10月17日(日本時間18日)、ドジャースの控え捕手ベン・ロートベットが、マイナーリーグのフリーエージェント(FA)を選択した。MLB公式の移籍記録に「elected free agency」と記された。9月1日に40人枠から外れ、傘下のオクラホマシティへ降格していたが、メジャーでの在籍期間が3年を超えているため、球団に残らず自由契約を選ぶ権利があった。ドジャースは控え捕手として評価しており、マイナー契約での再契約もあり得るとみられている。
ニュースとしては「控え捕手が1人、FAになった」というだけの小さな話に見える。だが、MLB公式Statsの移籍記録をさかのぼると、この29歳の左打ち捕手は2025年のワールドシリーズ制覇からわずか11か月で、40人枠外し(DFA)を4度、ウェーバー公示での移籍を3度、トレードを1度経験している。DiamondStats(ダイヤモンドスタッツ)が、その移籍記録と、ドジャースが今季起用した6人の捕手の数字を並べて、ロートベットの立ち位置を検証する。
11か月で12件 ロートベットの移籍記録をすべて並べる
MLB公式Statsの移籍記録から、2025年11月以降のロートベットに関する項目を抜き出した(日付は米国時間)。
| 日付 | 内容 | 所属 |
|---|---|---|
| 2025年11月12日 | ウェーバーでレッズが獲得 | ドジャース→レッズ |
| 2026年2月3日 | 40人枠から外れる(1度目) | レッズ |
| 2026年2月6日 | ウェーバーでドジャースが獲得 | レッズ→ドジャース |
| 2026年2月11日 | 40人枠から外れる(2度目) | ドジャース |
| 2026年2月15日 | ウェーバーでメッツが獲得 | ドジャース→メッツ |
| 2026年3月25日 | 40人枠から外れる(3度目) | メッツ |
| 2026年3月27日 | 傘下シラキュースへ降格 | メッツ |
| 2026年8月3日 | トレードでドジャースへ(右腕マクダーモットと交換) | メッツ→ドジャース |
| 2026年8月4日 | メジャー契約に昇格 | ドジャース |
| 2026年9月1日 | 40人枠から外れる(4度目) | ドジャース |
| 2026年9月3日 | 傘下オクラホマシティへ降格 | ドジャース |
| 2026年10月17日 | マイナーFAを選択 | ドジャース傘下 |
12件の記録が11か月に詰まっている。ドジャースに限っても、ウェーバーで取り戻してから5日で枠を外し、8月にトレードで呼び戻し、翌月にまた枠を外した。「必要なときは欲しいが、枠は空けておきたい」という球団の扱いが、記録の上にそのまま残っている。
ドジャースのオフの動きはアレク・トーマスのFA選択でも同じ構図が出ている。短期の補強で加えた選手が、シーズンが終わると枠から押し出される。
8月の再加入後は27打数5安打 四球0の打席内容
8月3日のトレードは、正捕手ウィル・スミスと若手ダルトン・ラッシングがそろって離脱した捕手陣の緊急補強だった。再加入後のロートベットの打撃成績を、MLB公式Statsで確かめた(10月19日現在)。
| 期間 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | 出塁率 | 長打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年(ドジャース) | 16 | 27 | 5 | 0 | 1 | 0 | 9 | .185 | .185 | .185 |
| 2025年(ドジャース) | 18 | 49 | 11 | 1 | 4 | – | – | .224 | .309 | .327 |
| 2025年ポストシーズン(ドジャース) | 4 | 7 | 3 | 0 | – | – | – | .429 | – | – |
目を引くのは打率より、打率・出塁率・長打率がすべて.185で並んでいる点だ。5安打はすべて単打で、四球も死球も0。27打数で三振が9つなので、3打数に1つは三振で終わっている。試合ごとの記録を見ても、1試合2安打は一度もなく、8月13日のブルワーズ戦で記録した1打点が唯一の打点だった。
一方で、2025年は18試合で.224、ポストシーズンでは7打数3安打と結果を出していた。1年前の秋に「連覇に貢献した捕手」と呼ばれた記憶が、今季の打席内容とは重ならない。
ドジャースが今季使った捕手は6人 ロートベットの守備は上位
ドジャースは2026年のレギュラーシーズンで100勝62敗、地区優勝を果たした。その裏で、捕手として出場した選手は6人に及んだ。MLB公式Statsの打撃成績と捕手守備成績を並べる(10月19日現在。フェデューシアはドジャース在籍分のみ)。
| 捕手 | 試合(打撃) | 打率 | OPS | 捕手守備イニング | 盗塁阻止 / 許盗塁 | 阻止率 | 捕手防御率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ウィル・スミス | 73 | .260 | .781 | 528.0 | 10 / 39 | 20.4% | 3.12 |
| ダルトン・ラッシング | 80 | .246 | .788 | 472.1 | 10 / 30 | 25.0% | 3.85 |
| ハンター・フェデューシア | 33 | .197 | .585 | 218.0 | 2 / 25 | 7.4% | 3.06 |
| ベン・ロートベット | 16 | .185 | .370 | 84.1 | 3 / 9 | 25.0% | 3.31 |
