フィリーズは10月14日(米国時間)、ドン・マッティングリー暫定監督(65)を正式な監督として迎えると発表した。契約は2027年から2028年までの2年。4月下旬にロブ・トムソン前監督が成績不振で解任されたあと、暫定監督として指揮を執り、チームをナショナル・リーグのワイルドカードでポストシーズンへ導いた実績が評価された。
DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)が注目するのは、暫定就任後の79勝55敗(勝率.590)という数字が、過去に「暫定から正式へ昇格した監督」の中でどの位置にあるかだ。この数字は、シーズン通算(88勝74敗)ではなく、4月28日以降の134試合だけを切り出した成績である。MLB公式Statsの試合結果を独自に集計し、監督交代の前後で何が変わったのかを数字で確かめた。
監督交代の前後で得失点差が123点も動いた
まずは今季のフィリーズを、監督交代の前後で切り分けてみる。トムソン前監督のもとで戦ったのは開幕から4月26日までの28試合。マッティングリー監督が初めて指揮を執ったのは4月28日のレギュラーシーズン第29試合だった(MLB公式Statsの試合日程から集計。10月15日現在)。28試合と134試合を合わせた162試合が、レギュラーシーズンの全試合にあたる。

| 期間 | 試合 | 勝敗 | 勝率 | 1試合平均得点 | 1試合平均失点 | 得失点差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| トムソン前監督(開幕〜4月26日) | 28 | 9勝19敗 | .321 | 3.64 | 5.57 | -54 |
| マッティングリー監督(4月28日〜) | 134 | 79勝55敗 | .590 | 4.56 | 4.04 | +69 |
借金10からの出発だったチームは、交代後に得点が1試合あたり約0.9点増え、失点は約1.5点減った。得失点差はマイナス54からプラス69へ、合計で123点分の改善だ。79勝55敗を162試合に換算すると約95勝ペース(DiamondStats調べ)になる。2人の成績を合算したシーズン通算成績は88勝74敗(得失点差+15)で、ナショナル・リーグ東地区の2位。ブレーブス(94勝68敗)に地区優勝は譲ったが、ワイルドカード3枚目の切符を手にした。
月別に見ると8月の21勝7敗が決定打
交代後の134試合を月ごとに分けると、好調と不調の波がはっきり見える。月別の勝敗を足すと、79勝55敗(134試合)と一致する。
| 月 | 勝敗 | 勝率 |
|---|---|---|
| 4月(28日以降) | 3勝0敗 | 1.000 |
| 5月 | 18勝10敗 | .643 |
| 6月 | 18勝9敗 | .667 |
| 7月 | 9勝15敗 | .375 |
| 8月 | 21勝7敗 | .750 |
| 9月 | 10勝14敗 | .417 |
就任直後の5月と6月で貯金17を積み上げ、7月に失速したあと、8月に21勝7敗という今季最高の月を作った。この8月がなければワイルドカード争いには残れなかった計算になる。一方で9月は10勝14敗と再び沈み、9月23日から26日にかけて4連敗。レギュラーシーズン最終戦の9月27日にレイズを7対3で下して、ようやくポストシーズン進出を決めた。
ポストシーズンはブレーブスとのワイルドカードシリーズで9月29日に3対5で敗れ、30日に4対3で勝ったものの、10月1日に2対6で敗れて1勝2敗で終わった。最終戦まで先発ローテーションを使い切る形になった影響は、短期決戦でそのまま響いた。
暫定から昇格した監督の中で勝率は2番目
ここからが本題だ。シーズン途中に暫定監督を引き継ぎ、そのまま正式監督に昇格した例を、MLB公式Statsの試合結果から同じ条件で集計した。比べたのは暫定就任後の勝敗と得失点差で、いずれも「前任者の最後の試合までで切る」という同じ区切り方をしている。
| 年 | 球団 | 監督 | 暫定就任後の勝敗 | 勝率 | 得失点差 | その後 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | カージナルス | マイク・シルト | 41勝28敗 | .594 | +59 | 正式昇格 |
| 2026 | フィリーズ | ドン・マッティングリー | 79勝55敗 | .590 | +69 | 正式昇格(2027-28年) |
| 2022 | フィリーズ | ロブ・トムソン | 65勝46敗 | .586 | +61 | 正式昇格・ワールドシリーズ進出 |
| 2025 | オリオールズ | トニー・マンソリーノ | 60勝59敗 | .504 | -36 | 退任(後任はクレイグ・アルバーナズ) |
| 2025 | パイレーツ | ドン・ケリー | 59勝65敗 | .476 | -5 | 正式昇格 |
| 2022 | エンゼルス | フィル・ネビン | 46勝60敗 | .434 | -55 | 正式昇格(翌年限りで退任) |
