 差 |
|---|---|---|---|
| ブリュワーズ | 9.06% | 10.60% | +1.54 |
| カブス | 8.99% | 10.56% | +1.57 |
| ドジャース | 9.37% | 10.11% | +0.74 |
| オリオールズ | 8.04% | 9.64% | +1.60 |
| ヤンキース | 10.25% | 9.54% | -0.71 |
四球を与えた割合(投手)2026年ワースト
| 球団 | 2025年 | 2026年 | 差 |
|---|---|---|---|
| アストロズ | 8.41% | 10.52% | +2.11 |
| レッズ | 8.19% | 10.52% | +2.33 |
| エンゼルス | 9.91% | 10.31% | +0.40 |
| アスレチックス | 9.15% | 9.97% | +0.82 |
| ブルージェイズ | 8.49% | 9.74% | +1.25 |
打者側では、ブリュワーズとカブスが前年から1.5ポイント以上伸ばして10.5%を超えました。一方で、ジャイアンツは9.16%から7.41%へ1.75ポイント下げ、30球団で最も四球を選ばない打線になりました。リーグ全体で四球が増える年でも、球団ごとの方針や打者の入れ替わりのほうが大きく効いています。
投手側では、レッズが2.33ポイント、アストロズが2.11ポイント悪化しました。逆にレイズの投手陣は7.95%から6.89%へ改善し、与四球率はメジャーで最も低くなりました。同じゾーンで投げているのに、球団によって2ポイント以上の差が出ています。ゾーンの変化に対応できた投手陣と、できなかった投手陣に分かれた1年でした。
ポストシーズンでこれらの球団の投手がどう四球を抑えているかは、MLBポストシーズン2026 個人成績ランキングで確かめられます。
DiamondStats編集部の独自視点!
四球率8.89%という数字で編集部が注目しているのは、三振率も本塁打率も動かなかったことです。ストライクゾーンが狭くなれば、普通は打者がよい球を待てるようになり、長打も増えるはずです。しかし本塁打率はむしろ下がり、得点も横ばいでした。増えたのは四球だけで、打球の質は変わっていません。
これは、今季の変化が「打者が強くなった」のではなく「判定の基準や投打の行動が変わった」ことで起きたという見方を裏付けます。来季は投手側が本格的に対応してくる年です。6月と7月に差が縮まったように、低めへの投げ分けが進めば四球率は8.5%前後まで戻るかもしれません。逆に打者が高めを見送る習慣を固めれば、9%台が定着する可能性もあります。
2027年の3・4月に四球率がどこから始まるか。来年の春、この記事の月別の表と見比べてみてください。サイ・ヤング賞やMVPの行方を追うMLB表彰2026 結果一覧と合わせて読むと、四球を抑えた投手が評価された年だったかどうかも分かります。
まとめ
- 2026年の四球率は8.89%。2025年の8.41%から0.48ポイント上がり、162試合制では2000年以来の高さ
- 三振率(22.14%)と本塁打率(3.03%)はほぼ横ばいで、四球だけが増えた
- 3ボール2ストライクで終わった打席の四球率は31.69%から32.71%へ。3ボール1ストライクでは2.84ポイント上がった
- 月別では3・4月の9.62%が最高。6〜7月に差が縮まったが8月に再び開いた
- 球団別では打撃のブリュワーズ・カブスが10.5%超、投手のレッズ・アストロズが2ポイント以上悪化
数字はいずれもMLB公式Statsを2026年9月27日のレギュラーシーズン終了時点で独自に集計したものです。
よくある質問
Q. 2026年のメジャーリーグの四球率はいくつですか?
8.89%です。全30球団の打席数183,849のうち四球は16,337でした。2025年は8.41%で、0.48ポイント上がりました。
Q. ABSチャレンジ制度とは何ですか?
ボール・ストライクの判定に対して、打者・捕手・投手が機械判定を求められる制度です。各チームは9イニングの試合で2回のチャレンジを持ち、成功すれば回数は減りません。2026年にメジャーで初めて通年で導入されました。
Q. 四球が増えたのはチャレンジで判定が覆ったからですか?
違います。チャレンジはボールをストライクに覆す場面のほうが多く、むしろ四球を減らす方向に働きました。四球が増えた主な原因は、投手と打者の行動の変化と、判定がABSのゾーン(上端が打者の身長の53.5%)に合わせて変わったことです。
Q. 四球が増えて得点は増えましたか?
ほとんど増えていません。1試合あたりの得点は2025年の4.45点に対し、2026年は4.48点です。本塁打率は3.09%から3.03%に下がっています。
Q. フルカウントで四球になる割合はどれくらいですか?
2026年は32.71%です。3ボール2ストライクで終わった25,860打席のうち、約3分の1が四球でした。2025年は31.69%でした。
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