2026年10月28日時点の報道と制度にもとづいて、この記事を書いています。
阪神・佐藤輝明がメジャーリーグへ移籍した場合の契約について、報道では元レッズGMが「5年総額約284億円」と予想しました。あわせて、阪神に入る譲渡金は約45億円と見積もられています。この記事は2026年オフの移籍を想定した試算で、数字はすべて2026年10月28日時点の報道と制度にもとづきます。
予想どおりなら、阪神が受け取るのは契約総額の約16%です。この割合は、MLBとNPBが結んでいるポスティング制度の計算式で決まります。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)が式に当てはめて計算すると、報道の「約45億円」と一致しました。
ポスティング制度の譲渡金は3段階の計算式で決まる
譲渡金は、移籍先の球団が保証する契約総額を3つの段に分けて計算します。下の表は、その3段階の区分と割合を整理した図解です。
| 契約総額の区分 | 譲渡金の割合 | 円換算の目安(1ドル=150円) |
|---|---|---|
| 最初の2500万ドルまで | 20% | 37.5億円までの部分 |
| 2500万〜5000万ドルの部分 | 17.5% | 37.5億〜75億円の部分 |
| 5000万ドルを超える部分 | 15% | 75億円を超える部分 |
| マイナー契約 | 契約金の25% | ― |
契約後に出来高やオプションが発生した場合は、その金額の15%が後から追加で支払われます。
ポイントは、契約が大きくなるほど総額に対する割合が下がることです。上の段ほど割合が低いため、大型契約では15%に近づいていきます。
284億円契約で約45億円になるかを計算した
報道の284億円を1ドル=150円でドルに直すと、約1億8933万ドルになります。これを3つの段に分けて計算しました(DiamondStats独自集計・2026年10月28日時点の報道額で計算)。
| 段 | 対象の金額 | 割合 | 譲渡金 |
|---|---|---|---|
| 1段目 | 37.5億円 | 20% | 7.5億円 |
| 2段目 | 37.5億円 | 17.5% | 約6.6億円 |
| 3段目 | 約209億円 | 15% | 約31.3億円 |
| 合計 | 284億円 | 約16.0% | 約45.4億円 |
下のグラフは、表2の内訳を段ごとの棒で比べたものです。3段目の約31.3億円が、譲渡金全体の約7割を占めていることが一目で分かります。
報道の「約45億円」とほぼ同じ数字になりました。この予想は、制度の計算式どおりに出された数字です。
ただし、円換算はその時点の為替レートで変わります。同じドル建ての契約でも、円安になれば円での譲渡金は増えます。この記事の円の金額は、実際の契約時のレートではなく、1ドル=150円で固定した2026年10月28日時点の試算です。
契約総額が変わると阪神に入る金額はどう動くか
予想の284億円から上下した場合も計算しました(1ドル=150円で換算・DiamondStats独自集計・2026年10月28日時点)。
| 契約総額 | 譲渡金 | 総額に対する割合 |
|---|---|---|
| 37.5億円 | 7.5億円 | 20.0% |
| 75億円 | 約14.1億円 | 18.75% |
| 150億円 | 約25.3億円 | 約16.9% |
| 284億円(予想) | 約45.4億円 | 約16.0% |
| 450億円 | 約70.3億円 | 約15.6% |
契約総額が2倍近くになっても、譲渡金は2倍にはなりません。75億円を超えた部分は一律15%なので、総額が100億円増えるごとに譲渡金は15億円ずつ増える計算です。
反対に、マイナー契約になると話が大きく変わります。譲渡金は契約金の25%だけで、球団に入る金額は一気に小さくなります。25歳未満の選手は国際アマチュアの契約金枠に縛られるためです。枠のしくみは、ドジャースの国際アマ契約金枠をまとめた記事で解説しています。
過去のポスティング移籍と比べた
これまでのポスティング移籍の契約総額と譲渡金を、同じ式・同じ1ドル=150円で換算して並べました。山本由伸は2023年12月、吉田正尚は2022年12月、今永昇太は2024年1月、佐々木朗希は2025年1月の契約で、いずれも過去の確定した契約です。実際に支払われた時点の為替とは違うため、円の金額は比較用の目安です。