マッティングリー監督の勝率.590は、この6人の中で2018年のシルト監督(.594)に次ぐ2番目。ただし試合数は134で、シルト監督の69試合、トムソン監督の111試合より多い。半シーズン以上を任されて勝率.590を保ったという点では、6人の中でもっとも重い実績と言っていい。得失点差のプラス69も6人の中で最大だった。
興味深いのは、同じフィリーズで4年前に起きたトムソン監督の昇格劇との相似だ。2022年はジョー・ジラルディ監督が22勝29敗で解任され、トムソン監督が65勝46敗で立て直してワールドシリーズまで進んだ。今回はそのトムソン監督が解任される側に回り、後任が同じように勝率.590前後で盛り返した。前任者の成績は2022年が勝率.431、2026年が.321。出発点はより低く、積み上げた勝ち数はより多い。
監督通算968勝1005敗 球団別では勝率に大きな差
マッティングリー監督の監督としての歩みを球団別に並べると、フィリーズでの数字がいかに突出しているかが分かる。
| 球団 | 期間 | 勝敗 | 勝率 |
|---|---|---|---|
| ドジャース | 2011〜2015年 | 446勝363敗 | .551 |
| マーリンズ | 2016〜2022年 | 443勝587敗 | .430 |
| フィリーズ | 2026年(4月28日〜) | 79勝55敗 | .590 |
| 通算 | 968勝1005敗 | .491 |
ドジャース時代は5年で3度の地区優勝を果たしたが、マーリンズ時代は7年で負け越しが続き、通算では借金37。それでも2020年にはナショナル・リーグ最優秀監督賞を受賞している。今回の2年契約で、通算1000勝(残り32勝)には2027年の前半で届く見込みだ。通算の勝率を5割に戻すには、2年間で少なくとも37の貯金が要る。今季の.590のペース(162試合で約95勝)を保てば、2028年の途中で射程に入る。
今季の補強課題は三塁を含む打線の底上げで、フィリーズの三塁に補強待望論を扱った記事でまとめたチームOPSの課題は、監督が固まった今もそのまま残っている。
DiamondStats編集部の独自視点!
球団が当初はアレックス・コーラ氏を第一候補にしていたことは公表されており、マッティングリー監督の正式就任は「次善の策」と受け取られがちだ。しかし得失点差プラス69は、過去の暫定昇格組の誰よりも大きい。借金10のチームを、就任後の134試合だけで見れば貯金24(79勝55敗)まで押し上げた実績は、候補の順番とは別に評価されるべき数字だ。シーズン通算では前半の借金が響いて貯金14(88勝74敗)にとどまる。
むしろ編集部が気にかけているのは9月の10勝14敗と、最終戦までもつれた消耗だ。8月に.750で走ったチームが9月に.417まで落ちたのは、先発投手の疲労と重なっている可能性が高い。2年契約の初年度に問われるのは、春先の立て直し力ではなく、9月に余力を残すローテーション運用だろう。
来季の戦力は、この冬のFA市場の動き方で大きく変わる。MLB FA・移籍一覧 2026-27では、フィリーズを含む各球団の契約と移籍を随時更新している。監督が決まった今、次に動くのは選手の顔ぶれだ。
まとめ
- フィリーズは10月14日(米国時間)、マッティングリー暫定監督の正式就任を発表。契約は2027〜2028年の2年
- 暫定就任後(4月28日以降)は134試合で79勝55敗(勝率.590)。得失点差はマイナス54からプラス69へ改善し、162試合換算で約95勝ペース。シーズン通算は88勝74敗
- 過去の暫定昇格組と比べると勝率は2番目、得失点差は最大。4年前のトムソン監督の昇格劇と重なる形になった
- 監督通算は968勝1005敗。1000勝まで残り32勝
数字はすべてMLB公式Statsを独自に集計したもので、10月15日現在の値。
よくある質問
Q. マッティングリー監督の契約は何年ですか?
2027年と2028年の2年契約です。10月14日(米国時間)に球団が発表しました。契約金額は公表されていません。
Q. マッティングリー監督になってからフィリーズの成績はどう変わりましたか?
4月26日までの28試合は9勝19敗(勝率.321)でしたが、4月28日以降の134試合は79勝55敗(勝率.590)でした。2つを合わせたシーズン通算は88勝74敗です。1試合平均の失点は5.57から4.04に減っています。
Q. 今季のフィリーズの最終成績はどうでしたか?
レギュラーシーズンは88勝74敗でナショナル・リーグ東地区2位。ワイルドカードでポストシーズンに進みましたが、ブレーブスとのワイルドカードシリーズで1勝2敗で敗退しました。
Q. マッティングリー監督の通算成績はどのくらいですか?
ドジャースで446勝363敗、マーリンズで443勝587敗、フィリーズで79勝55敗。合計968勝1005敗で、通算1000勝まで残り32勝です。2020年にはナショナル・リーグ最優秀監督賞を受賞しています。
Q. 前監督のトムソン氏はなぜ解任されたのですか?
4月下旬に成績不振で解任されました。解任時点の成績は9勝19敗で借金10でした。トムソン氏自身も2022年に暫定監督から正式昇格した経歴があります。
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