ナショナルズの右腕ハーリン・スサナが、10月15日のアリゾナ・フォールリーグ(有望株が集まる秋季リーグ)で2回1/3を4安打5失点と打ち込まれた。10月12日に公開された現地のスカウティングレポートで「101〜103マイル」と記されたばかりの豪腕が、3登板目で初めて大量失点した形だ。
DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)がMLB公式Statsの投球データを独自に集計したところ、スサナの103.8マイルは今季のフォールリーグで計測された全投球の中で最速だった。それでも防御率6.75。球速1位と結果のずれが、この投手のいまを表している。
数字は10月18日現在。
フォールリーグ最速103.8マイル 2位との差は2.5マイル
今季のフォールリーグは10月17日までに38試合が終わり、うち35試合で投球計測の記録が残る。その全投球をDiamondStatsが集計した最速の投手が次の表だ。
| 順位 | 投手 | 所属(秋季リーグ) | 最速 | 計測日 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ハーリン・スサナ | ソルトリバー・ラフターズ | 103.8マイル | 10月3日 |
| 2 | ジョン・カブラル | メサ・ソーラーソックス | 101.3マイル | 10月4日 |
| 3 | ピアース・ジョージ | グレンデール・デザートドッグス | 100.0マイル | 10月4日 |
| 4 | アンディ・ロドリゲス | スコッツデール・スコーピオンズ | 99.6マイル | 10月4日 |
| 5 | キャノン・ケンプ | ピオリア・ハベリナス | 99.3マイル | 10月17日 |

(DiamondStats調べ。MLB公式Statsの投球計測がある35試合の全投球。10月10日のスサナの登板を含む3試合は計測記録がない)
100マイルに届いた投手はリーグ全体で3人しかいない。スサナと2位の差は2.5マイル。2位から5位までの4人が2.0マイルの幅に収まっていることを考えると、スサナだけが別の階層にいる。
最速だけではない。4シームとシンカーを25球以上投げた投手で平均球速を並べても、スサナは100.8マイル(76球)で1位。2位のカブラルが99.4マイル、3位以下は97.1マイルまで下がる。
3登板の中身 好投の初戦から5失点の3戦目まで
| 登板日 | 相手 | 回 | 安打 | 失点(自責) | 奪三振 | 四球 | 球数 | 4シーム平均 | 最速 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10月3日 | グレンデール | 3回1/3 | 1 | 0(0) | 4 | 2 | 55 | 101.7マイル | 103.8マイル |
| 10月10日 | スコッツデール | 2回1/3 | 2 | 3(1) | 4 | 0 | 40 | 計測なし | 計測なし |
| 10月15日 | メサ | 2回1/3 | 4 | 5(5) | 1 | 2 | 59 | 100.2マイル | 102.0マイル |
| 合計 | 8回 | 7 | 8(6) | 9 | 4 | 154 |

(MLB公式Statsを独自集計。10月18日現在)
初戦は4シーム30球の平均が101.7マイルで、3回1/3を1安打無失点。3戦目は平均100.2マイルと1.5マイル落ち、1イニングあたりの球数も16.5球から25.3球へ増えた。奪三振は4、4、1と減り、最後の登板ではスライダー19球でも空振りがほとんど取れていない。
スライダーは3登板を通じて平均85〜86マイル、回転数は2750〜2900回転。スカウティングレポートが「約15インチ横に滑る」と評したスイーパー系の球は、計測データでも86マイル前後の横変化として記録されている。
リーグ平均との比較 四球は平均以下で失点は平均以上
フォールリーグは各球団の有望株が「課題の矯正」を目的に投げる場所で、リーグ全体の数字は荒れる。151投手の合計で防御率5.21、四球率15.1%。その中でスサナがどこに位置するかを示す。
| 指標 | スサナ | リーグ平均(151投手) | 差 |
|---|---|---|---|
| 防御率 | 6.75 | 5.21 | 悪い |
| 奪三振率(打者あたり) | 25.0% | 24.0% | ほぼ同じ |
| 四球率(打者あたり) | 11.1% | 15.1% | 良い |
| 1イニングあたりの走者 | 1.38 | 1.59 | 良い |
(MLB公式Statsを独自集計。10月17日終了時点)
意外なのは四球率だ。スサナの課題は制球とされてきたが、フォールリーグではリーグ平均より4ポイント低い。走者を出す頻度もリーグ平均より少ない。それでも防御率が悪いのは、3戦目の2回1/3で4安打5失点と一気に崩れたためで、合計6自責点のうち5点がこの1登板に集中している。
3登板すべてに先発した7投手で比べると、奪三振率25.0%は4位タイ、四球率11.1%は3番目に良い。1位は12奪三振のミゲル・メンデス(ジャイアンツ)で36.4%。球速で2位以下を2.5マイル引き離す投手が、三振の率では中位にとどまっている。
| 投手(3先発) | 投球回 | 奪三振率 | 四球率 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|
| ミゲル・メンデス | 7回2/3 | 36.4% | 9.1% | 3.52 |
| キャノン・ケンプ | 8回2/3 | 29.7% | 8.1% | 5.19 |
| ブリッグス・マッケンジー | 9回 | 26.1% | 15.2% | 9.00 |
| ルーク・フォックス | 5回 | 25.0% | 12.5% | 3.60 |
| ハーリン・スサナ | 8回 | 25.0% | 11.1% | 6.75 |
(DiamondStats調べ。10月18日現在の上位5人)
