米紙カリフォルニア・ポストが10月28日(日本時間29日)に伝えたインタビューで、ドジャースの筆頭オーナー、マーク・ウォルター氏が「何があっても球団は売らない」と話し、売却のうわさを否定しました。来季以降にサラリーキャップ(年俸総額の上限)が入っても、強いチームを保てるという考えも示しています。
うわさが出たのは、ウォルター氏がほかの資産を手放していたからです。報道では、2025年に約100億ドルで買ったレイカーズの経営権を、約125億ドルで売ることに合意しています。球団社長のスタン・カステン氏も「ドジャースは売りに出していない」と話していました。
一方で、データで見ると「キャップが入っても強いまま」はかなり難しい話です。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)が、ドジャースの年俸総額とキャップ案の差を数字で確かめました。
※金額は1ドル=150円で円に直しています(DiamondStats独自換算)。
ドジャースの年俸総額はメジャーリーグ史上最高
ぜいたく税(課徴金)の計算に使う年俸総額で、ドジャースは2025年にメジャーリーグの記録を塗り替えました。

| 年 | 球団 | ぜいたく税の対象になる年俸総額 | 課税ライン |
|---|---|---|---|
| 2023年 | メッツ(それまでの最高) | 約562億円 | ― |
| 2025年 | ドジャース | 約626億円 | 約362億円 |
| 2026年(開幕時点・報道) | ドジャース | 約617億円 | 約366億円 |
※2026年の数字は報道によるもので、最終の額は確認が必要(2026年10月29日現在)
2025年は課税ラインを約264億円超えていました。2023年のメッツが作った記録を、約64億円上回っています。
ぜいたく税だけで約254億円
報道では、ドジャースの2025年のぜいたく税は約1億6940万ドル(約254億円)でした。1球団のぜいたく税としては史上最高です。
| 球団(2025年) | ぜいたく税 |
|---|---|
| ドジャース | 約254億円 |
| メッツ | 約137億円 |
| ヤンキース | 約93億円 |
| フィリーズ | 約84億円 |
DiamondStatsで計算すると、ドジャースの1球団分は、2位から4位の3球団を足した額(約314億円)の約81%にあたります。
また、年俸総額に対する税の割合は約40.6%です。年俸に100億円使うたびに、税をさらに約40億円払った計算になります。2024年の税(報道では約155億円)からは、1年で約64%増えました。
さらに、3段目の課税ラインを超えたため、2026年のドラフト1巡目の指名順が10番下がる罰も受けています。
キャップ案の約368億円と比べると
報道では、オーナー側が最初に出したキャップ案は2億4500万ドル(約368億円)です。これをドジャースの数字に当てはめました(DiamondStats独自集計)。
| 比べるもの | 金額 | キャップ案との差 | 減らす割合 |
|---|---|---|---|
| 2025年の年俸総額 | 約626億円 | 約258億円オーバー | 約41% |
| 来季すでに決まっている14人分(報道) | 約521億円 | 約153億円オーバー | 約29% |
| キャップ案 | 約368億円 | ― | ― |
来季の契約が決まっているのは14人だけです。それでもキャップ案より約153億円多くなります。メジャーリーグの開幕時の登録は26人なので、残りの12人分をゼロ円にしても上限に収まりません。
キャップを最初の案のまま入れるなら、主力の放出か、契約の大きな組み直しが必要になります。
強さを支えてきたのは「お金を使い続けた年数」
2012年、ウォルター氏が率いるグループは球団を約21億5000万ドル(約3225億円)で買いました。その次の2013年から、ドジャースは2025年まで13年連続でポストシーズンに進出しています。
| 期間 | 主な成績 |
|---|---|
| 2013〜2025年 | 13年連続でポストシーズン進出 |
| 2024年・2025年 | 2年連続でワールドシリーズ優勝 |
| 2026年 | ポストシーズンで敗退 |
このチームは、高い年俸の選手を集め続けて強さを保ってきました。キャップが入ると、その一番の強みが使えなくなります。
オーナーが球団を売らないと話したことで、チームを持つ人が変わる心配はなくなりました。ただ、労使交渉(選手会とオーナー側の話し合い)の結果しだいで、ドジャースのやり方そのものが変わるかもしれません。選手会はキャップに反対しています。
最終戦までの流れは「ドジャースが4連敗で終戦 最終戦の観客4万910」にまとめています。
DiamondStats編集部の独自視点!
注目したいのは、ウォルター氏がキャップに賛成とも反対とも言っていないことです。
3月には「野球にはもっと戦力の均衡が要る」と話したと報じられました。そのあとのインタビューでは、キャップについての立場を言いませんでした。それなのに「キャップが入っても強くいられる」とだけ話しています。
編集部は、強さを保つ道は2つあると考えています。1つは、上限があっても差がつきにくい若手の育成です。もう1つは、選手の獲得を担当する部門の目利きです。ドジャースはファームの評価でも上位にいます。お金の勝負から育成の勝負に変わったとき、この蓄えが効いてきそうです。
ファームの層の厚さは「ドジャースはファーム1位でも外野が渋滞 有望株5」で取り上げています。
この冬の注目は、キャップの額が最初の案(約368億円)からどこまで動くかです。
まとめ
- オーナーのウォルター氏が「何があっても売らない」と話し、球団売却のうわさを否定した
- 2025年の年俸総額は約626億円でメジャーリーグ史上最高。ぜいたく税は約254億円で、これも史上最高
- キャップ案の約368億円と比べると、2025年は約258億円、来季の14人分だけでも約153億円オーバー(DiamondStats独自集計)
- 強さを保てるかは、労使交渉と、育成への切り替えしだい
来季の補強の動きは「ドジャース織田翔希獲得の可能性 国際アマ契約金枠」もあわせてお読みください。
データはMLB公式Statsと球団の発表をもとにDiamondStatsが独自に集計しました。年俸とぜいたく税の額は報道の数字です。
よくある質問
Q. ドジャースは売却されるのですか?
売却されません。オーナーのマーク・ウォルター氏が「何があっても売らない」と話しています。球団社長のカステン氏も、売りに出していないと否定しています。
Q. ドジャースの2025年のぜいたく税はいくらですか?
報道では約1億6940万ドル(約254億円)です。1球団の額として史上最高です。
Q. サラリーキャップ案の上限はいくらですか?
報道では、オーナー側が最初に出した案は2億4500万ドル(約368億円)です。選手会は反対していて、まだ決まっていません。
Q. キャップが入るとドジャースはどうなりますか?
2025年の年俸総額のままだと約258億円オーバーです。来季の契約が決まっている14人分だけでも約153億円超えるので、契約の組み直しが必要になります。
Q. ドジャースは何年連続でポストシーズンに出ていますか?
2013年から2025年まで13年連続です。2024年と2025年はワールドシリーズを2連覇しました。
⚾ 試合を観るには: MLB配信サービスの比較・視聴方法はこちら
文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年10月時点)
ドジャースの来季がどう動くのか、気になった方は試合の中継もあわせてご覧ください。労使交渉の行方とともに、チームの戦い方の変化を追えます。







