2026年8月30日、ドジャースの救援投手エバン・フィリップス(31)が「期待外れ」に苦しむ選手の1人として名前が挙がった。フィリップスは2025年6月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、今季7月にメジャー復帰を果たしたが、本来の投球には至っていない。今季は22試合に登板し防御率4.08。かつて球団屈指のセットアッパーだった投手の"数字の裏側"を、Statcastデータで検証する。
トミー・ジョン手術からの復帰、契約は1年650万ドル
フィリップスは2025年シーズン前半に右肘の手術を受け、同シーズンは7試合の登板にとどまった。オフに一度はドジャースから戦力外(ノンテンダー)となったが、2026年2月11日に1年総額650万ドルで再契約し、チームに残った。

今季は7月にメジャー復帰。8月30日時点(MLB公式Stats調べ)で22試合・17.2イニングを投げ、21奪三振、防御率4.08、WHIP1.30という成績を残している。
ここに至るまでの実績は華々しい。2022年は64試合に登板し防御率1.14。2024年まで3年連続で60試合以上に登板し、2024年は18セーブを記録するなど、ドジャースのブルペンを長く支えてきた投手だ。
Statcastが示す「質」の悪化 ― バレル率は2022年の3.7倍
年度別のStatcast指標を並べると、復帰後の内容面での落ち込みがはっきり出る。
| シーズン | 防御率 | xERA | 被打球速度 | ハードヒット率 | バレル率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | 1.14 | 2.19 | 86.1mph | 31.2% | 4.4% |
| 2023 | 2.05 | 3.14 | 88.2mph | 36.8% | 6.6% |
| 2024 | 3.62 | 3.25 | 85.9mph | 32.7% | 6.1% |
| 2025 | 0.00※ | 2.22 | 84.6mph | 28.6% | 0.0% |
| 2026 | 4.08 | 4.97 | 92.1mph | 40.8% | 16.3% |
※2025年は手術前のわずか7試合のみのため参考値。
ダイヤモンドスタッツ調べでは、2026年のバレル率16.3%は2022年(4.4%)の約3.7倍。被打球速度も86.1mphから92.1mphへ6.0mph上昇し、ハードヒット率は31.2%から40.8%へ9.6ポイント悪化している。防御率の数字以上に、「打たれた時の質」が明確に落ちているのが今季の特徴だ。
xERAとの差0.89 ― 防御率はむしろ「良い方に振れている」
さらに踏み込むと、今季のxERA(期待防御率)は4.97で、実際の防御率4.08を0.89上回る。通常、xERAが実際の防御率より高い投手は、被弾の巡り合わせに救われて失点を抑えている状態にあり、この差はむしろ今後の悪化リスクを示すサインとされる。
一方で、21奪三振・17.2イニングから算出される奪三振率は9イニング換算で約11.0(ダイヤモンドスタッツ算出)。球威や変化球のキレそのものは大きく落ちておらず、課題は「打たれた際の質」に集約されている状態と言える。
まとめ
フィリップスの今季は、防御率4.08という数字だけを見れば「まずまず」に映る。だがStatcastのバレル率・被打球速度・xERAはいずれも復帰前から明確に悪化しており、ダイヤモンドスタッツの試算では現在の防御率はむしろ実力より良い方向に振れている可能性が高い。ポストシーズンに向けたブルペン編成の中で、かつての守護神格がどこまで信頼を取り戻せるかが今後の焦点になる。
ドジャースの投手陣全体の状態はドジャース6連敗の正体をデータ分解でも詳しく検証している。また、故障からの復帰後に苦戦する主力の例としてはカル・ローリー不振のデータ検証、ポストシーズンに向けた編成面の視点ではキム・ヘソンのPS構想もあわせて参照してほしい。
よくある質問
Q. エバン・フィリップスはなぜ今季不振なのか?
被打球速度(92.1mph)とバレル率(16.3%)が過去シーズンより大きく上昇しており、打たれた際の質が悪化していることが主な要因。奪三振率自体は高い水準を保っている。
Q. トミー・ジョン手術からいつ復帰した?
2025年6月に右肘の手術を受け、リハビリを経て2026年7月にメジャー復帰した。

Q. 2026年の年俸はいくらか?
オフに一度戦力外となった後、2026年2月11日に1年総額650万ドルでドジャースと再契約している。
Q. 防御率4.08は今後どうなる可能性があるか?
xERA(期待防御率)は4.97で実際の防御率を0.89上回っており、被打球の質を踏まえると防御率が悪化する方向に振れるリスクがある。
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文:DiamondStats 分析チーム(MLBデータ分析担当)|データ出典:MLB公式Stats(2026年8月時点)