11か月の空白から11先発 1登板あたり2.6回で積み上げた2026年
スサナは2025年9月に右広背筋の手術を受け、2026年の初登板は8月11日までずれ込んだ。そこから2か月あまりで、1Aプラスから3A、そしてフォールリーグへと4つの舞台を駆け上がっている。
| 期間 | 所属 | 先発 | 投球回 | 奪三振 | 四球 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 8月11日〜21日 | 1Aプラス ウィルミントン | 3 | 6回1/3 | 13 | 3 | 5.68 |
| 8月26日〜9月12日 | 2A ハリスバーグ | 4 | 11回1/3 | 21 | 4 | 4.76 |
| 9月18日 | 3A ロチェスター | 1 | 2回2/3 | 3 | 4 | 13.50 |
| 10月3日〜15日 | フォールリーグ ソルトリバー | 3 | 8回 | 9 | 4 | 6.75 |
| 2026年合計 | 11 | 28回1/3 | 46 | 15 |
(MLB公式Stats。10月18日現在)
11先発で28回1/3。1登板あたり2.6回、最多でも66球で、球団は明らかに球数を抑えて体を作り直している段階だ。それでも46奪三振は28回1/3に対して多く、9イニング換算では14.6個になる。
参考になるのが手術前の2025年だ。2Aハリスバーグで11先発47回1/3を投げ79奪三振、9イニング換算15.0個、防御率3.61。復帰後の奪三振の多さは手術前とほぼ同じ水準で、腕の力は戻っていると数字が示している。
長期離脱から戻った投手の球速が、どの段階でどこまで戻るかは、ジャクソン・ジョーブの復帰後の球速97.6マイルを検証した記事でも扱った。ジョーブが復帰後に97マイル台だったのに対し、スサナは復帰初年度の秋に4シーム平均100マイル超を出している。
メジャーで4シーム平均100マイル超は7人 先発では1人だけ
スサナのフォールリーグでの4シーム62球の平均は100.9マイル。これをメジャーの今季の数字と並べる。
| 区分 | 投手 | 4シーム平均球速 |
|---|---|---|
| フォールリーグ | ハーリン・スサナ(62球) | 100.9マイル |
| メジャー救援 | ジャスティン・マルティネス | 101.6マイル |
| メジャー救援 | メイソン・ミラー | 101.4マイル |
| メジャー救援 | ベン・ジョイス | 101.0マイル |
| メジャー先発 | ジェイコブ・ミジオロウスキー | 100.6マイル |
(メジャーはStatcastの2026年レギュラーシーズン。DiamondStats調べ)
2026年のメジャーで4シームの平均が100マイルを超えた投手は7人。そのうち先発でこの数字を出したのは100マイル超を1115球投げたジェイコブ・ミジオロウスキーだけで、規定投球回に達した投手では唯一の100マイル超だった。
スサナがもし先発のまま100マイル台の平均を保てば、メジャーでもミジオロウスキーと2人だけの領域になる。ただしミジオロウスキーの2647球に対し、スサナの今季は全レベル合わせて541球で、まだ1登板あたり3イニングに満たない。メジャーの平均球速が6年連続で最速を更新した話の中で、4シーム平均94.8マイルがいまの「普通」だ。スサナはそこから6マイル上にいる。
DiamondStats編集部の独自視点!
スサナの数字でいちばん注目しているのは、防御率でも最速でもなく、四球率11.1%です。手術前の2025年は2Aで四球率15.4%(32四球÷208打者)でしたから、復帰後のフォールリーグでは4ポイント以上改善しています。球数を40〜60球に抑えた短いイニングの中とはいえ、制球の数字が先に良くなり、安打で崩れる形に変わったのは、投手としては悪い変化ではありません。
残り3週間あまりのフォールリーグで見たいのは2つ。1つは4シームの平均が101マイル台に戻るかどうか。もう1つは3イニング目、4イニング目に入ったときの球速の落ち幅です。来春の球数制限が解けたとき、この2つの数字がそのまま「先発か救援か」の答えになります。
よくある質問
Q. ハーリン・スサナはどんな投手ですか?
ナショナルズ傘下の22歳の右腕で、身長198センチ、体重107キロ。2022年8月のフアン・ソトのトレードでパドレスから加入しました。9月時点のMLB公式の有望株ランキングでナショナルズ3位、全体66位です。
Q. スサナの最速球速は何マイルですか?
2026年のアリゾナ・フォールリーグでは10月3日に103.8マイル(約167キロ)を計測し、リーグ最速です。9月18日の3Aデビュー戦では102.6マイルを記録しました。
Q. アリゾナ・フォールリーグとは何ですか?
メジャー30球団が有望株を6チームに分けて送り込む秋季リーグで、2026年は10月3日から11月11日までアリゾナ州で開催されます。スサナはソルトリバー・ラフターズに所属しています。
Q. スサナはなぜ2026年の登板が少ないのですか?
2025年9月に右広背筋の手術を受け、復帰まで11か月かかったためです。2026年の初登板は8月11日で、レギュラーシーズンは3つのレベルで8先発20回1/3にとどまりました。
まとめ
ハーリン・スサナはアリゾナ・フォールリーグで最速103.8マイル、4シーム平均100.9マイルと球速では圧倒的な1位にいる。一方で防御率6.75はリーグ平均の5.21より悪く、奪三振率25.0%はリーグ平均並み。四球率11.1%はリーグ平均より良く、崩れたのは3戦目の1登板に集中している。右広背筋の手術から戻った2026年は11先発28回1/3で46奪三振。球数制限の中で腕の力は手術前の水準に戻っており、残り3週間あまりで問われるのは、100マイル台を長いイニングで保てるかどうかだ。数字は10月18日現在、MLB公式Statsを独自に集計した。
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