| 移籍の例 | 契約総額 | 譲渡金 | 割合 |
|---|---|---|---|
| ドジャース(山本由伸・2023年12月契約) | 約487.5億円 | 約75.9億円 | 約15.6% |
| 佐藤輝明の予想(2026年10月28日時点の報道) | 284億円 | 約45.4億円 | 約16.0% |
| レッドソックス(吉田正尚・2022年12月契約) | 135億円 | 約23.1億円 | 約17.1% |
| カブス(今永昇太・2024年1月契約) | 79.5億円 | 約14.7億円 | 約18.5% |
| ドジャース(佐々木朗希・マイナー契約・2025年1月契約) | 契約金9.75億円 | 約2.4億円 | 25.0% |
下のグラフは、表4の「割合」だけを棒で並べたものです。契約総額が大きい順に、割合が低くなっていく様子が分かります。マイナー契約の佐々木朗希だけは、式が別なので25%になります。
284億円の予想が実現すれば、ドジャースが山本由伸と結んだ契約に次ぐ規模になります。それでも球団の取り分の割合は16%前後で、大型契約ほど割合が下がるという式の性質がよく分かります。
メジャー球団から見た約45億円の重さ
獲得する球団は、選手の年俸とは別に譲渡金を支払います。予想の数字で計算すると、5年間の総費用は約329億円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 選手への契約総額 | 284億円 |
| 日本の球団への譲渡金 | 約45.4億円 |
| 球団の総費用 | 約329.4億円 |
| 1年あたりの総費用 | 約65.9億円 |
ただし、譲渡金は贅沢税の計算に含まれる年俸総額には入りません。年俸総額が贅沢税の基準に近い球団にとっては、譲渡金のほうが年俸よりも負担が軽いお金です。大型契約をめぐる球団の動きは、タリク・スクーバルのFA争奪戦をまとめた記事でも取り上げています。
DiamondStats編集部の独自視点!
注目は「総額が増えても割合は16%前後で止まる」点です。阪神にとっては、契約が1年延びるたびに譲渡金も確実に増えます。そのため、年数と総額の両方が交渉の焦点になります。
もう1つ見落とせないのが出来高とオプションです。契約に含まれる額が大きいほど、移籍が決まった後も日本の球団に追加で支払われる可能性が残ります。実際に契約が決まったら、保証額と出来高の内訳まで見ないと譲渡金の正確な額は出せません。DiamondStatsでは、その内訳を式に当てはめて追いかけます。
なお、この記事の数字は2026年10月28日時点の報道と計算にもとづく試算です。契約が正式に決まった時点で、実際の金額に更新します。
まとめ
- 報道では、元レッズGMが佐藤輝明の契約を5年総額約284億円と予想し、阪神への譲渡金を約45億円と見積もった(2026年10月28日時点)
- ポスティング制度の式(20%・17.5%・15%)で計算すると約45.4億円になり、報道と一致する
- 契約総額に対する割合は約16%。大型契約ほど15%に近づく
- マイナー契約なら譲渡金は契約金の25%だけになる
契約金のルールは、国際アマ契約金枠の記事とあわせて読むと、ポスティング移籍のお金の流れがつかめます。
よくある質問
Q. ポスティング制度の譲渡金はどう計算しますか?
契約総額のうち、最初の2500万ドルまでは20%、2500万〜5000万ドルの部分は17.5%、5000万ドルを超える部分は15%です。それぞれを足した額が日本の球団に支払われます。
Q. 佐藤輝明が284億円で契約したら阪神にはいくら入りますか?
1ドル=150円で計算すると約45.4億円で、契約総額の約16%です。為替レートによって円での金額は変わります。この数字は2026年10月28日時点の試算です。
Q. マイナー契約の場合の譲渡金はいくらですか?
マイナー契約の場合、譲渡金は契約金の25%です。メジャー契約の場合と比べて、日本の球団に入る金額はかなり小さくなります。
Q. 出来高やオプションにも譲渡金はかかりますか?
かかります。契約後に出来高やオプションが発生した場合、その金額の15%が日本の球団に追加で支払われます。
⚾ 試合を観るには: MLB配信サービスの比較・視聴方法はこちら
文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年10月時点)