| エリエゼル・アルフォンソ | 13 | .179 | .429 | 74.0 | 1 / 5 | 16.7% | 5.35 |
| チャッキー・ロビンソン | 8 | .087 | .174 | 59.0 | 1 / 3 | 25.0% | 4.88 |

打撃ではOPS.370で6人中5番目。だが守備に目を移すと、ロートベットの盗塁阻止率25.0%は正捕手スミスの20.4%を上回り、ラッシング、ロビンソンと並ぶ6人の中の最高値だ。捕手防御率3.31もスミス、フェデューシアに次ぐ3番目で、捕逸1、失策0。守備面の数字は、打撃の数字ほど悪くない。
ドジャースが「控え捕手として評価している」という見方は、この守備の数字と一致する。打てない捕手でも、投手陣に対して平均以上の仕事をしたなら、マイナー契約で呼び戻す価値はある。
通算243試合で打率.189 年ごとの推移で見る打撃
ロートベットの通算成績は243試合で打率.189、9本塁打、OPS.541。年ごとの推移を見ると、評価の難しさがはっきりする。
| 年 | 球団 | 試合 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁阻止率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021 | ツインズ | 39 | .169 | .229 | .281 | .510 | 43.8% |
| 2023 | ヤンキース | 32 | .118 | .241 | .221 | .462 | 33.3% |
| 2024 | レイズ | 112 | .228 | .317 | .303 | .620 | 15.8% |
| 2025 | レイズ/ドジャース | 44 | .152 | .240 | .205 | .445 | 22.7% |
| 2026 | ドジャース | 16 | .185 | .185 | .185 | .370 | 25.0% |

唯一、正捕手級の出場機会を得た2024年のレイズでは112試合で打率.228、OPS.620。この年以外は、打率が.200を超えた年がない。打撃が.600台に乗る年は「使える控え」、.400台に落ちる年は「枠を空けるための候補」になる。4度の40人枠外しは、この打撃の振れ幅をそのまま映している。
今オフのFA市場全体の動きはFA・移籍の一覧で追える。FA市場がロックアウトで凍結へ向かう見通しもあり、マイナーFAの契約は例年より動きが読みにくい。
DiamondStats編集部の独自視点!
ロートベットの1年は、「40人枠」という制度が1人の選手をどう動かすかを示す実例になった。打撃の数字だけなら、ドジャースはもっと早く見切りをつけられたはずだ。それでも8月にトレードの対価まで払って呼び戻したのは、捕手が2人同時に抜けたときに、投手陣を任せられる控えが他にいなかったからだ。盗塁阻止率25.0%と捕手防御率3.31は、ドジャースが欲しかった数字そのものだろう。
来春のキャンプで控え捕手の座を争うなら、相手はフェデューシアやアルフォンソになる。打撃で差をつけるのは難しいが、守備の数字では今季すでに上回っている。再契約があるかどうかは、11月のロースター整理で誰が枠に残るかで決まる。移籍記録の13件目が「ドジャースとマイナー契約」になるか、それとも別の球団名が並ぶか。ここは引き続き見ていきたい。
まとめ
ベン・ロートベットは10月17日(日本時間18日)にマイナーFAを選択した。2025年11月から11か月で40人枠外し4度、ウェーバー移籍3度、トレード1度という移籍記録を残し、今季はドジャースで16試合、27打数5安打、四球0に終わった。一方で、盗塁阻止率25.0%と捕手防御率3.31はドジャースが使った6人の捕手の中で上位に入り、球団が控え捕手として評価する根拠はそこにある。
ドジャースの今季の終わり方はリーグ優勝決定シリーズで0勝4敗の記事で詳しく触れている。来季の捕手陣をどう組み直すかは、このオフの焦点の1つになる。データはMLB公式Statsを独自に集計した。
よくある質問
Q. ロートベットはなぜFAを選べたのですか
メジャーでの在籍期間が3年を超えているためです。40人枠から外れて傘下に降格した選手は、在籍3年以上であれば、球団に残らずマイナーFAを選ぶ権利があります。ロートベットは9月3日に降格し、10月17日にその権利を使いました。
Q. ロートベットの2026年の成績はどれくらいですか
ドジャースで16試合に出場し、27打数5安打、本塁打0、打点1、四球0、三振9。打率・出塁率・長打率はいずれも.185でした(MLB公式Stats、10月19日現在)。
Q. ドジャースはロートベットと再契約しますか
決まっていません。球団は控え捕手として評価しており、マイナー契約を結んで来春のキャンプで控え捕手の座を争う形が見込まれています。相手候補はフェデューシアやアルフォンソです。
Q. ロートベットは今季何度チームを移りましたか
2025年11月以降で、ウェーバーによる移籍が3度(レッズ、ドジャース、メッツ)、トレードが1度(メッツからドジャース)です。40人枠から外れたのは4度でした。
Q. ロートベットの守備の数字はどうですか
2026年は捕手として84回1/3を守り、盗塁阻止3、許盗塁9で阻止率25.0%、捕手防御率3.31、捕逸1、失策0でした。阻止率はドジャースが使った6人の捕手の中で最高の数字です。
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